【介護のキホン】デイサービスの費用は1回いくら?要介護度や利用時間による料金の違い・軽減制度までわかりやすく解説

公開日:2023年03月31日更新日:2023年06月04日
デイサービスの費用相場

「デイサービスの費用はどのくらい必要なの?」
「自己負担を軽くできる制度はあるの?」

このように考えている方も多いのではないでしょうか。

デイサービスとは、日帰りで介護サービスを提供する介護施設です。利用者の心身機能の維持やひきこもりの 解消・家族の介護負担軽減などを目的としています。

しかし、いざ利用したいと思っても、どのくらい費用がかかるのかわからないと不安ですよね。

そこで本記事では、デイサービスの費用の仕組みや1日にかかる自己負担額について、わかりやすくにまとめました。

費用負担の軽減制度や控除についても詳しく紹介しているので、デイサービスの利用を検討している方は、ぜひお役立てください。

デイサービスの費用(自己負担額)は1回1,000~2,000円程度

デイサービスの費用は施設によって異なり、1回あたりおよそ1,000~2,000円ほどかかります。

「国が定める自己負担額(保険適用内)」と「それ以外の諸費用(保険適用外)」があり、それらを合計するとおよそ1,000~2,000円ほどにおさまることが多いです。

ただし国が定める自己負担額は、地域や介護度によって異なります。

施設によっても料金は変わってくるので、費用の詳細については利用する施設のサービス料金表などを確認しておきましょう。

なおデイサービスのサービス内容や利用手順については「デイサービス(通所介護)とは?」で詳しく解説しています。

デイサービスの費用は「保険適用の費用」と「保険適用外の費用」の合計で決まる

デイサービスの費用は「介護保険適用の費用」と「介護保険適用外の費用」の合計で決まります。

1日の自己負担額の目安を以下の表にまとめました。(1割負担の場合)

介護保険 費用 自己負担額の目安 費用の発生条件
適用 利用料(1割負担) 350円~1,200円ほど 全施設でかかる費用
サービス加算(1割負担) 40円~200円ほど 特定の施設でかかる費用
適用外 食費(全額負担) 500円~1,000円ほど 食事が提供される施設でかかる費用
日用品などその他の費用
(全額負担)
100円~ おむつや歯ブラシなど施設の備品を使用した際に発生する費用

介護保険適用内の費用については、原則1割が自己負担額となります。(収入額によって2~3割になる場合もあります)

介護保険が適用される“利用料”と“サービス加算”は、介護度や利用時間で決まる「単位」によって金額が算出されます。(本記事では1単位=1円で計算しています)

介護保険における単位とは、地域区分・サービスの人件費割合・介護度などによって定められた点数のことです。

   

単位の単価や算出方法については、のちほど「利用料の単位を決める要素③「地域」の章で詳しくまとめています。

介護保険適用の費用「利用料」について

「利用料」とは、デイサービス利用時の滞在や送迎、レクリエーションに対して請求される費用のことです。デイサービスを利用する際に必ずかかる費用となります。

利用料は、国が定めた単位によって金額が決まります。そしてその単位も、以下の要素によって変動します。

  • 利用時間と要介護度
  • 施設の規模
  • 利用する地域

ここから単位の算出方法について見ていきますので、利用者の状況と照らし合わせながらご覧ください。

利用料の単位を決める要素①「利用時間と要介護度」

まずは、利用時間と要介護度の違いによる利用料の算出方法についてご紹介します。

利用時間と要介護度ごとの利用料を以下の表にまとめました。

※1割負担・通常規模型(月平均利用者数301人以上~750人以内)の場合の1回あたりの自己負担額

要介護度/利用時間 3時間以上4時間未満 4時間以上5時間未満 5時間以上6時間未満 6時間以上7時間未満 7時間以上8時間未満 8時間以上9時間未満
要介護1 368円 386円 567円 581円 655円 666円
要介護2 421円 442円 670円 686円 773円 787円
要介護3 477円 500円 773円 792円 896円 911円
要介護4 530円 557円 876円 897円 1,018円 1,036円
要介護5 585円 614円 979円 1,003円 1,142円 1,162円

※表内の金額は厚生労働省「介護報酬の算定構造」を参考に、1単位=1円で算出。(以下全ての金額は同じ)

