【介護度を理解する!】要介護1とは?利用できるサービスや要介護2・要支援との違いについて解説
「家族が要介護1と認定されたけど、どのような状態なのかわからない」
「要支援と要介護の違いは何?」
「要介護1ではどのようなサービスが受けられるの?」
このような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
要介護1を簡単にまとめると以下のような状態です。
- 5段階の要介護認定の中では最も区分が低い
- 食事や排泄は一人でできる
- 身体機能や認知機能の低下がある
また、要介護1について「どうやってサービスの利用を開始するの?」「一人暮らしは可能なの?」と戸惑うこともあるかと思います。
本記事では、要介護1とはどのような状態なのか、どのようなサービスを受けられるのか、などわかりやすく解説します。
要介護1について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
「要介護1」とは排泄や入浴時に見守りや介助が必要な状態
厚生労働省による「要介護状態」の定義は以下の通りです。
身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く)
厚生労働省|要介護認定に係る法令
とされています。
わかりやすく言うと「人の手を借りずに自分だけで日常生活を送ることが難しい状態」ということです。
そのなかで「要介護1」とは、基本的に日常生活は自分で送れるものの、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする状態をいいます。
そもそも要支援・要介護とはなにかというと、日常生活の中でどの程度の介護(介助)を必要とするのか、介護の度合いをあらわす指標です。
要介護度の判定は、厚生労働省が基準を定める「要介護認定基準時間(介護にかかる時間)」を基本に7段階で区分しています。
- 要支援1~2
- 要介護1~5
さらに「自立」を合わせ、合計8段階に分けられます。
要介護者を介護するために必要な時間は、下記の表に示してあるように要介護度別で定められています。
区分 | 要介護認定等基準時間 (介護をするために必要な時間) |
|
---|---|---|
要支援1 | 25分以上32分未満 | |
要支援2 | 32分以上50分未満 | |
要介護1 | 32分以上50分未満 | |
要介護2 | 50分以上70分未満 | |
要介護3 | 70分以上90分未満 | |
要介護4 | 90分以上110分未満 | |
要介護5 | 110分以上 |
しかし、実際に必要な介護時間を正確に測定することは難しいです。
そのため、要介護認定等基準時間を算出するために、要介護認定の「一次判定」をおこないます。
一次判定は、市区町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)と主治医の意見書をもとに、コンピュータで判定されます。
要介護1の前後の段階である「要支援2」「要介護2」と合わせて比較してみました。
一人でできること | 一人ではできないこと | 介護をするために必要な時間 | ||
---|---|---|---|---|
要支援2 | 基本的な日常生活(食事・排泄・入浴など)は一人でできる | 家事や掃除だけでなく、立ち上がりや歩行にもサポートが必要 | 32分以上50分未満 | |
要介護1 | 基本的な日常生活(食事・排泄・入浴など)は一人でできる。 | 排泄や入浴は見守り、サポートが必要 | 32分以上50分未満 | |
要介護2 | 食事、排泄などは一人でできる |
|
50分以上70分未満 |
要支援と要介護の違いについては、下記の記事にて詳しくまとめていますので参考にしてください。
要介護1と要支援2の違い
要介護1と要支援2の違いは、以下の表を参考にしてください。
要介護度 | 要介護認定の目安 | 状態の目安となる具体例 | |
---|---|---|---|
要介護1 |
|
排泄や入浴時に見守りや介助が必要。 | |
要支援2 |
|
立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えない、身だしなみを自分だけでは整えられないなど支援を必要とする場面が多い。 |
要介護1と要支援2は、以下2つの観点で区分しています。
- 1. 認知機能の状態
- 2. 状態の安定性
要介護1と要支援2の境界線を判別する1つ目の観点は「認知機能の状態」です。
要支援2では認知機能の低下は見られず、適切なサポートを受ければ要介護状態への進行を予防できる、と考えられています。
一方で、軽度の認知機能低下が見られ、要支援状態への回復は難しいと判断される場合には、要介護1の認定を受ける可能性があります。
要介護1と要支援2の境界線を判別する2つ目の観点は「状態の安定性」です。
厚生労働省が定めた6ヶ月の認定有効期間内に、状態が変化する可能性で判断します。
ここでいう状態というのは病状などではなく、必要とする介護(介助)の量の変化についてです。
“介護がより必要になる”と予見できる場合は、認知機能の低下がなくても介護度が引き上げられる可能性もあります。
上記はあくまでも目安のため、最終的な判断は認定調査員が総合的に状況を見て判断します。
要支援2の概要に関しては、下記の記事を参考にしてください。
要介護1と要介護2の違い
要介護1と要介護2の違いは、以下の表を参考にしてください。
要介護度 | 要介護認定の目安 | 状態の目安となる具体例 | |
---|---|---|---|
要介護1 |
|
排泄や入浴時に見守りや介助が必要。 | |
要介護2 | 食事、排泄などは自分でできるものの生活全般で見守りや介助が必要。 |
|
要介護1では、食事など日常生活は自分でできますが、排泄や入浴など身の回りのことで一部手助けが必要な状態です。
一方、要介護2では、食事や排泄・入浴など日常生活の多くの場面で介助が必要な状態です。
要介護1ではほとんどサポートがいらなかった身の回りのことにも、手助けが必要となります。
そのため、要介護1と要介護2では利用できる福祉用具にも違いがあります。
また、要介護2は理解力や思考力が低下している点も、要介護1とは異なる部分です。
要介護1で利用できるサービスは?
