エピソード
vol
23

ホームをデイサービスとして利用する~不安をぬぐい、楽しみの場所へ~

2014年04月17日

娘様のご自宅から徒歩で3分ほどの所にお一人でお暮らしのお母様。2ヶ月前から急に物忘れが激しくなり、認知症との診断で、お薬が処方されました。お母様はホームを拒否されましたが、症状は進行し、娘様の介護も限界に…。

私(お客様相談担当のO)がご相談を受けた事例を紹介いたします。

初期認知症のお母様の説得に悩まれて

以前、癌を患われたことのあるお母様は、定期的に通院こそされていましたが、お元気にご自宅でお過ごしでした。しかし、次第に物忘れが目立つようになり、ある日、認知症と診断されました。お母様は「まだまだ元気で自炊もできるし、自宅で大丈夫。自炊ができなくなるまでは自宅で過ごす!」とおっしゃっていましたが、これから先のお一人暮らしを心配された娘様が、ベネッセのホームへお問い合わせをくださいました。お母様は介護認定の申請をされておらず、娘様ご自身も有料老人ホームがどういったものか分からないなかで、「ホームへの入居を本人に説得するにはどうしたらいいだろうか」と悩まれながらのご相談でした。
すぐのご利用希望ではなかったこともあり、お母様には集団生活の楽しさを知っていただくため、まずは介護認定を受けていただき、デイサービスを利用されたらどうかと提案させていただきました。
デイサービスに慣れてこられたら、ホームで開催するアクティビティにも参加していただき、楽しみながらホームに馴染んでいただき、お母様のご様子をみながらお話しを進めていくことをご提案しました。ホーム長からは、毎月ホームのアクティビティのカレンダーをお送りすることにして、娘様には他社を含めてたくさんのホームをご見学いただき、納得のいくホームを見つけていただくこともおすすめしました。
お母様は介護認定を受けられ、デイサービスに楽しく通われるようになりました。ホームにもお食事、大好きな歌のアクティビティなどにお越しいただき、「いつか入るなら、ここがいいわね。」とおっしゃっていただけるようになりました。「でも、まだまだ娘の分の食事だって作れているし、先の事よ。」との念押しも付いてきます。

主治医のお口添えで体験利用を開始

しかし、実際のお母様は、ガスを使う事も危ないご状態になられていました。「私はしっかりしているから。ボケてなんかいません」とおっしゃりながらも、ご近所の方ともトラブルが起きるようにもなり、一人にはしておけない状況になりました。遠方のご兄弟には「近くにいるのだから家族で看るべきだ」と言われましたが、仕事がある娘様にそれはできません。そのうち、段々と薬も増え、お母様はいろいろな事を拒否されたり、怒りっぽくなり、娘様につらく当られる事が増え、娘様は「いよいよ今の生活は限界だ」と感じられるようになりました。
そんな折、ちょうどお部屋の空きが出たため、娘様に6泊7日の体験利用をおすすめしました。お母様へは、主治医から「次回の定期検診の前には、食事のコントロールをしておく必要がある」と口添えしてもらい、娘様から「以前、歌の会で遊びに行ったがところが、通院先の病院と関連している所なので、そこで宿泊をしながら検査前の体調を整えましょう。」とお伝えいただきました。「デイサービスは若い男の子がいてたのしいから離れたくない。」とお母様がおっしゃっていたとうかがったので、ホームでも若い男性スタッフがご対応させていただくことに決めました。

大きな病気が見つかり、ホームは安心の場所へ

お母様は検査の準備のための入居は納得されましたが、検査が終われば自宅に帰ると言われていました。娘様から「検査の結果が出るまではここにいた方が安心だし、次の検査もあるのでもうしばらくここにいましょう」とお話しいただき、体験入居中、少しでも安心して過ごしていただけるよう、スタッフもたくさんのお声掛けをしながら過ごしていただいていました。
そんなある日、入退院しながらの治療が必要となる大きなご病気が見つかり、手術をすることにもなりました。お母様は手術後も「すぐに自宅に帰りたい」とおっしゃっていましたが、改めて主治医から一人の生活は難しいことを説明してもらい、ホームへお戻りいただきました。その後も体調を崩されることがたびたびあり、現在も検査や入院を繰り返して治療が続いています。
娘様からは、「本人は納得していなかったけれど、一緒に相談に乗ってもらい、あのタイミングで入居すると決めたことは、結果的に、本人にも私にもよい選択だった」とお話しいただいています。
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