【認知症のキホン】認知症とは?知っておきたい予防法から症状・種類

公開日:2021年12月22日更新日:2022年09月12日
認知症の基礎知識

「認知症」は、誰もが発症する可能性のある、とても身近な存在です。しかし、認知症の種類や症状などの基本的な知識について、知らない方も多いのではないでしょうか。

家族はもちろん、自分自身も認知症になるリスクがあるなかで、認知症についてしっかりと理解し、もしもの場合に備えておくことが大切です。

本記事では、認知症の原因やよくあるお悩みの対処法、受けられるサービスについて総合的にわかりやすく解説しています。

認知症とは「高齢者に多くみられる記憶障害・判断力障害」のこと

認知症は、なんらかの原因で脳の神経細胞が減少・破壊され、記憶力や判断力が鈍ってしまい、日常生活を正常に送ることが困難になる状態です。

厚生労働省では、「意識障害はないものの、脳の問題で生活に支障をきたし、おおよそ6カ月以上日常生活に支障をきたした状態」を認知症としています。代表的な認知症には、以下の種類があります。

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭葉型認知症

認知症は、脳に問題を起こすさまざまな疾患から起こります。認知症患者の多くは高齢者ですが、若年者にも起こる脳出血や脳梗塞が原因で認知症が引き起こされることもあります。

何歳から発症する?高齢者の有病率は16.7%、6人に1人が認知症

2020年の調査では、65歳以上の人の認知症有病率は、推計約602万人となっています。これは、高齢者全体の16.7%に相当する人数です。65歳以上の人に限ると、6人に1人が認知症ということになります。

そして2025年には約700万人(高齢者の5人に1人)が認知症になるという推計※もあります。認知症の有病率は年齢が高くなるほど上昇します。

参照:厚生労働省老健局|認知症施策の総合的な推進について|社会保障審議会 介護保険部会(第78回)2019年6月20日)

一方で、65歳未満で認知症を発症するケースもあります。この場合は「若年性認知症」と呼ばれます。

日本医療研究開発機構(AMED)の2017年度~2019年度調査によると、18歳~64歳の若年性認知症有病率は10万人当たり50.9人、推計人数は3.57万人です。※

※出典:日本医療研究開発機構認知症研究開発事業による「若年性認知症の有病率・生活実態把握と多元的データ共有システム」(2020年3月)

発症からの生存年数はどのぐらい?

認知症は、身体的な症状が出るケースもあるものの、生命に危険が及ぶ可能性の高い病気ではありません。

公益社団法人「認知症の人と家族の会」の調査によると、認知症の介護年数は平均6~7年ほどとされていますが、10年以上に渡って介護を行うケースも3割以上あるとのことで、決して少なくありません。

早い段階からプロに相談するなど、長期的に認知症と付き合っていく可能性も考慮して対処していく必要があるでしょう。

認知症の初期症状と種類

認知症に素早く気づくためには、初期症状や認知症の種類について、正しい知識を身に付けておくことが大切です。

認知症の初期症状は?加齢もの忘れとの違い

認知症の代表的な初期症状に、記憶障害があります。そして、人は年を取ると、だんだんともの忘れが多くなっていくものです。では、加齢によるもの忘れと認知症による物忘れはどこが違うのでしょうか? 以下の表で比較してみましょう。

  加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
原因 加齢 認知症による脳細胞の減少・破壊
症状の自覚 あり なし
記憶障害の度合い 体験したことの一部を忘れてしまう 体験したことそのものをすべて忘れてしまう

加齢によるもの忘れとは、「ついさっきまで使っていたペンをどこに置いたか忘れてしまった」「昨日のお昼に何を食べたか思い出せない」といった出来事の一部を忘れる状態です。

一方の認知症では、「ペンを使っていたこと」「昨日お昼ご飯を食べたこと」といった過去の出来事そのものを忘れてしまいます。

加齢によるもの忘れの場合、忘れていた事実を思い出すと「ああ、そうだった!」とすっきりした気分になります。ところが、認知症はその事実自体を忘れてしまうため、「そうだったかな?」と曖昧な反応になってしまうのです。

そのほか、認知症の初期症状には、「約束の時間を忘れてしまう」「外出予定の時間までに準備を終わらせられない」といったケースもあります。このような症状が進行すると、今日の日付がわからなくなったり、季節に応じた服装などができなくなったりします。

