【ケアハウス解説】自立型?介護型?特徴や費用・入居条件について理解しよう

公開日:2022年08月03日更新日:2023年02月06日
ケアハウス

高齢者向け施設のひとつである「ケアハウス」ですが、「名称くらいは聞いたことはあるけれど、どんな施設なのかはわからない」という人も多いのではないでしょうか。 介護施設を検討するときには、まずその施設の特徴を理解したうえで、自分にあった施設を選ぶことが大切です。

本記事では、ケアハウスの特徴や費用、入居条件、入居までの流れを見ていきます。

ケアハウスとは?各介護施設との違い

ケアハウスとは、日常生活でサポートを必要としていても、住宅や家庭の環境などの理由から、自宅で生活が困難という人のための公的施設です。

比較的少ない費用で利用できる「軽費老人ホーム※」のうち、食事と生活のサポートが付いている施設をケアハウス(軽費老人ホームC型)といいます。さらにケアハウスは、自立型(一般型)と介護型(特定型)の2タイプがあります。

公的施設ということで低所得者向けの助成制度もあるのも特徴です。 他の種類の介護施設との違いを見ていきましょう。

※軽費老人ホームは、食事付きのA型、自炊型のB型、食事・生活支援サービスのついたC型(ケアハウス)があります。AとB型については、今後新設はされずに、C型(ケアハウス)に一本化されていきます。

  ケアハウス 有料老人ホーム グループホーム サービス付き高齢者向け住宅
運営 許可を受けた民間企業、社会福祉法人、医療法人、地方公共団体 民間企業 民間企業 民間企業
入居条件 60歳以上で、事情があって家族と暮らせず、日常生活に不安のある人(健康状態に問題はない人) 施設によってさまざま 要支援2以上の認知症の人のうち、入居施設と同一地域に居住している人 施設によってさまざま
費用 比較的安価 高額な場合が多い 比較的安価 比較的安価~比較的高額

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームとケアハウスの大きな違いは、料金です。ケアハウスは地方公共団体や社会福祉法人、医療法人、自治体から許可を受けた民間団体などが運営する公的施設で、比較的安価に利用することができます。

一方、有料老人ホームは民間企業が運営しているため、入居費用や月額費用が高額な傾向にあります。ただし、有料老人ホームは施設数が多く、かかる費用も施設によって大きく異なります。

また、入居対象についても、ケアハウスがおおよそ同一条件であるのに対し、有料老人ホームは各施設によって異なる条件が設けられています。

グループホームとの違い

グループホームの大きな特徴は、「認知症診断」「要支援2以上の認定」「施設と同じエリアに居住」という入居条件があります。一方ケアハウスは、自立型は60歳(介護型は65歳)から入居可能で、居住地の制限もありません。介護型は要介護1以上の人なら入居できます。

ただし、健康状態については「独居は不安でも健康状態には問題がない人」となっているケアハウスのほうが制限は大きいといえるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い

サービス付き高齢者向け住宅は、民間企業やNPOが運営している高齢者向けの賃貸住宅です。自由に暮らせる反面、自立している人が主な入居対象者となっているため、介護サービスの有無は施設によって異なります。(外部介護サービス事業者との提携により、要介護度が上がっても暮らし続けられるサ高住も)。

一方、ケアハウスのうち、「介護型」では、要介護1以上の人が入居する施設です。要介護度が重度になったり、認知症が進行しても、最期まで暮らせる終のすみかとなるかどうかは、ケアハウスに直接確認されるのがよいでしょう。

ケアハウスの種類|自立型と介護型

ケアハウスは、介護サービスの有無で、自立型(一般型)と介護型(特定型)の2タイプに分けられます。ケアハウス全体でみると、自立型の方が施設数は多くなっています。

自立型と介護型の違いを見ていきましょう。

  自立型(一般型) 介護型(特定施設入居者生活介護)
入居対象者 一人暮らしに不安がある、健康状態に問題のない60歳以上の人 一人暮らしに不安がある、要介護1以上で65歳以上の人
提供サービス 食事、生活支援 食事、生活支援、介護
費用目安 入居一時金:0~1,000万円
月額利用料:7~15万円
入居一時金:0~数百万円
月額利用料:8~20万円

