【介護の基礎知識】在宅介護サービスの種類・特徴|サービス利用開始までの流れを解説
「親に介護が必要だけど、在宅介護は何から進めたらいいの?」
「どのような介護サービスが受けられるの?」
「在宅で介護をする場合、どのくらい費用が必要なの?」
このような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
生命保険文化センターによる2021年度の「介護を行った場所」の調査では、在宅介護が56.8%と半数以上を占めています。
※参照:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
約半数以上の人が、在宅で介護を受けながら生活しているのが現状です。
とはいえ、いざ在宅介護を始めようと思ってもどうするべきかわからない場合もあるでしょう。
本記事では、在宅サービスの種類・特徴から在宅介護を利用するまでの流れをわかりやすく説明しています。
また、在宅介護にかかる費用や在宅介護に限界を感じた場合の対処方法についても解説していますので、ぜひご一読ください。
これからの人生を踏まえて、本人・家族にとって適切なサポートを活用していきましょう。
在宅介護とは「自宅で介護を受ける」ということ
在宅介護とは、老人ホームなど介護施設には入居せずに、慣れ親しんだ自宅で介護を受ける(もしくは介護する)ということです。
身体が元気なときとは違い、生活のなかで何かしらの介護が必要な状態です。
そのため、介護をする家族にとって在宅介護は負担が大きくなるケースもあります。
そして、日本には介護保険サービスをはじめとした、介護者の負担を軽減できるようなさまざまな制度があります。
在宅で利用できるサービスは積極的に活用していきましょう。
在宅介護サービスの種類
在宅で利用できるサービスはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
在宅介護サービスは以下のように大きく分けられます。
- 居宅(介護)サービス
- 地域密着型サービス
- 自費で利用するサービス
まずは、居宅(介護)サービスから見ていきます。
居宅(介護)サービスのなかには、訪問型や通所型などがあります。 以下に一覧にまとめました。
訪問型のサービス | 訪問介護 |
---|---|
訪問看護 | |
訪問入浴 | |
訪問リハビリテーション | |
居宅療養管理指導 | |
通所型のサービス | 通所介護(デイサービス) |
通所リハビリテーション(デイケア) | |
地域密着型 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | |
夜間対応型訪問介護 | |
地域密着型通所介護 | |
療養通所介護 | |
認知症対応型通所介護 | |
小規模多機能型居宅介護 | |
看護小規模多機能型小規模看護(複合型サービス) | |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | |
地域密着型特定施設入所者生活介護 | |
短期入所型のサービス型 | 短期入所生活介護(ショートステイ) |
短期入所療養介護(医療型ショートステイ) | |
福祉用具 | 福祉用具の貸与費の支給 |
福祉用具の購入費の支給 | |
住宅改修 | 住宅改修費の支給 |
なかには要介護度によっては利用できないサービスもあります。
ここからはサービス内容を順番に見ていきましょう。
自宅で利用する(訪問)サービス
自宅で利用できるサービスを「訪問型サービス」と呼びます。
看護職員や介護職員などの有資格者が自宅に訪問し、サービスを提供する形態です。
訪問型サービスについて以下にまとめました。
訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や排泄、入浴の補助などの身体介護サービスを提供します。
また、訪問介護ではサービスの種類によって費用が異なり、大きく分類すると以下のように分けられます。
身体介助 | 食事・排泄・入浴などの介助 | |
---|---|---|
生活援助 | 掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援 | |
通院介助 | 通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス |
通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービスを提供する事業所もあります。
訪問看護
訪問看護は健康悪化の防止・回復が目的です。
かかりつけ医の指示のもと、看護師や保健師が自宅を訪問し、利用者の病気や障害に応じた看護を行います。
サービスの一例は下記のとおりです。
- 血圧、脈拍、体温などの測定
- 病状の確認
- 排泄や入浴、洗髪の介助
- 在宅酸素、カテーテル・ドレーン類の管理
かかりつけ医の指示により、サービス内容は異なります。
病院と同じような医療処置も行いながら、自宅で最期を迎えたいという方には、希望に沿った形のサポートを行うこともあります。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、自宅でお風呂に入るのが難しい方の入浴をサポートするための介護サービスです。
