ベネッセの介護25年の深化

ホームで暮らして、明日が楽しみに 自発支援®の取り組み

「できること」も「できなくする」介護とは?

皆様が「楽しみだな」と思うのは、どんな時でしょうか。
たとえば、「とっておきの場所へお出かけするから、オシャレをしよう」「友達がオススメだといっていたことをやってみよう」など、ワクワクする気持ちが生まれる時。そして、それを「やれること」が日々の楽しみにつながっているのではないでしょうか。

それは、ご高齢の方にとっても同じはず。
しかし、介護が必要になると生活にまつわる何かひとつができなくなっただけで、周囲の人は「もう何もできない」と捉えて、本当はご自身ができることまで代わりにやってしまいがちです。

すると、介護される方の気持ちまで奪って身体機能の低下をさらに招き、どんどんできないことが増えていってしまいます。

ご高齢の方のQOL(生活の質)低下につながる悪循環

  • 今までできていたことができなくなる
  • 周囲が「全部できない」と思ってしまう
  • できることまで代わりにやってしまう
  • 役割がなくなったと感じ、落ち込む
  • 機能が低下する (記憶力、認知機能、身体機能など)

さらにできなくなることが増えていく

大切なのは、「やりたい」気持ちを支えること

ベネッセでは、日々の生活における行為をすべてお手伝いするのではなく、その方の「やりたい」気持ちとご自身の「できること」を知り、「やりたい」という想いを実現できるように支えていくことを大切にしています。
これまで25年にわたり、たくさんのご高齢の方とともに過ごし、多くの方が「やりたい」「役に立ちたい」という気持ちをもって、誰かのため、何かのために歩まれてきた人生を見つめてきました。そのなかで、『その方らしさに、深く寄りそう。』とは、その方の「やりたい」気持ちに寄りそうことなのだと気づきました。

施設でありがちな「やりましょう」というお声がけをするのではなく、その方の「やりたい」気持ちを引き出す働きかけをしながら「やりたいこと」の実現へとつなげていく。私たちは、この取り組みを『自発支援®と名付けました。

たとえ認知症になっても、介護が必要になっても、日常生活で「料理を振る舞う」「野菜を育てて収穫する」「スポーツで競い合う」といった、これまでの人生と変わらない普通の楽しみや目標を持てること。そして、「やれた」「役に立てた」という気持ちが生まれることが、「また」「今度は」という明日への新たな楽しみにつながると、私たちは考えます。

こうして生まれた好循環は、ご入居者様ご本人だけでなく、ほかのご入居者様の刺激にもなり、新たな好循環が生まれることにつながります。

『自発支援®』の「やりたい気持ち」が生まれる好循環

  • 五感が刺激され心が動く
  • 「やりたい」という気持ちが湧き起こる
  • 思うがままやることで心が満ち足りる
  • 周りの人と支え合い、一緒に喜ぶ
  • やれた自信と達成感があふれる
  • 新しい目標ができる

「もっとやりたい」気持ちが生まれる

次の「やりたい」気持ちが生まれやすくなる

満足感があるなかでできると、さらに効果が高まる

好循環により、明日がどんどん楽しみに

スタッフは、ご入居者様の「やりたい」気持ちのきっかけにつながるかかわりを探求。そして、想いの実現を支える「ちょうどいいお手伝い」を心がけています。

お仲間がいるから、「役割」が生きる

ホームが生活の場としてご自宅とは違う点に、「お仲間(ほかのご入居者様)」の存在があります。スタッフとの「1対1」の関係だけでなく、お仲間とのグループから生まれる「多対多」の関係があるからこそ広がる輪があります。

料理も、庭の手入れも、運動も、自分のためにだけ行ってみても、なかなか新たな意欲にはつながりにくいもの。でも、お仲間に料理を振る舞って「おいしい」といわれると、「また作ろう」という気持ちになったり、鉢植えの水やりを続けて「きれいな花が咲いたね」といわれると、「次は何を植えようかな」と考えたり。スポーツの試合でグループ一丸となって戦えば、その喜びをお仲間と分かちあうことができます。

園芸活動では季節ごとにさまざまな野菜を栽培し、収穫(まどか川口芝/2016年8月撮影)

ホーム長やお仲間と「府中へら鮒センター(弊社非運営)」へ釣りに(メディカルホームくらら調布/2017年7月撮影)

それぞれが役割を持つ料理活動は、メニューも皆様でご相談(まどか川口芝/2016年8月撮影)

「多対多」のさまざまな関係が自然に存在するホームには、その方ならではの役割により「誰かのためになれた」と感じていただける場や、知らず知らずのうちに支え合える場がたくさんあります。
それは、想像を超える相乗効果を生み、さらなる「その方らしさ」の発揮や、たくさんの笑顔へとつながります。

ホームは、これまで生活されてきた地域社会が凝縮された、新たな関係が生まれる場所でもあるのです。

※「自発支援®」とは、高齢者の自発的な活動を支援する株式会社ベネッセスタイルケアのサービスの名称です。

介護はお一人おひとりのご事情で異なりますので「必ずこういう状態に改善できます」と、お約束することまでは難しいのが実情です。しかし、私たちはお一人おひとりに深く寄りそい、皆様の介護にまつわるお悩みの解決を目指してまいります。