初期症状と早期発見の医学的な効果

公開日:2021年12月22日更新日:2022年09月12日
認知症初期症状

認知症の診断技術は、近年、格段に進歩しています。以前に比べるとかなり症状の軽い段階でも認知症の診断がつき、早期に治療を開始できるようになっていますので、気がかりがあるときは、ためらわず早めに受診しましょう。

認知症は、原因となる病気によっては薬で進行を遅らせたり、手術で症状を改善したりすることができます。治療は早ければ早いほど効果が期待できるため、早期発見、早めの治療が肝心です。

本人と家族への利点

早期発見の大きな利点として、本人と家族の悩みや負担が深刻になる前に軽減できることも重要です。医師をはじめとする専門家からの説明や具体的なアドバイスが受けられるため、心配事への対策が考えられるようになり、認知症との向き合い方がかわります。また、診断を受けると介護サービスが利用できるので介護する人にも余裕が生まれます。

初期症状のチェックポイント

加齢のせいだろう、もともとの性格だろうと考えていると、対応は遅れてしまいます。とはいえ、どのような症状が出てきたら認知症を疑うのかは、難しいところです。
認知症の可能性を考える手がかりとして、公益社団法人認知症の人と家族の会が作成した「早期発見の目安」を紹介します。

家族がつくった認知症早期発見のめやす―公益社団法人認知症の人と家族の会―

もの忘れがひどい

  1. 01 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
  2. 02 同じことを何度も言う・問う・する
  3. 03 しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
  4. 04 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

判断力・推理力が衰える

  1. 05 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
  2. 06 新しいことが覚えられない
  3. 07 話のつじつまが合わない
  4. 08 テレビ番組の内容が理解できなくなった

時間・場所がわからない

  1. 09 約束の日時や場所を間違えるようになった
  2. 10 慣れた道でも迷うことがある

人柄が変わる

  1. 11 些細なことで怒りっぽくなった
  2. 12 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
  3. 13 自分の失敗を人のせいにする
  4. 14「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた

不安感が強い

  1. 15ひとりになると怖がったり寂しがったりする
  2. 16外出時、持ち物を何度も確かめる
  3. 17「頭が変になった」と本人が訴える

意欲がなくなる

  1. 18 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
  2. 19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
  3. 20 ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる

※これは認知症の診断基準ではありません。
※該当する項目が複数あるときは、専門機関で診断を受けることをおすすめします。

【コラム】認知症の疑いがある人が病院に行きたがらないときは?

早期発見の重要性はわかっていても、いざ受診するとなると本人は躊躇することもあります。特に、「認知症の検査に行きましょう」と言われたり、「認知症外来」や「精神神経科」という名前の診療科に行くのには抵抗を感じる人が多いようです。

かかりつけの医師に相談できるなら、ふだんの診察のついでに簡単な検査をお願いして、認知症専門のよい先生を紹介してもらうという方法があります。「もの忘れ外来」「老年科」「心療内科」などの高齢者向けの診療科で相談して、専門の科に紹介してもらうのもいいかもしれません。保健所で認知症相談の窓口を設けているところもあります。身近な相手から誘われると行きにくいという場合は、離れて暮らす家族や知人、ヘルパーなど誘う人を変えると応じやすくなることもあります。

いずれにしても「ちょっと相談してみましょう」「健康診断を受けてみましょう」と気軽な雰囲気で誘うのがいいようです。

※記事の内容は2021年12月時点の情報をもとに作成しています。

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監修者:杉山 孝博(すぎやま たかひろ)
川崎幸クリニック院長
杉山 孝博
監修者:杉山 孝博(すぎやま たかひろ)
川崎幸クリニック院長

川崎幸病院副院長を経て1998年より川崎幸病院の外来部門「川崎幸クリニック」院長に就任。公益社団法人認知症の人と家族の会全国本部副代表理事、神奈川県支部代表。認知症と介護に関する著書、講演など多数。

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