要介護1では「介護サービス」が利用できます。
「要支援」と「要介護」では利用できるサービスが異なり、要介護では身体の状態を維持・改善するために利用します。
利用できるサービスを下記の一覧表にまとめました。
訪問型 | 訪問介護 |
---|---|
訪問看護 | |
訪問入浴 | |
訪問リハビリテーション | |
居宅療養管理指導 | |
夜間対応型訪問介護 | |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | |
通所型 | 通所介護(デイサービス) |
通所リハビリテーション(デイケア) | |
地域密着型通所介護 | |
療養通所介護 | |
認知症対応型通所介護 | |
看護小規模多機能型小規模看護(複合型サービス) | |
短期入所型 | 短期入所生活介護(ショートステイ) |
短期入所療養介護(医療型ショートステイ) | |
福祉用具 | 福祉用具の貸与費の支給 |
福祉用具の購入費の支給 | |
住宅改修 | 住宅改修費の支給 |
地域密着型 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
小規模多機能型居宅介護 | |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | |
地域密着型特定施設入所者生活介護 | |
その他 | 特定施設入居者生活介護 |
各サービスについて詳しく見ていきましょう。
自宅で利用するサービス
自宅で利用できるサービスを「訪問型サービス」と呼びます。
看護職員や介護職員など有資格者が自宅に訪問し、サービスを提供する形態です。
要介護1で利用できる訪問型サービスを以下にまとめました。
訪問介護 (ホームヘルプサービス) |
ホームヘルパーが自宅を訪問します。食事や排泄、入浴の世話などの身体介護や、掃除・洗濯などの生活援助を受けられます。 |
---|---|
訪問看護 | かかりつけ医の指示のもと、看護師や保健師が自宅を訪問します。療養上の世話や診療の補助を受けられます。 |
訪問入浴 | 浴槽を積んだ入浴車が自宅を訪問します。介護予防を目的として入浴を受けられます。 |
訪問リハビリテーション | かかりつけ医の指示のもと、理学療法士などが訪問します。機能回復のための訓練を受けられます。 |
居宅療養管理指導 | 医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問して、療養上の管理・指導を受けられます。 |
夜間対応型訪問介護 | 夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して援助を受けられます。 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 定期的な巡回や随時通報への対応などが受けられます。サービスの提供にあたっては、訪問介護員だけでなく看護職員なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けられます。 |
要介護1では、自宅で利用できるサービスを活用する方も多いです。
施設に通って利用するサービス
施設に通って利用できるサービスを「通所型サービス」と呼びます。
利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう、他者との関わりや心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施しています。
通所介護 (デイサービス) |
日帰りでデイサービスセンターなどに通います。入浴や食事の提供、機能訓練などを受けられます。 |
---|---|
通所リハビリテーション (デイケア) |
医療機関や介護老人保健施設などに通い、機能回復訓練を受けられます。 |
地域密着型通所介護 | 食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを、日帰りで受けられます。(通所介護とサービス内容は同じだが、地域密着型通所介護の利用定員は19人未満) |
療養通所介護 | 看護職員による観察を必要とする難病、認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護者又は癌末期患者を対象にしたサービスです。施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練・口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。 |
認知症対応型通所介護 | 認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。通所介護の施設(デイサービスセンターやグループホームなど)に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。 |
看護小規模多機能型居宅サービス(複合サービス) | 可能な限り自立した日常生活を送れるよう、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問(介護)」に加えて、看護職員などによる「訪問(看護)」も組み合わせることが可能。家庭的な環境と地域住民との交流の下で、介護と看護の一体的なサービスの提供を受けられます。 |
通所介護は他の利用者やスタッフとコミュニケーションが取れる機会となり、利用者が人との繋がりを感じられます。
