【介護の基礎知識】介護保険とは何か?仕組みやサービスの種類などを簡単にわかりやすく解説

公開日:2021年12月22日更新日:2023年06月04日
介護保険とは

介護保険について、「健康保険加入者は40歳から保険料を納める」、「65歳から利用できる」とは知っているけれど、それ以上のことはわからないという人も多いのではないでしょうか。

介護保険の仕組みや利用方法が複雑で、なかなか内容が理解されにくいのが現状です。

しかし、家族や自分の人生を支えることになる大切な制度なので、もしもの時に備えてしっかりと理解しておくことが大切です。

本記事では、介護保険とはなにか、介護保険料の計算方法、介護保険の対象者など、介護保険についてわかりやすく解説します。

介護保険制度とは?

介護保険は、介護を必要とする人を社会全体で支えるためにつくられた制度です。

介護を必要とする方が少ない負担でサポートを受けられるよう、全国の市区町村が保険者(保険事業の運営主体)となっています。

そして、地域に住む40歳以上の住民が被保険者となり、被保険者が納める「介護保険料」と「税金」で運営されています。

介護保険を利用する際は、本人に介護がどの程度必要なのか判定を受け、各市区町村の担当課や地域包括支援センター要介護認定の申請が必要です。

厚生労働省の定義では、介護保険制度は「高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組み」とされています。

介護保険創設に至るおおまかな経緯は以下の通りです。

1994年(平成6年)3月 高齢社会福祉ビジョン懇談会「21世紀福祉ビジョン」の提言
1994年(平成6年)12月 高齢者介護・自立支援システム研究会が発足
2000年(平成12年)4月 介護保険法施行

そして、介護保険は3年ごとに改正が行われています。

介護保険の意義

急激な高齢化や核家族化などによって、高齢者の介護は深刻な社会問題となっています。

介護保険制度は、これまで家族が行っていた介護を、地域や社会全体でも担うことを目的として施行されました。

介護が必要な人の尊厳を保ちながら、能力に応じて自立した日常生活をおくるには、家族だけでなく周囲の支援が欠かせません。

介護保険サービスを活用することで、本人や家族にかかる身体的・経済的な負担を軽減します。

こうして、地域や社会全体で介護が必要な人を支えていくことを目的に「介護保険制度」がつくられました。

介護保険の考え方

介護保険制度は、基本的な3つの考え方のうえに成り立っています。

【基本的な考え方】

  • 自立支援
  • 利用者本位(利用者主体)
  • 社会保険方式

ここからそれぞれの考え方を見ていきます。

自立支援

サポートをする側(援助者)基準の支援ではなく利用者の選択により、保健医療サービスや 福祉サービスなど総合的に利用できる。

利用者本位(利用者主体)

サポートをする側(援助者)基準の支援ではなく、利用者の選択により、総合的に利用できる。

社会保険方式

給付と負担の関係が明確な「社会保険方式」を採用している。

介護保険は加入が義務付けられている

介護保険は、社会全体で介護が必要な方を支えるという理念のもと定められた制度です。

そのため、40歳に達すると介護保険へ自動的に加入となり、保険料を支払うことになります。

社会保険との関係は?

介護保険と社会保険は、どちらも国が運営している保険ですが、対象となる方や保証内容が異なります。

社会保険には、5つの種類があります。

  • 1.介護保険
  • 2.医療保険
  • 3.年金保険
  • 4.雇用保険
  • 5.労災保険

そのなかで「介護保険」は、社会保険のうちのひとつです。

社会保険は、私たち国民の生活を保障しています。

ケガや病気、失業、退職した時など生活が不安定になった場合、国民の生活を国が支援するものです。

相互扶助の理念に基づいているため、国民が保険料を支払います。

必要になった際は受給手続きを行い、自治体などから一定の給付を受けることが可能です。

また、保険料の一部は国や自治体が負担しています。

40歳から加入が義務づけられる

介護保険制度に加入する方を「被保険者」といいます。

被保険者となるのは各市区町村に住む40歳以上の住民です。

加入は任意でなく「義務」であり、自分の意思で脱退することはできません。

被保険者は、以下のように分けられます。

第1号被保険者 市区町村の区域内に住所がある65歳以上の人
第2号被保険者 40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人