このほか施設規模の大きさや地域によっても、若干料金は異なります。

ここから順番に解説していきますので、参考にしてみてください。

利用料の単位を決める要素2.施設の規模

利用時間と要介護度に加えて、施設の規模によっても利用料は異なります。

具体的な金額の違いを以下の表にまとめました。

※1回あたりの自己負担額(1割負担・要介護1の利用者が8時間利用した場合)

デイサービスの規模 1回あたりの自己負担額
地域密着型(月平均利用者数300名以下) 750円
通常規模型(月平均利用者数301名以上750名以内) 655円
大規模型1(月平均利用者数751名以上900名以内) 626円
大規模型2(月平均利用者数901名以上) 604円

※参照 厚生労働省「介護報酬の算定構造」

デイサービスの規模が小さいほど金額が高く、規模が大きいほど金額は低い傾向にあります。

利用料の単位を決める要素③「地域」

前述した通り、「単位」とは地域区分や介護度・人件費によって定められた点数を指します。

基本は1単位10円ですが、地域によって賃金の差があるため、地域別に単価が異なります。

地域別の単価を表にまとめましたので、お住まいの地域の単価をご確認ください。

デイサービスの規模 1回あたりの自己負担額 1回あたりの自己負担額
1級地 10.90円
  • 東京23区
2級地 10.72円
  • 東京都町田市
  • 神奈川県横浜市
  • 大阪府大阪市など
3級地 10.68円
  • 埼玉県さいたま市
  • 千葉県千葉市
  • 東京都八王子市など
4級地 10.54円
  • 茨城県牛久市
  • 大阪府豊中市
  • 兵庫県神戸市など
5級地 10.45円
  • 愛知県豊田市
  • 京都府京都市
  • 福岡県福岡市など
6級地 10.27円
  • 宮城県仙台市
  • 栃木県宇都宮市
  • 和歌山県和歌山市
7級地 10.14円
  • 静岡県浜松市
  • 岡山県岡山市
  • 香川県高松市など
その他 10円 1~7級地に該当しない地域

※参照:厚生労働省「地域区分について」
※人件費の割合によっても単価が異なります。今回は45%を例に算出しています。

単価に大きな差はありませんが、利用回数が増えるとその分金額も増えるため、事前にお住まいの地域区分を確認しておきましょう。

保険適用の費用「サービス加算」について

サービス加算とは、“特定のサービス”“人員体制の強化”に対して請求される費用のことをさします。利用料と同様に介護保険適用内の費用です。

サービス加算における“特定のサービス”とは、栄養改善の取り組みや口腔ケア・入浴介助が該当します。

一方、“人員体制の強化に対して発生する加算”「サービス提供体制強化加算」といいます。

それぞれの加算の特徴や費用が発生する要件について、詳しく見ていきます。

サービス提供体制強化加算がかかる施設の要件

「サービス提供体制強化加算」とは、“基準を満たした施設”を利用する場合、利用者全員に加算される費用です。利用サービスの種類問わず一律の金額が発生します。

施設がサービス提供体制強化加算を請求できる基準は、以下の2つです。

  • 1.デイサービスの人員基準を満たしていること
  • 2.利用定員内でサービスを提供していること

これら2つの基準を満たした施設を利用する場合は、サービス提供体制強化加算がかかることになります。

サービス提供体制強化加算は、施設の介護福祉士有資格者の割合が多いほど加算される仕組みです。

サービス提供体制強化加算の種類を、各サービスの要件と加算金額を表にまとめました。

種類 加算 要件
サービス提供体制強化加算(1) 22円/1回 以下どちらかに該当
  • 介護福祉士が70%以上在籍
  • 勤続10年以上の介護福祉士が25%以上在籍
サービス提供体制強化加算(2) 18円/1回
  • 介護福祉士が50%以上在籍
サービス提供体制強化加算(3) 6円/1回 以下どちらかに該当
  • 介護福祉士が40%以上在籍
  • 勤続7年以上の者が30%以上在籍

