介護保険サービスの自己負担額の考え方

公開日:2021年12月22日
介護保険サービスの自己負担額

介護保険サービスを利用する際に気になる点として、「費用」があります。安心して介護保険サービスを受けるためにも、かかる費用の目安を知っておきましょう。
介護保険サービスにおける自己負担割合の決定方法や、実際の負担額をシミュレーション付きで見ていきます。

介護保険サービスの自己負担分はいくら?

介護保険サービスは、利用料の一部を介護保険でまかなうことができます。そのため、介護費用の全額を自己負担する必要はありません。
介護保険サービスを利用した際の自己負担額について見ていきましょう。

自己負担額は原則1割。所得次第で2・3割負担

介護保険サービスを利用した場合、利用金額の多くは介護保険でまかなわれます。自己負担金額は、所得に応じて1割・2割・3割の間です。
たとえば、毎月3万円分の介護保険サービスを利用したとしても、1割負担の場合、自分で支払う金額は3,000円で良いということです(2割負担なら6,000円、3割負担なら9,000円)。これに、実費で支払う食費や日用品代等が追加された金額が、基本的な「介護にかかるお金」になります。

自己負担割合の決まり方

要支援・要介護認定を受けた人が使える介護保険サービスの自己負担割合は、本人や世帯の所得に応じて決まり、基本的に所得が高い人ほど自己負担の割合は大きくなります。

自己負担割合の決まり方

自己負担割合が決まるタイミング

それぞれの人の自己負担割合は、「介護保険負担割合証※」に明記されています。介護保険負担割合証は、介護保険被保険者証が発行される際、同時に発行されるので、確認してみましょう。
なお、負担割合は、毎年8月に更新されます。7月下旬になると、お住まいの市区町村から自動更新で新しい負担割合証が郵送されてきます。必ず受け取って、保管しておきましょう。なお、何らかの理由で所得が増減すると介護保険の自己負担割合が変更になる場合もあります。
※介護保険負担割合:介護保険のサービスを利用したときの利用者負担割合を記載したもの。

介護保険の区分支給限度額

介護保険には、要支援・要介護度別に1ヶ月に介護保険サービスを利用できる上限である「区分支給限度額」が決められています。この区分支給限度額の範囲内で、介護保険サービスの利用が可能です。なお、区分支給限度額を超えた分や、介護サービスの範囲外で利用したサービスに関しては、全額自己負担となります。 以下の在宅サービスの支給限度額を見ていきます。

【区分支給限度額例】(在宅サービス/基準値)

要介護度 支給限度額
要支援1 5,032単位
要支援2 10,531単位
要介護1 16,765単位
要介護2 19,705単位
要介護3 27,048単位
要介護4 30,938単位
要介護5 36,217単位

※2021年12月1日時点の情報です。

介護保険サービスの金額は全国一律の「単位」で決められています。基準値は「1単位=10円」です。1単位いくらかは地域によって異なり、0%~20%の範囲で割増されていて、利用金額が異なります。なぜなら、全国が8つの地域に区分されていて、その地域単位を掛けて計算されるからです。実際は地価、人件費、運搬費などが高い都市部は高くなっています。
例えば上記表で「要介護1」であった場合、基準値換算でいうと「16,765単位」は「167,650円」となり、自己負担割合1割であれば、自己負担額は「16,765円」となります。

介護保険が使えるサービスの種類と料金目安

介護保険が使える主な介護保険サービスの種類を見ていきます。
なお、多くの介護保険サービスは、要介護度が高くなるに従って高額になります。また、実際にかかる金額は地域によって異なるため、金額の詳細は担当のケアマネージャーや介護サービス事業所に確認しておきましょう。

●居宅介護サービス

居宅介護サービスとは、自宅で受けられる介護サービスや、自宅から施設へ通って受けられる介護サービスのことです。

●施設サービス

施設サービスは、特別養護老人ホームのような介護保険施設に入居して受ける介護サービスを指します。介護保険料の自己負担分のほかに、別途、居住費や食費、その他費用などが必要です。