介護保険に加入する被保険者は「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分けられ、受給する条件があります。

それぞれ内容を見ていきます。

第1号被保険者

  第1号被保険者
対象者 市区町村の区域内に住所がある65歳以上の人
受給条件
  • 要介護状態 (寝たきり、認知症などで介護が必要な状態)
  • 要支援状態 (日常生活に支援が必要な状態)

第1号被保険者は65歳以上の人が対象です。

介護が必要であると認定されれば、介護保険を利用できます。

第2号被保険者保険者

  第2号被保険者
対象者 40歳から64歳までの医療保険加入者
受給条件 要介護・要支援状態が、末期癌・ 関節リウマチなどの加齢に起因する疾病(特定疾病)による場合

40歳以上~65歳未満の人のうち、特定疾病(初老期の認知症や脳血管疾患など、加齢が原因とされる病気)により、介護が必要と判断されれば介護保険を利用できます。

特定疾病については次項で詳しく見ていきます。

介護保険で対象となる特定疾患

第2号被保険者は、加齢に起因する疾病によって介護認定を受けた場合に限り、サービスの対象となります。

対象となる特定疾患は以下のとおりです。

  • 1.癌(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
  • 2.関節リウマチ
  • 3.筋萎縮性側索硬化症
  • 4.後縦靱帯骨化症
  • 5.骨折を伴う骨粗しょう症
  • 6.初老期における認知症
  • 7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※【パーキンソン病関連疾患】
  • 8.脊髄小脳変性症
  • 9.脊柱管狭窄症
  • 10.早老症
  • 11.多系統萎縮症※
  • 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 13.脳血管疾患
  • 14.閉塞性動脈硬化症
  • 15.慢性閉塞性肺疾患
  • 16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

※印は平成18年4月に追加、見直しがなされたもの
※参照:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」

介護保険料の支払い額

介護保険料は満40歳に達した月から支払い義務が生じます。

介護保険料は第1号被保険者と第2号被保険者によって計算方法が異なります。

それぞれ見ていきましょう。

第1号被保険者の介護保険料

徴収方法

徴収方法
  • 市区町村が徴収する
  • 原則として年金から天引き
計算方法 保険料額は、各市区町村が条例で設定する基準額に、所得に応じた段階別の保険料率を乗じた額。

介護保険料は所得に応じて段階別になっています。

低所得の人の負担が重くならないように配慮されており、所得が多い方ほど多くの介護保険料を納める仕組みです。

自分が住んでいる自治体が実際にいくら支払うのか知りたい場合は、自治体ごとの保険料基準額および所得段階、倍率を確認しましょう。

第2号被保険者の介護保険料

徴収方法

徴収方法 医療保険料と一体的に徴収 (健康保険加入者は、原則、事業主が1/2を負担)
計算方法 標準報酬月額および標準賞与額に介護保険料率(健保組合ごとに異なる)を乗じた額。

健康保険の場合、保険料は事業主との折半です。

国民健康保険に加入している方が負担する介護保険料については、国民健康保険の保険料と一緒に徴収されます。

また、国民健康保険の被保険者は、世帯ごとの所得に応じて計算します。

保険料は被保険者の全額負担となり、国民健康保険の医療分と合わせて徴収されるのが特徴です。

介護保険で受けられるサービス

介護保険サービスにはさまざまな種類があり、主要サービスは大きく3つあります。

  • 1. 居宅介護サービス:いまの自宅で生活しながら支援を受けられるサービス
  • 2. 地域密着型サービス:高齢者が住み慣れた地域で「訪問」「通い」「施設利用」のサービスを必要に応じて組み合わせて利用できる
  • 3. 施設サービス:特別養護老人ホームなどの公的施設を利用しながら支援を受けられる