症状は「中核症状」と「主な行動・心理症状(周辺症状:BPSD)」に分かれる

認知症の症状は、「中核症状(基本的な症状)」と、それ以外の「主な行動・心理症状(周辺症状:BPSD)」に大別できます。

認知症の主な症状に「中核症状」があり、それを原因として、周辺環境や性格に応じた行動・心理症状が現れます。認知症によくある「困った行動をとる」イメージは、中核症状ではなく、それによって引き起こされた「主な行動・心理症状(周辺症状:BPSD)」(※以降「周辺症状」)です。

中核症状周辺症状

たとえば、認知症には、「近所で迷子になる」「妄想が激しい」といったイメージがあるかもしれないのですが、これらは中核症状ではなく、周辺症状に当てはまります。

こうした行動には、中核症状がベースにあるため、「認知症になると、近所を歩き回る症状が出る」という解釈は正しいとは言えません。中核症状によって自分の思うような生活ができなくなり、できないことへの焦りや、精神的不安が増えて、周辺症状を引き起こすのです。

たとえ意味のないように思えることを本人が繰り返していたり、現実ばなれした受け答えをしていたりしても、本人にとっては意味のある根拠が隠れているはずです。

まずは中核症状を理解して、どのような理由で周辺症状が出てしまっているのかを考えることが大切です。その上で、本人に寄り添った対応策をとれれば、認知症の問題行動を防げるケースもあります。

認知症の種類「アルツハイマー型」「レビー小体型」他

同じ認知症でも症状の傾向にはかなり違いがあります。一般的な傾向にとらわれずに、本人の状態に合った対策をとりましょう。また、エイズや狂牛病といった「感染症」、アルコールなどの「中毒」が原因となり認知症を発症するケースもあります。

以下で、代表的な認知症の種類についてみていきましょう。

アルツハイマー型認知症

認知症全体の3分の2以上を占めるのが「アルツハイマー型」です。脳に「アミロイドβ」などの特殊なタンパク質が溜まることで発症します。

症状としては、昔のことはよく覚えている一方、直近のことをすぐに忘れてしまうケースが目立ちます。軽いもの忘れ程度からはじまり、症状が進行すると徐々に日常生活に支障をきたすようになります。一般的な認知症のイメージに近いのは、この型でしょう。

脳血管性認知症

脳卒中(脳出血や脳梗塞、くも膜下出血など)が原因で起こる認知症で、全体の5分の1近くと、決して少ない割合ではありません。

症状は脳血管障害が起こった部位によって異なり、意欲低下、言語障害、歩行障害、嚥下障害などが見られます。 脳血管障害の発生に伴って都度段階的に進んでいくことが特徴です。

レビー小体型認知症

レビー小体(神経細胞に発生する特殊なタンパク質)が脳の大脳皮質、脳幹に影響することで起こる認知症です。

症状としては、幻視(実際にはないものが見える)、手足の震え、筋肉の硬直(パーキンソン症状)などが見られます。手足の震えや歩幅が縮まることで、転倒のリスクも高まります。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉、側頭葉の神経細胞が減少し、脳が委縮することで起こる認知症です。 症状としては、感情がコントロールできなくなる、社内的なルールを守れなくなる、徘徊を繰り返すなど、性格の変化や異常行動が特徴的です。また、前頭側頭型認知症は、国の指定難病に認定されています。

認知症の診断と治療方法

認知症は、明らかな身体的異常の出る病気ではありません。特に初期症状は、「年をとったから」と見過ごされることも多いようです。

しかし、なるべくこれまで通りの日常生活を過ごすためには、早期の診断と治療を行い、できるだけ進行を遅らせることが重要です。認知症の診断と治療方法について知っておきましょう。

認知症はどのように検査されるか?評価スケールとは

本人に気になる症状がみられた場合には、迷わず専門機関に相談してみましょう。かかりつけ医がいる場合は、まず相談しましょう。専門的な検査が必要と判断されたら、「認知症専門医」の認定を受けた医師が在籍している病院で受診します。

認知症専門医は、「もの忘れ外来」などを設けている精神科や心療内科などに多く在籍しています。

問診(面談)

