ベネッセの介護25年の深化

夜ぐっすり眠れると、気持ちがいい 日中元気に過ごせるメソッド

夜間のおむつ交換は、こまめに行うのが適切か?

人が生きていくうえで欠かせない生理現象である、排泄を介助する「排泄ケア」。私たちは、ご入居者様に快適な日常生活をお過ごしいただきたいと考え、おむつ交換をこまめに行うことを大切にしてきました。肌トラブルを避けるために有効とも考えていたからです。
その一方で、夜間も数時間に一度のおむつ交換を行うことは、睡眠を妨げているのではないか、という懸念も持ち続けていました。そこで、ユニ・チャーム(株)と協働し、排泄ケアの見直しを行うプロジェクトを立ち上げました。

排泄ケアの見直し

この試みに最初に取り組んだホームが「まどか茨木」です。

まず取りかかったのは、ご入居者様お一人おひとりのパッド内の尿量を測定し、その方に適した吸収量で肌への負担が少ないパッドを選定し直すこと。そして、個別におむつ交換の回数や時間を検討します。

おむつ交換の回数を減らすこととあわせて、スキンケア方法の見直しも行い、ご家族様のご了承を得られた方に取り組みを実践。すると、取り組まれたご入居者様が穏やかな睡眠を得られるようになっただけでなく、さまざまな変化が見られたのです。

尿量の測定とパッドの選定

個別におむつ交換回数などを検討

〈 まどか茨木 B様・C様の事例 〉

排泄ケアの見直しによる最初の効果

B様の場合は、尿量やお身体の状態からご家族様と相談し、下図のように夜間だけでなく、日中もおむつ交換の回数を減らしてみることにしました。すると、まずはじめに夜間のおむつ交換で起きてしまうことがなくなり、ぐっすり眠れるようになりました。

取り組み前
夜間にあまり眠れていない分、 日中にウトウトしてしまう おむつ交換のたびに起きてしまい、安眠が得られない 6:30 交換 10:00 交換 13:00 交換 16:00 交換 19:00 交換 22:00 交換 24:00 交換 3:00 交換
取り組み後
すっきり起きられる ぐっすりと眠れるように 6:30 交換 10:00 交換 19:00 交換
安眠以外のプラスの効果(B様の場合)

毎日ぐっすり眠れるようになったB様は、日中の傾眠(うたた寝)が減少していきました。それにより、日中の活動量が徐々に増えていき、食事の量も増えて活気が生まれ、ホームのアクティビティにも参加されるように。日中と夜間の生活リズムが整い、笑顔や会話も増えていきました。
さらに、取り組みを続けていくなかでご自分でトイレに行けるようにもなり、B様の夢だった奥様との外出も実現することができました。

生活のリズムが整い、どんどんお元気に

  • ぐっすり寝る
  • 日中の傾眠が減少
  • 日中の活動量が増加
  • 食事量の増加

ご自分でトイレへ

おむつの使用量減少

念願の外出も実現

安眠以外のプラスの効果(C様の場合)
肌トラブルの改善

また、臀部(でんぶ)の発疹の悪化と好転を数年にわたり繰り返されていたC様は、この取り組みで新しいスキンケア方法を取り入れたことにより、発疹が徐々に治癒して軟膏を塗布しなくてもよい状態になりました。肌トラブルを悪化させるのではなく、改善につなげられたのです。

発想を転換して排泄ケアの方法を見直すことで、取り組まれた方の昼夜の逆転を解消し、生活リズムを整えていくことができました。これにより、ご入居者様のお身体の状態やお気持ちに変化が見られ、その方の「やりたいこと」を実現する『自発支援®』の取り組みにもつながりはじめているのです。

介護はお一人おひとりのご事情で異なりますので「必ずこういう状態に改善できます」と、お約束することまでは難しいのが実情です。しかし、私たちはお一人おひとりに深く寄りそい、皆様の介護にまつわるお悩みの解決を目指してまいります。

ご紹介しているエピソードは、個々のご入居者様の事例です。また、ご提供できるサービスやケアの内容は、ご入居者様お一人おひとりの心身の状態やホームの状況によって異なりますので、個別にご相談くださいますようお願い申し上げます。

※「自発支援®」とは、高齢者の自発的な活動を支援する株式会社ベネッセスタイルケアのサービスの名称です。