訪問介護(ホームヘルプサービス)でも入浴の介助は受けられますが、訪問入浴介護では浴槽を積んだ入浴車が自宅を訪問します。
また、訪問介護ではスタッフが1名に対し、訪問入浴介護では看護師または准看護師1人と、介護職員2人以上がサポートしてくれます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問します。
かかりつけの指示のもと、リハビリ関連の有資格者が心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたサポートしていきます。
訪問リハビリテーションの主なサービス内容は下記のとおりです。
身体機能の改善 | 関節拘縮、褥瘡の予防のマッサージなど | |
---|---|---|
日常生活の訓練指導 |
|
|
家族へのサポート | 各種動作のサポート方法や工夫の指導、福祉用具・自助具の提案、住宅改修に関する相談・アドバイス |
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導とは、医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問して、療養上の管理・指導を受けられます。
具体的なサービス内容は下記のとおりです。
- 1.居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に対する、居宅サービス計画(ケアプラン)作成などに必要な情報提供
- 2.利用者および家族などに対する、居宅サービスを利用する上での留意点、介護方法などについての指導・助言
施設に通って利用する(通所)サービス
施設に通って利用できるサービスを「通所型サービス」と呼びます。
利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう、他者との関わりや心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的としています。
通所介護(デイサービス)
通所介護とは、利用者が施設に通い、食事や入浴・機能訓練などの介護サービスを日中に受けられる介護施設です。
通所介護では、利用者の心身機能の維持を目的とした機能訓練、食事や入浴などの生活支援サービスを受けられます。
また、通所介護は他の利用者やスタッフとコミュニケーションが取れる機会となり、他者とのつながりを感じられます。
通所介護の特徴や種類、サービス内容については下記の記事を参考にしてください。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーション(デイケア)とは、介護老人保健施設や病院、診療所などに通い機能回復訓練を受けることができます。
食事や排泄・入浴など日常生活上の支援が受けられるほか、歩行訓練や体操・住宅改修・福祉用具のアドバイス、看護職員による健康チェックなども受けられます。
通所リハビリテーションは医師の指示のもとで利用するため、施設を選ぶ際は担当の医師やケアマネジャーとの相談が必要です。
通所リハビリテーションのサービス内容や1日の流れに関しては下記の記事をご活用ください。
宿泊して利用できるサービス
宿泊して利用できるサービスを「短期入所型サービス」と呼びます。
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、孤立感の解消や心身機能の維持回復が目的です。
また、家族の介護負担軽減や、介護者が不在の時の安全確保として利用するケースもあります。
短期入所生活介護(ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間施設に入所します。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などで、入浴や排泄、食事などの介護や、機能訓練などを受けられます。
介護者である家族は一定期間介護から手を離せるため、介護疲れの休息(レスパイトケア)としての利用も可能です。
また、家族の病気や冠婚葬祭、出張などで一時的に在宅介護が困難なときにも役に立ちます。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間、介護老人保健施設などに入所して看護や機能訓練などが受けられます。
短期入所生活介護(ショートステイ)との違いは、利用者が医療を必要とするか否かです。
短期入所療養介護は医療ケアが充実しているため、医療型ショートステイとも呼ばれています。
双方とも連続利用日数は30日が限度となっています。
地域密着型サービス
地域密着型サービスとは、要介護高齢者や認知症高齢者が、住み慣れた地域でいつまでも生活できるように創設された介護サービスです。
注意点としては、地域密着型サービスは、事業所のある市町村に住んでいないと利用できないため注意しましょう。
ここから細かく見ていきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期的な巡回や随時通報への対応などを行うサービスです。
サービスの提供にあたっては、訪問介護員だけでなく看護職員なども連携しているため、必要に応じて、介護と看護の一体的なサービス提供を受けられます。
サービス内容