※参考
厚生労働省「介護報酬の算定構造」
千葉県長生郡白子町HP

経験豊富な介護職員がいる施設を利用したい場合は「サービス提供体制強化加算を届けている施設かどうか」も判断基準のひとつです。

サービス提供体制強化加算がかかるデイサービスは、人員体制が強化された施設であることから、通常よりも利用料が高くなってしまいます。

しかしその分、経験豊富な介護職員が多くいることの証明ともなります。サービスの質をあらかじめ知ることができるひとつの指標といえでしょう。

サービス加算の種類

先ほど紹介したサービス提供体制強化加算は、特定の施設でのみ加算される費用でしたが、ここからは「どの施設でも請求されるサービス加算」について見ていきます。

利用者が特定のサービスを受けた場合、サービス加算が追加されます。

サービス加算名称 内容 加算料金
入浴介助加算
  • 入浴中の利用者の観察
  • 入浴中のサポート
40~55円/1日
口腔機能向上加算
  • 利用者の口腔機能改善管理指導計画作成
  • 口腔機能に関する個人指導の実施
150~160円/1回
栄養改善加算
  • 低栄養のおそれがある利用者の栄養管理
  • 栄養に関する相談への対応
栄養に関する相談への対応

※参考 厚生労働省「介護報酬の算定構造」

これ以外にも、デイサービスでは10種類以上のサービス加算があります。

サービス加算の種類や費用については、利用前に施設側に確認しておきましょう。

介護保険が適用されない「食費」「そのほかの費用」について

食費やそのほかの費用については、介護保険が適用されず全額自己負担となります。

食費は施設側が自由に設定できますが、金額はおよそ500〜1,500円程度 におさまります。

詳しい料金は、事前に施設側に確認しておきましょう。

おむつや歯ブラシなどの日用品は、利用した場合のみ費用がかかります。1日の目安は数百円ほどです。

デイサービス側が用意している日用品を使った場合に請求されるため、私物を持ち込むことで費用を抑えられるでしょう。

デイサービスの自己負担額の一例

デイサービスの自己負担額の一例 を紹介します。

<要介護1の場合の費用>

  • 滞在時間:6時間のデイサービス
  • サービス加算:入浴加算+口腔機能向上加算
  • 自己負担割合:1割
  • 地域単価:10.00円(その他実費の単位を円に換算)
  • 食費:500円
  • その他実費:200円

A:介護保険適用の費用(利用料・サービス加算)

「利用料(581単位)」+「サービス加算(入浴加算・口腔機能向上加算 190単位)」×「地域ごとの単価(10円)」×「自己負担割合1割」

=自己負担額771円

B:介護保険適用外の費用(食費・その他実費)

「食費」500円+おむつ代などの「その他実費」200円

=700円

A+B:771円+700円=1,471円

この場合、デイサービス1回の費用合計は「1,471円」となります。

デイサービス費用の軽減制度

デイサービスの利用にあたっては、自己負担額を減らすために、以下のような制度があります。

  • 高額介護サービス費制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度

それぞれ詳しい内容を見ていきます。

なお、軽減対象は介護保険適用の費用(利用料・サービス加算)のみで、食費やそのほかの費用は対象外です。

介護保険サービスの軽減制度については、「【知って損なし!】介護の負担軽減に役立つ支援制度とは?」でもわかりやすくまとめているので、ぜひご覧ください。

高額介護サービス費

「高額介護サービス費」とは、介護保険サービス費が月々の上限を超えた場合に、超過分が払い戻しになる制度です。

所得額別の支払い上限額を以下の表にまとめたので、ご確認ください。

項目 項目
年収約1160万円~
(課税所得690万円以上)
140,100円(世帯)
年収約770万~1160万円
(課税所得380万円以上)
93,000円(世帯)
年収約770万円未満
(課税所得380万円未満)の住民税課税世帯
44,400円(世帯)
世帯の全員が住民税非課税 24,600円(世帯)
世帯全員が住民税非課税かつ前年の合計所得額80万円以下の人など
  • 24,600円(世帯)
  • 15,000円(個人)
生活保護受給者など
  • 15,000円(世帯)

※参照:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」

自己負担の上限額は基本的に世帯ごとの上限値が決められていますが、中には個人でも上限が決まっている場合があるので、自身が当てはまる場合には細かく確認するようにしてください。

