【早わかり表付き!】理解できてる?要支援と要介護の違いとは?

公開日:2021年12月22日
要支援要介護違い

介護保険サービスを利用するにあたり、「要支援」と「要介護」についての理解が大切です。しかしその違いがわからないという人は多いのではないでしょうか。
「要支援」「要介護」はその人が日常でどれくらいの介護(介助)を必要とするのか示す度合いです。認定調査で決定される介護度により、利用できるサービス内容や費用負担額が変わってきますので、事前に理解しておきましょう。
本記事では、要支援と要介護の判断基準、認定調査の流れについて詳しくみていきます。

要支援・要介護とは?

要支援・要介護とは、日常生活の中でどの程度の介護(介助)を必要とするのか、介護の度合いをあらわす指標です。要介護度の判定は、厚生労働省が基準を定める、「要介護認定基準時間(介護にかかる時間)」をベースに7段階に区分され、それに「自立」を合わせて合計8段階に分けられます。

  • 自立
  • 要支援1~2
  • 要介護1~5

区分の種類としては、最も介護度が軽い「要支援1」から、最も重い「要介護5」まであります。 そして、介護や支援を必要とせず、自分だけで生活ができる人は「自立」と判断されます。 認定には、自治体と介護認定審査会の判定が必要で、要支援・要介護の認定を受けると、介護保険サービスを利用する際に、自己負担額が1割(所得により2割~3割)となります。
まずは、要支援、要介護のそれぞれの厚生労働省による定義を見ていきます。

「要支援状態」の定義

身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態

※引用元:厚生労働省 要介護認定に係る法令

簡単にまとめると、「日常生活の基本的なことは、自分で対応することができるが、部分的な生活支援が必要な状態」です。

「要介護状態」の定義

身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態

※引用元:厚生労働省 要介護認定に係る法令

わかりやすくいうと、「人の手を借りずに自分だけで日常生活を送ることが難しい状態」です。

要支援と要介護の違い

次に厚生労働省による定義をわかりやすく表にまとめました。

  要支援 要介護
本人の状態 ・基本的に一人で生活できる
・部分的に介助を必要とする
例)掃除ができない、浴槽をまたげないなど
・適切な支援を受ければ要介護状態まではならない
・日常生活全般で誰かの介護が必要
・認知機能などの低下がある
受けられるサービス 介護予防サービス 介護サービス
分類 要支援1~2 要介護1~5

要支援・要介護の違いは、基本的に自分で生活ができるか、生活全般で介護(介助)が必要かどうかです。認知機能の低下がみられると、基本的には要介護となる場合が多いようですが、日にちを忘れるなど軽い症状であれば要支援と判断される場合もあります。
「介護予防サービス」は、「要介護状態にならないようにするための予防サービス」であり、生活機能の維持向上を目的としています。
一方「介護サービス」は、必要な介護を提供し、「日常生活を維持するためのサービス」といえます。
つまり、「要支援」より「要介護」のほうが、手厚い支援を必要としている状態であるのがわかります。

介護の必要度合いを示す8つの「要介護度」早わかり表

ここでは、要支援と要介護の、各区分の目安を表にまとめました。利用できる介護保険サービスも変わるため、細かく区分されています。

要介護度 要介護認定の目安 状態の目安となる具体例
自立 支援が必要ない状態。 日常生活を一人で支障なく送ることができる
要支援1 基本的に一人で生活ができるが家事などの支援が必要。
適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防ぐことができる。
日常生活は基本的に自分だけで行うことができるが、掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。
要支援2 基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。
適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防ぐことができる。
立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えない、身だしなみを自分だけでは整えられないなど支援を必要とする場面が多い。
要介護1 基本的に日常生活は自分で送れるものの、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。 排泄や入浴時に見守りや介助が必要。
要介護2 食事、排泄などは自分でできるものの生活全般で見守りや介助が必要。 自分だけで立ったり、歩いたりするのが困難。爪切り、着替え、立ち上がり、歩行などに介助が必要
「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられるなど。
問題行動をとる場合もある。
要介護3 日常生活にほぼ全面的な介助が必要。 食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。
認知機能の低下などの場合には対応も必要。問題行動をとる場合もある。
要介護4 自力での移動ができないなど、介助がなければ日常生活を送ることができない。 排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助がないと行えない。
思考力の低下などもみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。
要介護5 介助なしに日常生活を送ることができない。コミュニケーションをとるこが困難で、基本的に寝たきりの状態。 日常生活全般が自分で行えないため、寝返りやオムツの交換、食事などすべてで介助が必要。
会話などの意思疎通も困難。