定期巡回サービス | 訪問介護員や訪問看護師などが、定期的に利用者の自宅を訪問(巡回)して、入浴、排泄、食事といった日常生活上のサポート(身体介護が中心)を行います。サービス提供時間は大体10~15分の短時間が基本で、1日の中で複数回のサービスを提供します。 | |
---|---|---|
随時対応(随時訪問)サービス | 利用者の自宅に設置された「ケアコール」と呼ばれる機器を使用し、オペレーターを経由して依頼を受け、必要があれば、訪問介護員や訪問看護師などが、随時訪問、訪問看護サービスを提供します。訪問は必ずというわけではなく、あくまで必要と判断された場合に訪問となります。 | |
訪問看護サービス | 看護師が利用者の自宅を訪問して、健康状態の確認、症状の悪化の防止、病状の回復のための看護サービスや心身のサポートを提供してくれます。また、医師の判断、指示があれば、病院と同じような医療処置も自宅で対応することもあります。 |
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問してサポートを行います。
「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスがあります。
定期巡回 | 夜間帯(18時〜翌8時)に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認などのサービスを受けられます。 | |
---|---|---|
随時対応 | 転倒により自力で起き上がれない時や夜間に体調が悪くなった時などに、訪問介護員(ホームヘルパー)を呼び、介助や救急車の手配などのサービスを受けられます。 |
※参照:厚生労働省「夜間対応型訪問介護」
なお、夜間対応型訪問介護は、要支援1・2の人は利用できません。
地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は、食事や入浴・生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
通所介護(デイサービス)とサービス内容は同じですが、地域密着型通所介護の利用定員は19人未満です。
なお、要支援1・2の人は利用できません。
療養通所介護
療養通所介護は、常に看護職員による観察を必要とする難病、認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護者または癌末期患者を対象にしたサービスです。
そのため、要介護4・5が利用者の約8割を占めています。
利用者が療養通所介護の施設に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
認知症対応型通所介護
認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。
一般の通所介護では施設側が認知症の人の対応が難しかったり、環境になじめなかったりすることがあります。
認知症対応型通所介護では、認知症の人の介護を行う環境が整っており、一般の通所介護よりも専門的なサポートが可能です。
食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護とは、ひとつの事業所で「介護スタッフの訪問」「高齢者の施設通い」「高齢者の施設宿泊」3つのサービスを受けられます。
さまざまな介護サービスを組み合わせることで、要介護度が上がっても「在宅で生活を続けられる」ようにすることが小規模多機能型居宅介護の目的です。
一事業所の登録定員は29人で、1日あたり通いは概ね18人以下、泊まりは概ね9人以下と決められています。
看護小規模多機能型居宅介護
「通所介護(デイサービス)」「訪問介護」「短期入所(ショートステイ)」の3つの介護サービスに、「訪問看護」の機能を加え、看護と介護を一体的サービスとして受けられます。
前項の小規模多機能居宅介護との違いを表にまとめました。
看護小規模多機能型居宅介護 | 小規模多機能型居宅介護 | ||
---|---|---|---|
利用条件 |
|
|
|
サービス |
|
|
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護をベースとして「訪問看護サービス」を加えたものです。医療ケアが必要な場合は、看護小規模多機能型居宅介護が向いています。
詳しい概要に関しては、「【介護の基礎知識】看護小規模多機能型居宅介護とは?料金や対象者、利用方法を解説」を参考にしてください。
認知症対応型共同生活(介護グループホーム)
認知症の利用者を対象とした専門的なケアを提供するサービスです。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、ひとつの共同生活住居に5〜9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送ります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、小規模なためなじみやすい環境をつくりやすく、認知症の人でも比較的安心して生活できるように工夫されています。
共同生活を通じ日常生活の援助と機能訓練を行い、本人が可能な限り自立した日常生活を送れることが目標です。
サービスの種類や費用に関しては、以下の記事でまとめています。