利用するには申請が必要なため、お住まいの自治体の介護保険課に問い合わせてみましょう。

高額医療・高額介護合算療養費

「高額医療・高額介護合算制度」とは、“1年の間にかかった介護費と医療費の自己負担金”が限度額を超えてしまった場合に、超えた分の費用を払い戻す制度です。

この制度は介護費だけでなく、医療費も多く支払っている人の負担を軽減するために作られています。

限度額の詳細は、以下のとおりです。

区分 後期高齢者医療制度+介護保険 被用者保険又は国保+介護保険
(70歳~74歳がいる世帯)
被用者保険又は国保+介護保険
(70歳未満がいる世帯)
現役並み所得者 67万円 67万円 126万円
一般 56万円 62万円 67万円
低所得者2 31万円 31万円 34万円
低所得者1 19万円 19万円 34万円

限度額や負担軽減の例は、厚生労働省の「高額介護合算療養費制」ページも参考になるので、あわせてご覧ください。

デイサービス費用に対する控除制度

デイサービス費用は条件を満たすことで、以下3つの控除の対象になります。

  • 医療費控除
  • 扶養控除
  • 障害者控除

医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で、利用者や家族が一定以上の医療費を払った際に所得の控除が受けられることです。

以下のサービスと併用することで、デイサービスの費用は医療費控除の対象となります。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所療養介護

控除対象になっている場合、施設側が請求書に「医療費控除対象額」を記載することが義務づけられているので、事前に伝えておきましょう。

また、医療費控除は確定申告で申請するため、デイサービスの領収書が必要です。

そのほか確定申告で必要な書類については、お住まいの地域の税務署でお確かめください。

※参照:国税庁「申告手続の流れ」

なお医療控除の対象は、介護保険が適用される費用である「利用料」と「サービス加算」のみです。

扶養控除

扶養控除とは、納税者(世帯主)に扶養親族がいる場合に、その納税者の所得から一定の金額を控除できる制度です。

控除される金額は、同居の有無や親族の年齢によって異なります。

扶養親族がデイサービス利用者の場合、納税者は以下の条件を満たすことで控除が可能になります。

  • 扶養親族が70歳以上である
  • 扶養親族の年間の所得が38万円以下である
  • 養親族と納税者が生計を一にしている
  • 納税者が個人事業主ではない

条件のなかに「生計を一にする」とありますが、必ずしも同居をしている必要はなく、別居状態でも控除対象となります。

ただし控除額は10万円ほど異なりますので、その点はご注意ください。

  • 同居の場合:58万円
  • 別居の場合:48万円

なお扶養控除を受ける際は、自営業なら確定申告を、会社員なら勤務先へ扶養控除申請書の提出を忘れずに行いましょう。

障害者控除

障害者控除とは、障害のある人やその家族が受けられる控除制度です。

本人もしくは同じ家計で生活する配偶者や扶養親族が所得税法における「障害者」に当てはまれば利用できる所得控除制度です。

デイサービス利用者が下記に該当する場合、障害者控除の対象となります。

  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
  • 身体障害者手帳に身体上の障害があると記載されている
  • 療育手帳の交付を受けている
  • 65歳以上かつ市町村によって障害者控除の対象と認められている
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている 

上記の対象はあくまで一例のため、詳細は国税庁の情報をご確認ください。

※参照:国税庁|障害者控除

要介護認定と障害者認定は異なります。しかし自治体が定める一定基準を満たすと、要介護認定を受けた人は障害者控除の対象になることがあります。

障害者控除対象の場合は27万円の控除ですが、特別障害者控除対象になると40万円の控除が受けられます。

また、扶養控除と障害者控除の双方に該当する場合、どちらも適用可能です。

まとめ

本記事では、デイサービスの費用について見てきました。

デイサービスの費用は、要介護度や利用時間によって異なります。

最適な利用回数や時間については、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

自己負担額が大きくなる場合は、負担を抑えるための減額制度や助成制度を活用する選択もできます。

無理のない範囲で支払いが継続できるよう、ご自身の経済状況に合ったホームを選択していくことが大切です。

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監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
川村 匡由
監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格  

博士(早稲田大学)、福祉デザイン研究所所長、武蔵野大学名誉教授。

1994年、つくば国際大学教授に就任後、武蔵野大学大学院教授を歴任。専門は社会保障、高齢者福祉、地域福祉、防災福祉。シニア社会学会・世田谷区社会福祉事業団理事。

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