●地域密着型サービス

地域密着型サービスは、介護サービスを提供している事業者と同じ地域に住んでいる人が利用できる介護サービスです。グループホームのように施設へ入居する介護サービスや、施設に通うサービス、自宅訪問してもらうサービスなどがあり、利用者の必要に応じて組み合わせて利用することができます。
なお、ここで紹介したサービス以外にも介護保険が使えるサービスは多数あります。それぞれの人に適したケアプランについては、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

介護保険サービスの自己負担軽減につながる制度

介護保険を活用することによって、利用者の負担を抑えながら介護保険サービスを受けることができます。しかし、サービス1回分の料金は少額でも、それが積み重なるとその負担は大きくなります。
そのような場合、条件によっては、自己負担の軽減制度を適用できる可能性があります。事前に制度の種類と条件を押さえておきましょう。

介護保険料の軽減措置

40歳を超えた人は、高齢者を含め、介護保険料を納めなければなりません。
介護保険料の金額は、「保険料基準額×負担割合(保険料率)」によって決まります。所得が一定以下の場合、負担割合が少なくなります。

区分 保険料計算式
世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入等が80万円以下 保険料基準額×0.3
世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入等が80万円超120万円以下 保険料基準額×0.5
世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入等が120万円超 保険料基準額×0.7
本人が住民税非課税(世帯に課税者がいる)で、本人年金収入等が80万円以下 保険料基準額×0.85
本人が住民税非課税(世帯に課税者がいる)で、本人の年金収入等が80万円超 保険料基準額×1.0

ここでは本人の住民税が非課税の場合について紹介していますが、課税の場合は、所得金額に応じての負担割合(保険料率)増えていきます。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、毎月の介護保険サービスの自己負担分が一定額を超えた場合に、その分を支給してもらえる制度です。上限額は、所得によって決まります。
なお、利用には市区町村への申請が必要です。

区分 自己負担の上限額(月額)
※1 生活保護受給者等 15,000円(個人)
※2 住民税非課税で、年金収入+その他所得の合計80万円以下 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
住民税非課税で、※1・2以外の人 24,600円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が380万円(年収約770万円)未満の人 44,400円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が380万円(年収約770万円)以上690万円(年収約1,160万円)未満の人 93,000円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が690万円(年収約1,160万円)以上の人 140,100円(世帯)

※2021年8月~適用(出典:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」

特定入居者介護サービス費(補足給付)

特定入居者介護サービス(補足給付)とは、介護老人福祉施設(特養)のような介護保険施設に入居している人のうち、所得金額や資産が一定以下の人は、自己負担額が一定額を超えた場合にその分を支給してもらえる制度のことです。介護老人福祉施設(特養)以外では、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、介護療養型医療施設など公的施設の入居者、また、その他介護保険施設入居者、ショートステイが対象です。
世帯全員が住民税非課税で、預貯金額が500万円(夫婦世帯の場合1,500万円)以下の場合は利用できる可能性がありますので、市区町村に問い合わせてみましょう。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、一世帯内で病院にかかった際に支払う医療保険の自己負担分と、介護保険の自己負担分両方の合算金額が一定額を超えた場合に支給を受けられる制度です。限度額は所得額や年齢によって異なり、申請は加入している医療保険に対して行います。
なお、この制度で合算できるのは、国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の各医療保険に加入している世帯の人だけです。
たとえば、同一世帯であっても、一方が国民健康保険加入者、一方は後期高齢者医療制度加入者のような夫婦の場合は、合算の対象になりません。

介護保険サービスを熟知して、自己負担額を計算しよう

介護保険サービスには、さまざまな種類があり、組み合わせて利用するのが一般的です。「結局いくらあれば安心なのか」がわかりにくいことも多く、不安に感じる方いるかもしれません。しかし、介護保険サービスには各種の軽減制度も多く用意されているため、どの条件に該当するのか確認することをおすすめします。
お住まいの地域の市区町村役場や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーなどに相談しながら、負担の少ない方法を検討していきましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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