生活環境を整えるサービス
日常生活においてよりよい生活が送れるように、生活環境を整えるサービスも利用できます。
とくに、要介護2から要介護5は生活援助がほぼ必要です。
サービスを活用しながら、生活しやすい環境をつくっていきましょう。
福祉用具のレンタル
レンタルできる福祉用具は下記の13品目です。
介護度によっては保険給付の対象とならない福祉用具もあります。
レンタルできる福祉用具 | 特殊寝台および付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、車椅子および付属器、歩行器、歩行補助杖、移動用リフト、徘徊感知機器、自動排泄処理装置 |
---|
※参照:厚生労働省「福祉用具貸与」
福祉用具のレンタルに必要な費用は、1割(所得に応じて最大3割)負担となります。
たとえば、月額レンタル料金が5,000円の歩行器をレンタルする場合、介護保険を利用すると、500円の自己負担で利用できます。3割負担の場合の自己負担額は1,500円です。
福祉用具の購入
購入できる福祉用具は以下のとおりです。
購入できる福祉用具 | 腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分 |
---|
※参照:厚生労働省「特定福祉用具販売」
福祉用具購入費の支給(利用限度額)は1年につき10万円まで利用可能です。
利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割または7割)が介護保険から払い戻されます。これを、償還払いといいます。
介護のための住宅改修
介護保険制度では、身体の状況と住宅の状況に対して必要と認められた場合に、市区町村から補助金が支給される住宅改修サービスを受けられます。
住宅改修の種類
- 1.手すりの取り付け
- 2.段差の解消
- 3.滑りの防止および移動の円滑化のための床または通路面の材料の変更
- 4.引き戸などへの扉の取り替え
- 5.洋式便器などへの便器の取り替え
- 6.1~5に付帯して必要となる住宅改修
最大20万円まで保険が適用され、かかった費用の1割(所得に応じて最大3割)を負担します。
保険を利用しない自費サービス
在宅介護サービスのなかには、介護保険を利用しない自費のサービスもあります。
介護予防・日常生活支援
2017年4月から各市区町村で介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」と略)が始まりました。
サービスの運営基準や単価、利用料などは各市区町村が独自に設定できます。
総合事業は要支援1・2の人だけでなく、要支援の認定を受けずに基本チェックリストの判定のみで、要支援相当となった人も生活援助やデイサービスなどのサービスを利用可能です。
訪問型と通所型のサービスがあり、要介護認定の有無に関わらずサービスを利用できるため、自立をサポートできる制度となっています。
介護保険外サービス
介護保険外サービスとは、介護保険が適用されずに全額自己負担となるサービスをいいます。
サービスは各自治体によって異なり、浦安市では介護保険では利用できない生活上のサポートが受けられます。
たとえば、エアコンフィルターの交換や掃除、草むしりなどです。
神戸市では、介護用品の支給や訪問理美容サービスがあります。
※参照:神戸市役所「介護保険外サービス」
自分の地域ではどのような介護保険外サービスが受けられるか、各市町村窓口や地域包括支援センターで確認できます。
在宅介護サービスを利用するまでの流れ
在宅介護を利用するまでの流れは下記のとおりです。
- 1.要介護認定を申請後、認定調査を受ける
- 2.認定結果を受けてケアプランを作成
- 3.サービスの利用開始
順番に見ていきましょう。
①要介護認定を申請後、認定調査を受ける
介護認定の申請は、市町村窓口や地域包括支援センターに申請します。
要介護認定を受けるべきか迷ったら、地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。
なお要介護認定の申請は、基本的に本人または家族が行います。
ただし、本人や家族の申請が難しい場合は、代理人が申請することもできます。
申請の際は、第1号被保険者は「介護保険の被保険者証」、第2号被保険者は「医療保険の被保険者証」が必要です。
介護保険に関しては、「【介護の基礎知識】介護保険とは何か?仕組みやサービスの種類などを簡単にわかりやすく解説」を参考にしてください。
要介護認定を申請すると、「介護がどのくらい必要なのか」を調べるために認定調査員がご自宅を訪問します。
心身の状況について本人や家族から聞き取りを行い、調査時間はおおよそ1時間ほどです。
認定調査当日は、本人だけではなく家族も立ち会いましょう。
とくに認知症の方は、調査員の質問に対して正確に返答できない場合もあります。
普段の生活の様子をしっかりとお伝えするためにも、家族の協力が必要です。
②認定結果を受けてケアプランを作成
認定結果は原則として申請から30日以内に本人へ通知されます。
認定は、非該当(自立)、要支援1〜2、要介護1〜5の8段階に分けられます。
要支援と要介護の違いを以下の表にまとめました。
要支援 | 要介護 | |
---|---|---|