そして、介護する家族にとっては休息の時間(レスパイトケア)となるメリットがあります。
詳しくは、「【在宅介護の強い味方!】デイサービス(通所介護)とは?特徴やサービス内容を表を使って徹底解説」 を参考にしてください。
通所リハビリテーションは医師の指示のもとで利用するため、施設を選ぶ際は担当の医師やケアマネジャーと相談しながら決めます。
詳細については、「【介護の基礎知識】デイケア(通所リハビリテーション)とは?利用目的やサービス内容・利用方法までわかりやすく解説 」をご活用ください。
宿泊して利用できるサービス
宿泊して利用できるサービスを「短期入所型サービス」と呼びます。
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、孤立感の解消や心身機能の維持回復が目的です。
また、家族の介護負担軽減や、介護者が不在の時の安全確保として利用するケースもあります。
短期入所生活介護 (ショートステイ) |
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間施設に入所します。入浴や排泄、食事などの介護や、機能訓練などを受けられます。 |
---|---|
短期入所療養介護 (医療型ショートステイ) |
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間、介護老人保健施設などに入所して看護や機能訓練などを受けられます。 |
どちらも連続で利用できる日数は、最長30日まで利用可能です。
生活環境を整えるサービス
日常生活においてよりよい生活が送れるように、以下の生活環境を整えるサービスも利用できます。
福祉用具の貸与費の支給 | 福祉用具を借りる費用を支給します。 要介護1の場合、下記の福祉用具は原則的に保険給付の対象外となります。
|
---|---|
福祉用具の購入費の支給 | 排泄や入浴などレンタルができない福祉用具の購入費用を支給します。 購入する際は、指定事業所での購入が対象となります。 |
住宅改修費の支給 | 自宅への手すり、段差解消など、住宅改修に対して限度額内(20万円・原則1回限り)を支給します。 住宅改修の前に市町村へ事前申請が必要です。 |
福祉用具購入費の支給(利用限度額)は1年につき10万円までと決まっています。
要介護1の場合、貸与の対象となる福祉用具は以下のとおりです。
- 手すり(設置工事を伴わないもの)
- スロープ(設置工事を伴わないもの)
- 歩行器、歩行補助つえ
福祉用具の貸与(レンタル)に必要な費用は、1割(所得に応じて最大3割)負担となります。
たとえば、月額レンタル料金が5,000円の歩行器をレンタルする場合、介護保険を利用すると、500円の自己負担で利用できます。3割負担の場合の自己負担額は1,500円です。
施設などに入居して利用できるサービス
施設(有料老人ホームや軽費老人ホームなど)に入居して利用できるサービスは以下が挙げられます。
特定施設入居者生活介護 (ショートステイ) |
有料老人ホームなどに入居している方が、食事や入浴などの介護や機能訓練を受けられます。 |
---|
特定施設入居者生活介護の対象となる施設は以下のとおりです。
- 有料老人ホーム
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 養護老人ホーム
※サービス付き高齢者向け住宅については、有料老人ホームに該当するものとする
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住と略)は「一般型」と「介護型」に分かれています。介護型は、サ高住の中でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたところを指します。
食事や入浴の介助のほか、介護・看護サービスなど有料老人ホームと同等のサービスが利用可能です。
特定施設入居者生活介護の受給者数は、年々増加しています。高齢化が進む日本において、ますます需要は増えていくでしょう。
特定施設入居者生活介護を利用できる有料老人ホームの概要、入居条件や費用に関しては、下記の記事にまとめています。
地域密着型のサービス
地域密着型サービスとは「住み慣れた地域で、できる限り自分らしい暮らしが継続できるように提供される包括的なケアシステム・サービス」のことです。
市町村によって指定した事業者から地域密着型サービスが提供されます。
要介護1が利用できる地域密着型サービスは以下のとおりです。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の利用者を対象とした専門的なケアを提供するサービスです。日常生活の支援や機能訓練を受けられます。 |
---|---|
小規模多機能型居宅介護 | 通いを中心に、利用者の選択に応じて訪問型サービスや短期間の宿泊サービスを組み合わせて、日常生活の支援や機能訓練を受けられます。 |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | 入所定員30人未満の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)にて、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを受けられます。 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視しています。 |