介護保険で受けられる主なサービスを一覧表としてまとめました。

  サービスの種類 内容
居宅介護サービス 訪問介護 ホームヘルパーが家庭を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)を行う
訪問入浴介護 看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行う
訪問看護 看護職員などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行う
通所介護(デイサービス) デイサービスに通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する
通所リハビリテーション(デイケア) 利用者が通所リハビリテーションの施設(老人保健施設、病院、診療所など)に通い、日常生活上の支援や、機能訓練や口腔機能向上サービスなどを提供する
福祉用具貸与 車椅子や特殊寝台、移動用リフトなど自立を支援するための用具をレンタルする
特定福祉用具購入費・住宅改修費の支給 レンタルできない福祉用具の購入費(年間10万円程度)や住宅改修費(原則20万円程度)が支給される
地域密着型サービス 夜間対応型訪問看護 夜間の定期的な巡回訪問
認知症対応型通所介護 デイサービスなどで認知症に配慮した介護や機能訓練を受けられる
小規模多機能型居宅介護 小規模施設で、通所サービスを中心に宿泊や、自宅への訪問サービスが受けられる
施設サービス 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への入所 常に介護が必要で在宅では介護が困難な人を対象とし、日常生活上の世話や機能訓練を行う施設
介護老人保険施設への入所 病状が安定した方が、看護や医学的管理のもとで介護・機能訓練など受け在宅復帰を目指す施設
介護療養型医療施設への入所 急性期の治療を終え、慢性疾患などにより長期療養を必要とする人が医療や介護、日常生活上の世話を受ける施設
介護医療院への入所 慢性疾患などにより長期療養を必要とする人が、医療・介護、日常生活上の世話を受ける施設

※参照:公益財団法人 生命保険文化センター「公的介護保険で受けられるサービスの内容は?」

要支援1・2と認定された場合は、「施設サービス」や一部の「地域密着型サービス」は利用できません。

下記の記事でも介護保険サービスの種類やサービスについて詳しくまとめています。あわせてご一読ください。

介護保険サービスの自己負担割合

介護保険サービスの自己負担割合は、以下によって決まります。

  • 合計所得金額
  • 65歳以上の人の世帯人数

合計所得金額とは「年金収入」と「それ以外の所得(不動産、利子、配当、雑所得など)」の合計金額のことを指します。

公平性のためにも基本的に1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担になります。

自己負担割合をわかりやすく表でまとめました。

【単身世帯(65歳位以上の人が1名のみ)】

65歳以上で本人の合計所得金額が280万円未満の場合 1割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が280万円以上340万円未満の場合 2割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が340万円以上の場合 3割負担

【65歳以上の人が2名以上の世帯】

65歳以上で本人の合計所得金額が160万円未満の場合 1割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、同一世帯の65歳以上の人の所得合計が346万円未満の場合 1割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、同一世帯の65歳以上の人の所得合計が346万円以上の場合 2割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が220万円以上で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が346万円以上463万円未満の場合 2割負担
65歳以上で本人の合計所得金額が220万円以上で、同一世帯の65歳以上の方の所得合計が463万円以上の場合 3割負担

なお、上記に関わらず以下のような方は1割負担となっています。

  • 40歳以上64歳までの方
  • 生活保護受給者
  • 市区町村民税非課税者

要介護・要支援認定を受けた方は、毎年7月頃に市区町村から負担割合が記された証(負担割合証)が交付されます。

自身の負担割合証の「利用者負担の割合」の欄にて自己負担割合は確認することができます。

介護保険には、要支援・要介護度別に1ヶ月に介護保険サービスを利用できる上限である「区分支給限度額」が決められています。

この区分支給限度額の範囲内で、介護保険サービスの利用が可能です。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

要介護認定の申請方法から介護保険サービス利用開始までの流れ

では実際に、要介護認定の申請から介護保険サービス利用開始までの流れについて見ていきます。

①住んでいる自治体に要介護認定を申請

介護認定の申請は、市町村窓口や地域包括支援センターに申請します。

要介護認定を受けるべきか迷ったら、地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。

なお要介護認定の申請は、基本的に本人または家族が行います。

ただし、本人や家族の申請が難しい場合は、代理人が申請することもできます。

申請の際は、第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、第2号被保険者は「医療保険の被保険者証」が必要です。