上記に加え、介護度に応じた介護サービス費用がかかります。

自立型(一般型)ケアハウス

自立型ケアハウスは、何らかの事情で家族と同居できず、なおかつ一人で暮らすには不安がある(生活の一部にサポートを必要とする)60歳以上の人が入居できます。夫婦で入居の場合、どちらか一方が60歳になっていれば入居が可能となります。ただし、原則健康状態に問題のないことが前提です。

自立型ケアハウスに入居している方が、介護サービスを受けたい場合は、別途外部の外部介護サービス事業者と契約し利用することになります。

また要介護度が高くなったり、常時医療ケアが必要になると、退去しなければならない場合もあります。

介護型(特定)ケアハウス

介護型(特定型)ケアハウスは、「特定施設入居者生活介護※」の指定を受けた、介護サービスがついたケアハウスです。要介護1から入居できるため「今後介護度が上がったらどうしよう」と感じている高齢の人でも住み続けることができます。

要介護度に応じて、介護サービス費用がかかるため、多くの場合、介護型のほうが、1ヶ月に必要な金額が高くなります。

※特定施設入居者生活介護(特定施設):介護保険の指定を受けた介護付有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)などが、入居している利用者に対して入浴・排泄・食事などの介護、その他必要な生活支援が行われています。なお介護サービスは介護保険が適用されます。

ケアハウスの設備基準

自立型と介護型の2種類に分けられるケアハウスですが、居室の仕様基準は同じです。基本的にプライベートに配慮した個室となっています。居室の広さは、21.6㎡以上(2人部屋は31.9㎡以上)が基準となっていて、トイレ、ミニキッチン、洗面所などが設置されています。

共用設備は、食堂兼リビング、浴室、洗濯室など。レストランや大浴場などが完備された施設もあります。

ケアハウスの人員配置

では、ケアハウスの人員配置について簡単な役割とともに見ていきましょう。なお、配置基準のカッコ内の数字は、介護型の配置です。

  配置基準
(カッコ内は介護型)
役割
施設長(管理者) 1人以上(兼務可) 施設の管理者
生活相談員 120:1(100:1) 入居時や普段の生活の相談に乗ってくれる有資格者
ケアマネジャー -(1人以上) ケアプランの作成を行う
介護・看護職員 30:1(3:1)※ 介護・看護サービスを行う
機能訓練指導員 -(1人以上 兼務可) リハビリを行う

※ただし、看護職員は要介護者30人までは1人、30人を超えると50人ごとに1人が必要

ケアハウスへの入居条件

次に、ケアハウスへ入居できる方の条件を改めて確認してみましょう。自立型と介護型で入居条件が異なります。

  自立型ケアハウス 介護型ケアハウス
年齢 60歳以上 ※ 65歳以上
要介護度 自立(要支援・要介護は応相談) 要介護1以上
所得制限 なし(所得に応じて費用が変動) なし(所得に応じて費用が変動)

※2人部屋の場合、夫婦のどちらかが60歳以上で可

ケアハウスで受けられるサービスの種類

ケアハウスでは、さまざまなサービスを受けることができます。種類別に紹介します。

食事サービス

毎日3食、栄養バランスの良い食事を提供してもらえるため、自炊は不要です。季節のイベントの際には、行事食が出ることもあります。また、それぞれの人の身体状況に応じて、流動食、嚥下食の対応も可能です。

アクティビティ

お正月や節分など、季節に応じたイベントが実施されます。また、体操やものづくり、簡単なゲームといった運動機能の維持に役立つアクティビティも行われます。こうしたイベントは、施設内でほかの入居者と交流を深めるためにも効果的です。