地域密着型特定施設入所者生活介護 | 指定を受けた入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームなどにて、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練を受けられます。 |
地域密着型サービスは地域に密着した小規模の運営であるため、スタッフや利用者との交流もしやすい環境です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、5〜9人の少人数の利用者と介護スタッフが、ひとつの共同生活住居で生活を送ります。
入居条件やサービス内容については、「グループホームとは?特徴や入居条件をカンタン解説」にてまとめていますのでお役立てください。
また、小規模多機能型居宅介護では、ひとつの事業所で「介護スタッフの訪問」「高齢者の施設通い」「高齢者の施設宿泊」の3つのサービスを提供します。
受けられるサービス内容や対象者については、「【表比較でわかる!】小規模多機能型居宅介護とは?料金や対象者、利用方法を解説」を参考にしてください。
要介護1の区分支給限度額
要介護度によって、介護保険から給付される1ヶ月あたりの上限額(支給限度額)が決まっています。要介護1の場合は月額167,650円※です。
支給限度額内でサービスを利用する場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割、または3割)を負担します。超過した分のサービス費用は全額自己負担です。
「要介護1で支給限度額内におさめたい場合、サービスの利用頻度はどれくらいかな…」とお悩みの方は、以下のウェブサイトで介護サービスの概算が計算できます。費用の目安としてご活用ください。
要介護1で受けられるケアプラン・費用の例
要介護1で受けられるケアプラン・費用の例を、自宅と施設にそれぞれ分けて見ていきましょう。
自宅の場合
要介護1で自宅にてサービスを受ける場合、サービス内容や自己負担額は以下のようになります。
自宅でサービスを受ける場合の月額利用料の一例
サービス内容 | 利用回数 | 費用額 |
---|---|---|
訪問介護(ホームヘルプサービス) | 4回 | 13,680円 |
訪問看護 | 4回 | 20,840円 |
通所介護(デイサービス) | 8回 | 57,840円 |
短期入所生活介護 | 3日間 | 23,850円 |
1ヶ月の介護サービス費用試算額 | 116,210円 | |
自己負担額 | 11,621円 (1割負担の場合) |
※介護予防通所リハビリテーションは月額計算
※参照: 厚生労働省|介護サービス概算料金の試算
上記の費用はあくまでも目安です。ケアプランを作成する際はどのようなサービスが必要なのか、担当のケアマネジャーとしっかりと話し合って決めましょう。
施設の場合
要介護1で有料老人ホームに入所している場合、サービスを利用すると自己負担は以下のようになります。
有料老人ホームでサービスを受ける場合の月額利用料の一例
サービス内容 | 費用額 | |
---|---|---|
特定施設入居者生活介護 | 185,410円 | |
自己負担額 | 18,541円 (1割負担の場合) |
介護予防特定施設入居者生活介護サービスの対象施設の場合、生活上の介護サービスを毎月定額で利用できます。
居住費や食費、日用品費などは別途必要です。
サービス対象の施設へ入居したい場合は、各施設へ問い合わせてみてください。
要介護1でも入居できる施設・費用
本人がご自宅での暮らしを不安に感じたり、家族のサポートが難しかったりする場合もあるかと思います。
このような場合は、要介護1でも入居できる施設で暮らすこともひとつの手です。
要介護1で入居できる施設の種類と各施設に入居する際に必要な入居金(入居時に必要な費用)、月額で支払う費用の目安を以下にまとめています。
施設 | 概要 | 入居金 | 月額利用料 |
---|---|---|---|
介護付有料老人ホーム | 介護スタッフが24時間配置されている施設 | 0円~数億円を超えるものまで幅広い | 15~30万円 |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援などのサービスが付帯した施設 | 15~30万円 | |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の診断を受けた高齢者が共同生活する施設 | 0円〜数百万円 | 15〜20万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 高齢者が暮らしやすいサービスが付帯した住宅 |
|
|
介護老人保健施設 | 高齢者が自宅に戻るためのリハビリや医療ケアなどを受けられる施設 | 0円 | 6万円~17万円 |
介護医療院 | 長期療養を必要とする方が、医療や介護のサポートが受けられる施設 | 0円 | 9万~17万円 |
介護型ケアハウス | 自宅での生活が困難で、生活支援が必要な60歳以上の高齢者が生活する施設 | 0円~数百万円 | 8万円~20万円 |
費用はあくまでも目安のため、詳細は各施設にお問い合わせが必要です。
介護サービス費は1割負担(所得に応じて2~3割負担の場合もあり)ですが、日用品費や医療費は含まれないため自己負担となっています。
また、要介護1では公的施設である特別養護老人ホームには入居できません。
施設へ入居したい場合は、必ず入居条件を確認しましょう。
要介護1に関するよくある質問
要介護1に関するよくある質問にお答えします。
- 介護サービスを利用開始するには?