まずは医師による問診が行われます。症状の聞き取りや状態の診察を経て医師が判断し、各種の検査に入っていきます。

知能検査(長谷川式・MMSEなど)

記憶能力、注意力、計算力、問題解決能力、言語能力などを総合的に検査します。 現在多くの施設で利用されている認知機能テストは「長谷川式簡易知能評価スケール」で、9つの質問に答え、30点満点中のスコアを調べるものです。質問内容はインターネットなど、さまざなところで掲載されています。

また、「MMSE検査(ミニメンタルスチール検査)」もよく実施される検査のひとつです。MMSE検査は、11の検査から構成されている検査です。時間の見当識、場所の見当識、即時想起、言語能力、注意と計算能力、短期記憶、空間認知について測ります。

ただし、これらのテストの目的は高得点を取得することではなく、認知状態を知ることです。あらかじめ答えを教えておいたり、対策をしたりして病院に行く必要はありません。また、たとえ家族が同じ質問をしたとしても、診断はできません。自己判断せず、専門医を訪ねましょう。

CT・MRI・PET・SPECT

認知症の原因を調べるために、脳の状態を確認する検査として、CT(X線を用いて体の断層写真を撮影する検査)・MRI(磁気と電波を用いた検査)・PET(脳の糖代謝検査)・SPECT(脳の血流の検査)を行うこともあります。

血液検査・尿検査

合併症によるビタミンや甲状腺機能の低下がないかを診断するための、血液検査・尿検査を行うこともあります。

認知症の治療方法は?

認知症の治療は、「投薬」と「作業療法」が基本となります。認知症は、基本的に一度かかってしまうと完治を目指せない病気とされています。しかし、状況によっては進行を緩めたり、症状をできるだけ抑えたりすることも望める場合もあります。

治らないからあきらめるのではなく、進行をどう遅らせるのかを考えて、医師に相談しながら適切な対処をしていきましょう。

投薬治療としては、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では「抗認知症薬」が処方される場合があります。抗認知症薬には、認知症状を緩和させる働きがあります。ただし、薬には副作用もあるため、効果と副作用の程度を確認しながら使う必要があります。

作業療法は、脳に刺激を与える目的で行われます。好きな音楽を聴く、歌を歌う、楽器を弾く、思い出話をする、絵を描く、工作をするなど、さまざまな作業療法があります。こうした行動は、認知症の予防のためにも、進行を遅らせるためにも効果があるとされています。

認知症のケア・対応 家族のお悩みQ&A

認知症になると、これまでにできていたことができなくなるため、さまざまな問題行動を起こす人もいます。こうした行動は、本人にとって不安や不快であると同時に、ケアをする家族にとっても深刻な課題です。

しかし、たとえ問題行動を繰り返していたとしても、認知症患者を頭ごなしに叱りつけたり、行動を否定したりすると、不満や拒否感から一層症状が強く出てしまう可能性があります。

常に穏やかに理想的な対応をするのは、難しいかもしれません。そこで、家族が認知症になった場合、起こりやすいトラブルへの対処法の一例をご紹介します。

警察に通報したり、されたり、近所迷惑を起こしてしまったらどうする?

認知症になると、近所の人に対して攻撃的になったり、大声で騒いだり、通報されてしまう場合があります。また、反対に近所の人から見張られている、嫌がらせをされている、と思い込んで本人が通報してしまう可能性もあるでしょう。これは、レビー小体型認知症の症状である「幻視」でもみられる状態です。

こういった問題に対処するためには、近所の方へ本人の状態を伝え、理解してもらう必要があります。迷惑かけた事実を謝罪するとともに、現在どのような症状が出ているのか、また同じことがあったときにどのように対処してほしいかを伝えておきましょう。また、民生委員などの専門家に相談するのも対策のひとつです。

あわせて、なぜそのような行動をとったのか、落ち着いて本人の話を聞くことも大切です。多くの問題行動は、不安や疑念から起こっています。最初から否定をせずに、まずは気持ちに寄り添い、原因の解消を目指しましょう。

たとえば、「夜、○○さんが覗いてくる!」と怒っているのであれば、「それなら、カーテンを閉めて見えないようにしよう」「本当に見えないか、ベランダから確認しよう」「見えないように、隙間に絵を飾ろう」といった提案をしてみるのもいいかもしれません。

徘徊や過食 どう対応すればよい?