要支援2と要介護1の境界線

詳しい区分をみていくと、要支援と要介護の境目である、「要支援2」と「要介護1」の違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか。要支援と要介護では受けられる介護保険サービスも大きく変わってきますので、しっかり理解しておきましょう。
要支援2と要支援1の違いは2つの観点で区分していきます。

●観点① 認知機能の状態

  

1つ目は認知機能の状態です。要支援2では、認知機能の低下は見られず、適切なサポートを受ければ要介護状態へ進むことを予防できると考えられています。一方で、軽度の認知機能低下が見られ、要支援状態への回復は難しいと判断される場合には、要介護1の認定を受ける可能性があります。

●観点② 状態の安定性

「状態の安定性」というのは、厚生労働省が定めた6ヶ月の認定有効期間内に、状態が変化する可能性で判断します。ここでいう状態というのは病状などではなく、必要とする介護(介助)の量の変化についてです。介護がより必要になると予見できる場合は、認知機能の低下がなくても介護度が引き上げられる可能性があります。
最終的な判断は認定調査員が、状況を総合的に見て判断するため、上記はあくまで目安として覚えておきましょう。

要介護度別・介護保険支給限度額の違い

 

認定調査によって要介護度が決まると、1ヶ月当たりの介護保険サービスの利用限度額(支給限度額)が決まります。これは現金で支給されるのではなく、介護保険サービスを受ける際に利用料から差し引かれる仕組みです。

介護度 支給限度基準額 単位
要支援1 50,320円 5,032
要支援2 105,310円 10,531
要介護1 167,650円 16,765
要介護2 197,050円 19,705
要介護3 270,480円 27,048
要介護4 309,380円 30,938
要介護5 362,170円 36,217

※1カ月あたり
※1単位=10円で計算(サービスの種類によって、1単位あたりの正確な金額は変動します)
※地域によって異なります。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください

利用者は支給限度基準額の1割(所得により2割~3割)を負担します。上記の表でみると、要支援1の人であれば1割負担として、5,032円が自己負担額となります。基準額の範囲を超えたサービスを受ける場合は、超えた金額の100%を利用者が支払わなければなりません。
単位で表示されるのは、地域ごとに物価が異なり、一単位当たりの単価に変動があるためです。基本は一単位10円ですが、東京23区では11.4円で計算するなど地域で金額が変動します。
なお、基準額はひと月ごとに支給されるため、使わなかった分を翌月に繰り越すことはできません。また、おむつや介護専用の寝具、衣類、配食サービスなどの食費、補聴器やT字型杖などは介護保険サービスの適応外です。

要支援・要介護認定を受けるまでの流れ

ここでは、要支援・要介護認定を受けるまでのステップを3段階に分けて解説します。要支援・要介護ともに手続きの流れは同じです。
要支援・要介護認定を受けるまでのステップ

  • 1.
    要介護認定の申請
  • 2.
    認定調査
  • 3.
    要介護認定の結果通知

以下、具体的に説明します。

1.要介護認定の申請

まず、各市区町村の窓口やホームページから「認定申請書」を取り寄せます。本人、家族の他にケアマネジャーが代理で行うこともできます。
申請時に必要な書類はマイナンバーカードや写真付き身分証明書、介護保険被保険者証です。自治体によって異なるため、あらかじめ確認が必要です。