- 要介護1の認定を受けたら必ずサービスを利用する必要があるのか?
- 要介護1でもひとり暮らしは可能?
ひとつずつ見ていきましょう。
介護サービスを利用開始するには?
実際に介護サービスを利用するためには、以下のような流れになります。
- 1.要介護認定の申請
- 2.認定調査
- 3.審査判定
- 4.認定結果の通知
- 5.居宅介護支援事業所
- 6.介護サービス計画書の作成
- 7.介護サービス利用開始
サービスを利用する際は、居宅介護支援事業所を選んで介護支援専門員(ケアマネジャー)とどのようなサービスが必要か相談しながらケアプランを作成します。
施設サービスを希望する場合は、希望する施設との直接契約が別途必要です。
ケアマネジャーの役割や選び方を理解しておくと、今後の相談もスムーズにできるかと思います。以下の記事をご活用ください。
要介護1の認定を受けたら必ずサービスを利用する必要があるのか?
要介護認定を受けたからといって、必ずしもサービスを利用する必要はありません。
しかし、サービスを利用するまでに時間が空いた場合、本人の状態が変わってしまう可能性もあります。
たとえば、認定を受けたときは「要介護1」だったが、病気や怪我により「要介護2」状態になってしまった、といった場合です。
このような場合には、改めて要介護認定を再度行う必要があります。
なお、日本には介護の手助けとなるような支援制度やサービスがさまざまあります
詳しくは、「【知って損なし!】介護の負担軽減に役立つ支援制度とは?」を参考にしてください。
要介護1でも一人暮らしは可能?
要介護1の場合、排泄や入浴に見守りや介助が必要ですが、食事など日常生活はできるため、状況によっては一人暮らしは可能かもしれません。
厚生労働省の2019年の調査によると、要介護1の認定を受けている人の中で一人暮らしをしている世帯は全体の20.4%を占めています。※
とはいえ、認知能力や運動能力の低下はあるため、入浴や排泄、買い物、掃除などのサポートは必要です。
一人暮らしを安全に継続するためには、訪問介護やデイサービスなどを組み合わせて活用しましょう。
とはいえ、認知能力や運動能力の低下はあるため、入浴や排泄、買い物、掃除などのサポートは必要です。
一人暮らしを安全に継続するためには、訪問介護やデイサービスなどを組み合わせて活用しましょう。
まとめ
本記事では要介護1について詳しく説明しました。
要介護1でも、さまざまなサービスが利用できます。サービスを受けるために何から始めたらいいかわからない方は、居宅介護支援事業所に相談してみましょう。
ケアマネジャーがご自身に合ったサービス内容をアドバイス・相談にのってくれます。
可能な限り自立した日常生活を送れるよう、有効的にサービスを活用していきましょう。
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
博士(早稲田大学)、福祉デザイン研究所所長、武蔵野大学名誉教授。
1994年、つくば国際大学教授に就任後、武蔵野大学大学院教授を歴任。専門は社会保障、高齢者福祉、地域福祉、防災福祉。シニア社会学会・世田谷区社会福祉事業団理事。