②介護認定調査員による認定調査

要介護認定を申請すると、「介護がどのくらい必要なのか」を調べるために認定調査が始まります。

認定調査員がご自宅を訪問し、心身の状況について本人や家族から聞き取りなどの調査を行います。

調査の内容は認定調査票(全国共通)が用いられ、調査時間はおおよそ1時間位です。

認定調査当日は、本人だけではなく家族も立ち会いましょう。

とくに認知症の方は、調査員の質問に対して正確に返答できない場合もあります。

普段の生活の様子をしっかりとお伝えするためにも、家族の協力が必要です。

③認定結果の通知

認定結果は原則として申請から30日以内に本人へ通知されます。

認定は、非該当(自立)、要支援1~2、要介護1~5の8段階です。

要支援と要介護の違いは下記にまとめました。

  要支援 要介護
本人の状態 ・基本的に一人で生活できる
・部分的に介助を必要とする
例)掃除ができない、浴槽をまたげないなど
・適切な支援を受ければ要介護状態まではならない
・日常生活全般で誰かの介護が必要
・認知機能などの低下がある
受けられるサービス 介護予防サービス 介護サービス
分類 要支援1~2 要介護1~5

要支援・要介護の違いは、基本的に自分で生活ができるか、生活全般で介護(介助)が必要かどうかです。

認知機能の低下がみられると、基本的には要介護となる場合が多いようですが、日にちを忘れるなど軽い症状であれば要支援と判断される場合もあります。

要支援と要介護の、各区分の目安や状態の具体例は下記の記事を参考にしてください。

④地域包括支援センターもしくは居宅介護事業所へ連絡

 

認定が決定したら、認定結果通知と認定結果が記載された被保険者証が届きます。

介護(介護予防)サービスを利用する場合は、ケアプランの作成が必要となります。要介護認定区分に応じて下記の窓口へ連絡しましょう。

 

  • 自立、要支援1~2と認定:地域包括支援センターへ連絡
  • 要介護1~5と認定:居宅介護支援事業所へ連絡

⑤ケアプラン作成

介護保険サービスを利用する場合、要介護者・要支援者のどちらにもケアプランが必須です。

要介護者の場合は「ケアプラン」、要支援者の場合は「介護予防ケアプラン」と呼びます。

ケアプランとは、介護を必要とする利用者やその家族の状況や希望をふまえ、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書のことです。

ケアプランは、ケアマネジャーが作成します。ケアマネジャーの役割や選び方、上手な付き合い方に関しては下記の記事で紹介しています。

⑥介護保険サービスの利用

介護サービスを利用する際は、サービス事業者に「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」を提示します。

そして、ケアプランに基づいた居宅サービスや施設サービスを利用できるようになります。

ケアプランの内容は一度作成したら終了ではなく、都度見直していくことが可能です。ケアマネジャーと相談しながら、サービスの追加や変更など決めていきましょう。

なお、ケアプランに基づいた利用者負担は、所得に応じて自己負担割合が異なります。基本的に費用の1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担です。

要支援認定を受けたら予防給付の対象になる

介護保険の給付は以下の3種類に分けられます。

介護給付 要介護認定で「要介護」の認定を受けた人が利用できる。要介護は5段階あり、介護が必要な度合いによって給付される金額も異なる
予防給付 要介護認定で「要支援1」「要支援2」の認定を受けた人が利用できる
市町村特別給付 介護給付や予防給付の対象とならない配食や移送など、市町村の財政状態によって独自にしている給付

要支援1・要支援2の方は、少し支援すれば自立して生活できる方という判定です。

そのため、身体機能の低下を予防して要介護にならないために「予防給付」が受けられます。

予防給付にもさまざまなサービスがありますが、介護給付と異なり予防給付では「施設サービス」は利用できません。

しかし訪問介護や、デイサービス、一部の福祉用具のレンタルや住宅改修などは利用できます。

介護保険制度の今後の動向

介護保険制度は2000年に創設されました。

当初と比較すると65歳以上被保険者数が約1.7倍に増えているなかで、サービス利用者数も約3.4倍に増加中です。

高齢者の介護になくてはならないものとして「介護保険制度」は定着・発展していることが伺えます。

なお、2025年以降は「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化していくことが予測されます。

日本の総人口が減少に転じていくなか、高齢者(とくに75歳以上の高齢者)の占める割合は増加していくと厚生労働省でも述べられています。

【※参照:厚生労働省「介護保険制度をめぐる最近の動向について」(令和4年3月24日)

つまり介護サービスにかかる費用は年々増え、保険料を支払い介護保険制度を支えている現役世代が減少傾向にあるのが現状なのです。

そのため、介護保険料は今後増えていくことも想定しておくべきでしょう。

なお、介護保険制度は原則として3年を1期としたサイクルで制度の見直しが行われています。

時代の変化に伴い、介護のニーズも変化しているため、今後の改正でさまざまな課題が解消されることに期待していきましょう。

介護保険に関するよくある質問

ここでは、介護保険に関するよくある質問の一部をピックアップしました。

  • 生活保護受給者はどうなる?
  • 民間の介護保険とは?
  • 公的介護保険と民間の介護保険の違いは?