徘徊や過食は、病気になるリスクも伴いますし、詐欺や犯罪に巻き込まれる危険もあります。とはいえ、完全に防ぐのが難しい症状でもあります。基本的な対処法は、近所迷惑になっている場合と同様で、本人の気持ちに寄り添った提案をすることです。

たとえば徘徊であれば、なぜ外へ出ようとするのか聞いてみます。「(実際に約束はないのに)○○さんと約束がある」「(家にいるのに)そろそろ家に帰る」など、理解しがたい理由であっても、きちんと聞いてあげましょう。

その上で、「お茶を飲んでからにしよう」「もうじき○○さんが帰ってくるから、顔を見てからにしよう」などと違うことに目を向けてもらうように誘導します。また、物理的な対処として、GPS付のキーホルダーなどを身に付けてもらうのもひとつの方法です。

一方の過食は、「今作っているから少し待って」というように、準備中である旨を伝えましょう。また、普段の食事量を減らして、その分、おにぎりなど軽食をこまめに食べてもらうのも効果的です。

人が変わったように寂しがる、お金をほしがる

ある時期を境に、寂しがったり、お金を求めたりすることで増える場合、認知症からくる不安の現れの可能性があります。

お金をほしがる場合は、なぜそう感じているのか、過去の思い出や人生について聞いたり、一緒に考えたりしてみましょう。そこに原因が潜んでいる可能性があります。

あわせて、寂しさやお金への執着を忘れられるような、別の楽しみを見つけてあげるのも効果的です。散歩や運動、レクリエーション、デイケアなど、新しい趣味や生きがい、時間の使い方を見つけることで、不安やストレスを感じる隙を減らせます。

そして、ひとりでいる時間をできるだけ少なくした、考え事をしなくて済む環境作りが大切です。

認知症と車の運転 運転免許はどう返納してもらう?

認知症の症状は基本的に段々と進行していきます。車の運転を続けるのは好ましくありません。少なくとも、認知症という診断を受けたら、たとえ現在の症状が軽くても、運転は控えるべきです。

ただし、中には本人が運転を続けたいと主張するケースも多いようです。運転を禁じたり、車のキーを隠したりといった対処を取っても、本人が乗りたがっている場合、家族の目を盗んで運転してしまう可能性があります。

このようなときは、なぜ運転をしたいのかを聞いて、運転をしなくても済む環境づくりを検討してみましょう。別の交通手段の魅力を伝えたり、運転以外の楽しみを見つけてもらったりするのがおすすめです。

認知症の家族のお金のこと 口座凍結、定期預金は解約?

認知症になってしまうと、銀行口座のお金を自分で管理するのが難しくなります。すると、口座から自由にお金をおろせなくなります。これは、キャッシュカードを持っている家族が対応した場合も同様です。

認知症になった人のお金の管理は、原則として「成年後見人」が行います。成年後見人には、認知症になった後で家庭裁判所に申し立てる「法定後見制度」と、認知症に備えて事前に任意に決めておく「任意後見制度」があります。

また、「資産承継信託」を利用して、指定の口座から家族がお金を引き出せるようにしておくことも可能です。この場合、引き出せるのは事前に決めておいた用途に関する費用のみのため、家族の誰かがお金を使いこんでしまうなどのトラブル回避にもつながります。

お金の問題は、認知症が進んでから対処するのが困難です。早めにどのような形をとるのか検討し、手続きをとっておきましょう。

不動産売買や相続

認知症になった方が施設に入居すると、自宅が空き家になることもあります。ただ、本人が認知症と診断された場合、意思能力がないと判断され、不動産売却のような法律行為ができなくなる可能性がありますので注意が必要です。また、このようなケースでも、成年後見人であれば、本人に代わって不動産の売買が可能です。

なお、不動産などを任意の相続人に受け渡すためには、意思能力があるうちに、遺言書を作っておく必要があります。

認知症になりやすい人の特徴や予防のヒント

認知症は、誰もがなり得る可能性があります。予防をしたからといって、完全に防げるわけではありません。 しかし、認知症予防のためにできることはありますので、ここでは認知症になりやすいとされる人の特徴と予防方法を解説します。

性格的な特徴はある?