緊急時対応

ケアハウスには、24時間体制でスタッフが常駐しています。また、居室には緊急通報システムやセンサーが設置されており、何かあればスタッフが対応してくれますので安心感があります。

医療・介護サービス

自立型のケアハウスでは、介護サービスが必要な場合は、基本的に外部の介護サービスを活用します。ケアハウスのスタッフが介護サービスを提供するわけではありませんが、要介護になっても外部のサービスを利用して暮らし続けられる施設もありますので、事前に確認しておきましょう。

一方、介護型のケアハウスでは、介護職員か看護職員が、要介護者3人に対して1人以上常勤しているため、必要に応じた介護を受けられます。

なお、医療的ケアについては、医療機関との連携、毎朝の健康チェック、などのサービスが用意されています。ただし、どの程度まで対応できるのかは各施設によって異なります。

ケアハウスにかかる費用

ケアハウスで暮らすために必要な費用について、項目ごとに見ていきましょう。

  一般型 介護型
初期費用 0~1,000万円 0~数百万円
月額費用等 管理費・生活費等 7~15万円 8~20万円
介護サービス費用 必要に応じて外部の介護サービスを利用 要介護度別に数千円~数万円程度
その他実費 日用品代、光熱費、医療費など 日用品代、光熱費、医療費など

初期費用

初期費用とは、入居時に支払う一時金や保証金です。名目はそれぞれの施設によって異なります。

なお、何らかの理由で利用者がケアハウスを退去した場合、初期費用の一部が返還される場合があります。また、初期費用が必要ない施設もあります。

詳細の規定については、入居を検討しているケアハウスに問い合わせましょう。

月額費用

月額費用の項目は、それぞれのケアハウスによって異なります。サービス提供費や賃料、生活費、管理費といった名目で、費用が設定されています。

また、それとは別途、介護サービスにかかる費用や、日用品代、光熱費、医療費といった利用に応じて支払いが発生するものがあります。

目安としての月額費用は、収入や介護度、選ぶ施設などによって異なりますが、10~30万円程度が目安になるでしょう。介護サービス費用は、利用者の介護度や収入によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

介護型ケアハウスの介護サービスは保険適用

介護型のケアハウスで受けられる介護サービスは、介護保険給付の対象となります。そのため、サービスにかかる費用も要介護度に応じて決まります。

ケアハウスに入居するまでの流れ

ケアハウスへの入居を検討しているところから、実際に入居するまでどのように手続きが進むのか、5つのステップで見ていきます。

なお、詳細な手順は施設によっても異なります。入りたい施設が見つかったら、入居までの流れを質問しておきましょう。

1.目的の施設を探す

居住地の自治体やケアハウスが運営しているホームページ、介護施設の検索サイトを活用して、目的に合った施設を探しましょう。

2.入居検討中に施設を見学する

実際の申し込みをする前に、見学できる施設があります。可能であれば、スタッフの様子や設備、居室の様子、ほかの入居者の雰囲気を確認しておくことをおすすめします。

3.入居申請書の提出と書類審査

入居に必要な申し込み書類を提出して、書類審査を受けます。

4.入居面談を受ける

審査に通ったら、入居のための面談を受けます。本人の健康状態や生活状況を確認されるだけでなく、本人に「入居したい」意思があるかどうかもチェックされます。

この面談の後、施設側が入居に関する許可の最終判定を行います。

5.入居を開始する

許可されたら、契約手続きを経て入居となります。

費用を抑えて生活のサポートが受けられるケアハウス

軽度の要介護者にとって、ケアハウスはコストを抑えて安心して暮らせる住まいといえるでしょう。しかし、介護型ケアハウスは特別養護老人ホームなどと比べて入居条件のハードルが低く、希望する人が多い傾向にあります。

地域にもよりますが、入居待ちをしている待機者が多く、なかなか入れない場合もある点は、押さえておきましょう。

また、施設によって受けられるサービスや実際の費用も異なるため、事前に条件や入居後の暮らしについて確認しておきましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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