それぞれ具体的に見ていきます。

生活保護受給者はどうなる?

65歳以上の方は、生活保護を受けていても「要介護」と認定されると介護保険サービスを受けられます。

その場合、保険料は生活保護費の中の「生活扶助」※1で、利用料は「介護扶助」※2で賄われます。

 

一方、生活保護を受けている40~64歳の方は、原則自己負担なしで介護保険サービスを利用可能です。

毎月の介護保険料も生活保護費の「介護扶助」から支払われ免除されます。

※①:生活扶助とは、生活保護受給者のための衣食などの日常生活における支援。
※②:介護扶助とは、生活保護受給者のための介護サービス利用における支援。

民間の介護保険とは?

公的介護保険(介護保険制度)は2000年に施行されましたが、度重なる改正によって加入者(被保険者)の負担や、サービス利用者の経済的負担が増えてきました。

そのような時代背景の中で、民間の保険会社が提供する介護保険が各社から登場しました。

公的な介護保険の不足した部分を補い、介護の経済的な負担を減らすことが目的です。

公的な介護保険と民間介護保険では、加入や保障内容に違いがあります。

公的介護保険と民間の介護保険の違いは?

民間の介護保険は、加入して掛け金を払い続ければ、一定の要介護状態になった場合に保険金が受け取れます。任意で加入可能であり、加入する会社も自由に選べます。

公的介護保険との違いは、公的介護保険が現物支給(介護が必要になったらサービスが支給される)なのに対して、民間の介護保険は現金が給付されるという点です

  公的介護保険 民間介護保険
加入 40歳以上は自動的に加入 任意
給付対象 第1号被保険者…要介護度に応じて第2号被保険者…特定疾病の人のみ 被保険者
要件は各保険会社により異なる
保険料 第1号被保険者…市区町村ごとに徴収
第2号被保険者…公的医療保険の保険料とあわせて徴収
年齢やプランに応じて各保険会社に支払う
給付方法 介護サービスの現物給付
※自己負担(1割・2割・3割)
現金給付

介護が必要かな?と思ったら

「最近もの忘れが多くなった…」
「できていたことができなくなった…」
「トイレが心配で外出頻度が減った…」

というような症状が見受けられる場合、まずは医師や専門家に相談することをおすすめします。

場合によっては要介護認定を申請し、早い段階で要介護認定が取れれば、状況に応じた介護保険サービスが利用可能です。

また、早期に医師や専門家に相談することで、認知症などを早期発見できる可能性もあります。そのため、自分たちだけで悩まず、専門家を頼ることも大切です。

以下のページでは、介護が必要となる目安をまとめています。

介護が必要な状態になっていることに、本人も家族も気付いていないケースもあるため、ぜひチェックリストで現状を確認してみましょう。

介護サービスを受けるために何から始めたらいいかわからない方は、最寄りの地域包括支援センターもしくは、役所の介護保険の担当窓口に相談しましょう。

介護施設の利用を考えている方の相談にも乗ってもらえます。

居宅サービスの利用を希望する場合には、認定の申請代行をお願いできたり、アドバイスを受けたりもできます。

そして、ケアマネジャーがケアプランを立案してくれるので、本人や家族の同意を得られれば契約し、介護保険サービスの利用が可能です。

まずは介護保険ガイドをチェック

介護保険サービスは、自治体ごとに細かな制度やサービス内容が異なっています。

介護保険サービスの利用を検討する際は、まず、お住まいの地域の自治体の介護保険ガイドをチェックしてみてください。

介護保険ガイドでは、サービスの概要や申請方法、利用までの流れを確認できますので、お住まいの自治体のホームページで調べてみましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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