本人の状態 | ・基本的に一人で生活できる ・部分的に介助を必要とする (例)掃除ができない、浴槽をまたげないなど ・適切な支援を受ければ要介護状態まではならない |
・日常生活全般で誰かの介護が必要 ・認知機能などの低下 がある |
受けられるサービス | 介護予防サービス | 介護サービス |
分類 | 要支援1~2 | 要介護1~5 |
要支援、要介護判定でそれぞれが受けられる介護サービスは異なります。
介護度別で利用できる介護サービスは、下記にまとめていますのでご活用してください。
介護サービスを利用する場合は、ケアプランの作成が必要です。
要介護認定区分に応じて下記の窓口へ連絡しましょう。
- 自立、要支援1~2と認定:地域包括支援センターへ連絡
- 要介護1~5と認定:居宅介護支援事業所へ連絡
ケアプランとは、介護を必要とする利用者やその家族の状況や希望を踏まえ、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた計画書のことです。
ケアプランはケアマネジャーが作成しますが、任せきりにせず本人・家族共に一緒に考えていきましょう。
その際の留意点は下記のとおりです。
- 今後どのような暮らしをしていきたいか
- 現在生活する上で困っていることはないか
- 医師から受けている療養上の指示
ケアマネジャーが作成したケアプランの内容はしっかり確認しましょう。
また、ケアプランは一度作成して終わりではありません。介護度や生活背景に応じてケアプランも見直していくことが必要です。
ケアマネジャーの役割や選び方、上手な付き合い方に関しては下記の記事をご活用ください。
③サービスの利用開始
介護サービスを利用する際は、サービス事業者に「介護保険被保険者証」と「介護保険負担割合証」を提示します。
そして、ケアプランに基づいた居宅サービスや施設サービスを利用できるようになります。
費用は所得に応じて自己負担割合が異なり、基本的に費用の1割負担です。一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となっています。
在宅介護に関するよくある質問
在宅介護に関するよくある質問を紹介します。
- 在宅介護にかかる費用はどのくらい?
- 在宅介護と施設、どちらを選ぶべき?
- 在宅介護に限界を感じた場合どうするべき?
ひとつずつ見ていきましょう。
在宅介護にかかる費用はどのくらい?
2021年度生命保険文化センターが調査したデータでは、在宅介護にかかる費用は平均約4.8万円/月となっています。
※参照:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
しかし、費用は要介護度や利用者の身体状態、生活環境によって異なるため一概にはいえません。
要介護度が重たくなると、それだけ介護サービスの利用頻度が増えます。
「在宅介護でサービスを利用すると、どのくらい費用がかかるのか知りたい」という方は、以下のウェブサイトで介護サービスの概算が計算できます。費用の目安としてご活用ください。
また、介護が必要になった場合にも、介護の助けとなるさまざまな支援制度やサービスがあります。
以下の記事をぜひお役立てください。
在宅介護と施設、どちらを選ぶべき?
介護が必要になった場合、療養する場を悩むこともあるでしょう。
「在宅介護」「施設介護」どちらにもメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | ||
---|---|---|---|
在宅介護 |
|
|
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施設介護 |
|
|
要介護度や介護する家族のライフスタイル、経済状況など生活背景を考慮して選択しましょう。
療養の場については、本人の希望を尊重しながら、家族内でしっかり話し合うことが大切です。
在宅介護に限界を感じた場合どうするべき?
在宅介護を無理に続けていくと、介護者が体調を崩したり、共倒れになってしまったりする危険性もあります。
介護に負担を感じる場合は、まずはケアマネジャーに相談しケアプランの見直しを行いましょう。
時には介護者も息抜きができるよう、短期入所生活介護(ショートステイ)を利用するのもひとつの選択です。
在宅介護を担っている多くの人が感じている「介護疲れ」を軽視してはいけません。
介護疲れの要因や問題、対策のヒントについて下記の記事でまとめています。
ぜひ在宅介護にお役立てください。
まとめ
この記事では、在宅介護について説明しました。
在宅介護をしていくためには、ケアマネジャーと相談しながら本人・家族のライフスタイルに沿ったケアプランが必要です。
在宅介護で利用できるサービスはさまざまあるので、状況が変わったら都度ケアプランも変更していきましょう。
また、在宅介護を継続していくことが困難になった場合は、介護施設へ入居するのもひとつの方法です。
在宅介護での悩みや不安はひとりで解決しようとせず、ケアマネジャーに相談して解決の糸口を探していきましょう。
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
博士(早稲田大学)、福祉デザイン研究所所長、武蔵野大学名誉教授。
1994年、つくば国際大学教授に就任後、武蔵野大学大学院教授を歴任。専門は社会保障、高齢者福祉、地域福祉、防災福祉。シニア社会学会・世田谷区社会福祉事業団理事。