コミュニケーション能力の低い人や、怒りっぽい人、ネガティブな人などは認知症になるリスクが高いと言われています。

ただし、性格が認知症を引き起こすわけではありません。怒りっぽく、周囲とのコミュニケーションをうまく取れない人は、人の輪の中に入りづらく、社会性を失いがちです。認知症予防のためには、社会とかかわりを持って脳に刺激を与えることが大切なため、人と過ごす機会が少なくなると、認知症のリスクが高まるとされています。

同様に、ネガティブで後ろ向きの考え方をしがちな人は、抑うつ状態に陥りやすく、そういったことから認知症を引き起こす原因になります。

食べ物で予防できる?

認知症予防に直接的な効果はありませんが、脳の健康を維持するためには、食事にも気を付けたいところです。以下のようなことに注意しましょう。

バランスよく食事をとる

脳・心身の健康を守るためには、バランスのよい食事が欠かせません。栄養が偏ることのないように、日々の献立を工夫しましょう。

また、積極的に摂取したい栄養素もあります。認知症の原因のひとつとして挙げられるのが、アミロイドβの脳内への蓄積です。

こちらの予防につながるとされているのが、青魚などに含まれるEPAやDHAなどの多価不飽和脂肪酸。 ワインに含まれるポリフェノールや、お茶に含まれるカテキンなどの抗酸化物質も、アミロイドβが溜まることを抑えられるといわれています。

摂取カロリーに注意する

肥満になるとアルツハイマー型認知症を引き起こしやすくなるため、過剰にカロリーを摂取しないよう注意しましょう。肥満は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が認知症の発症率を高める可能性も指摘されています。

塩分・糖分の取りすぎは避ける

塩分の取りすぎは高血圧のもとです。高血圧は脳梗塞を引き起こし、脳血管性認知症の原因になるため、減塩を心がけましょう。 和食はお味噌汁やお漬物など、塩分が多めになりがちなので、塩分過多にならないよう気を付けてください。 また、糖分の取りすぎも肥満を招き、アルツハイマー型認知症のリスクを引き上げる可能性があります。

運動や生活習慣の改善で予防できる?

運動や規則正しい生活習慣も、認知症予防につながるとされています。たとえば、以下のようなことを心がけましょう。

  • 近所づきあいや趣味の集まりに参加をして刺激を受ける
  • 本を読んだり日記を書いたりといった習慣を持つ
  • 散歩やストレッチなど適度な運動をする(週3以上の有酸素運動が望ましい)
  • 十分な睡眠をとる

趣味や人との交流で刺激を受けたり、適度な運動をして脳の血流を促進したりすることは、認知症予防に効果的といわれています。

口腔ケアは予防効果も

口腔の状態が悪い人、歯がほとんどない人は、認知症の発症リスが高いといわれています。 これには、以下のような理由があります。

  • 歯周病の炎症によって血管に障害が出て、動脈硬化のリスクを高める可能性がある
  • 歯周病の炎症によってインシュリンの働きが阻害され、糖尿病のリスクを高める可能性がある
  • 健康な歯が減ると、噛む力が衰えて肉や繊維質の多い野菜を食べにくくなり、栄養バランスが悪くなる
  • 歯が減ることで歯並びが悪くなったり、歯周病による口臭が気になったりして、人に会いづらくなる

口腔の状態が悪くなることで、このようなリスクが出てきます。日々の口腔ケアや定期検診、定期クリーニングも、認知症予防に効果があると考えられるのです。

認知症のお年寄りを見守るあたたかな未来のために

認知症を予防するためにも、また、症状が出た人が安心して暮らしていくためにも、本人の状態をよく理解し、その時々に合った準備と対応をすることが効果的です。

そのため、認知症の問題を家族が抱え込んでしまうのは、ケアをする側、される側、双方にとって望ましくありません。行政サービス、民間サービスなども活用しながら、ストレスなく、安心して暮らせる毎日を目指しましょう。

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監修者:杉山 孝博(すぎやま たかひろ)
川崎幸クリニック院長
杉山 孝博
監修者:杉山 孝博(すぎやま たかひろ)
川崎幸クリニック院長

川崎幸病院副院長を経て1998年より川崎幸病院の外来部門「川崎幸クリニック」院長に就任。公益社団法人認知症の人と家族の会全国本部副代表理事、神奈川県支部代表。認知症と介護に関する著書、講演など多数。

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