2.認定調査

認定調査はさらに4つのステップがあります。

  • 1.
    訪問調査
  • 2.
    主治医の意見書
  • 3.
    一次判定
  • 4.
    二次判定

訪問調査

自宅や入院中の病院に市区町村の職員または市区町村から委託を受けたケアマネジャーが訪問し、聞き取り調査を行います。
聞き取り調査の例)

  • 麻痺/寝返り/立ち上がり/立位保持
  • 食事/排せつ/衣服の着脱/外出頻度
  • 短期記憶/徘徊の有無
  • 大声を出す/物忘れがある
  • 薬の内服/金銭管理
  • 点滴の管理/人工肛門の処置など

上記のような質問が約70項目ほどあり、所要時間は一般的に30分~1時間ほどかかるといわれてます。
介護度の判定は、この認定調査がすべてといっても過言ではありません。日頃の状態も含め、ささいなことでも伝え忘れのないように準備をしておく必要があります。
排せつの失敗や物忘れ、大声を出すといった問題行動に関しては、本人の前では言いづらいものです。そのため、不在の場で伝えたり、メモを用意して渡したりなど、伝え方を工夫するとよいでしょう。
適切な認定を受けるために、伝えたい点は事前にまとめておくようおすすめします。

主治医の意見書

かかりつけの医師に意見書を書いてもらいます。依頼書は市役所から直接医師に送付され、医師が記入後に直接市役所へ返送するため、家族は意見書に関わりません。
その際、かかりつけの医師に介護認定を受ける旨を事前に話しておいてください。「夜間頻回にトイレに行く」「物忘れがひどくなっている」といった不安要素を医師に伝えておくといいでしょう。

かかりつけ医がいない場合は、市区町村指定医による診察が必要になることもあります。

一次判定

調査票をもとに、コンピューターが自動的に要介護度を判定します。

介護認定審査会の調査(二次判定)

一次判定結果と主治医の意見書、特記事項をもとに介護認定審査会が行われます。
特記事項とは、調査票の質問項目以外の「介護の手間」のかかり具合などに関する内容です。判定に影響しますので、たとえば、おむつを替えるときに叩かれるなど、一人で外に出たがり帰ってこれないなど気になる点は遠慮せずに伝えましょう。あらかじめメモしておくとよいでしょう。

3.要介護認定の結果通知

二次判定後、結果は郵送で届きます。介護サービスの利用にはケアマネジャーによるケアプランが必要です。要支援の方は地域包括センター、要介護の方は居宅支援事業所のケアマネジャーに相談しましょう。
初回認定の場合、有効期間は原則6ヶ月間です。その後は更新の手続きが必要となります。また、認定結果に不服がある場合は、3ヶ月以内であれば再度認定を受けられます。

必要とする支援に応じたサービスを利用しよう

要支援・要介護の認定は、専門家の判断で決定しますが、あらかじめ違いを知っておくと、介護いろいろと準備がスムーズになります。また、認定調査をうけることで現在の状況を客観的に知ることができますので、その後の対応の参考にもなるはずです。適切な認定を受け、利用できるサービスを最大限生かしながら、介護の負担を減らしていきましょう。

監修者:川上 由里子(かわかみ ゆりこ)
ケアコンサルタント(看護師・介護支援専門員・産業カウンセラー・福祉住環境コーディネーター2級)
川上 由里子
監修者:川上 由里子(かわかみ ゆりこ)
ケアコンサルタント(看護師・介護支援専門員・産業カウンセラー・福祉住環境コーディネーター2級)

大学病院、高齢者住宅などで看護師として勤め、大手不動産株式会社「ケアデザイン」の立ち上げに参画。支える人を支えるコンサルティングを開発実施。著書に[介護生活これで安心](小学館)「働きながら介護する〜ケアも仕事も暮らしもバランスとって〜」(技術評論社)。

自身も働きながら父親の遠距離介護を体験。介護、看護、医療サービスを利用しながら在宅での最期を看取り、多くの学び、想いを得る。現在は介護関連のコンサルティングの他、講演、執筆活動を行っている。希望は心と心を結ぶケアを広げていくこと。

page-top