住宅型有料老人ホームとは? 費用・メリット・デメリットを徹底解説

公開日:2021年12月22日
住宅型有料老人ホーム

親が高齢になってくると、「このままで生活は大丈夫だろうか」と不安になりますよね。本人に相談しても「介護の必要がないから」と断られてしまうこともあるかと思います。
介護を必要としない自立している人をはじめ、要介護の人まで幅広い高齢者を対象とした住宅型有料老人ホームなら、見守りや生活支援サービスを受けながら生活を送ることができます。
本記事では、住宅型有料老人ホームの特徴や費用、入居するまでの流れを見ていきます。

住宅型有料老人ホームとは?

厚生労働省の定義では、住宅型有料老人ホームとは「生活支援サービス付きの高齢者向け居住施設」とされています。
食事・洗濯・清掃等の生活支援サービスや、見守りや緊急時の対応サービスを受けられます。
また、自立~要介護度が軽い人が多いため、レクリエーションやイベントに力を入れている点も魅力です。
要介護の人も入居が可能ですが、住宅型老人ホーム自体では、介護サービスを提供していません。
介護サービスが必要な場合は、介護事業者と別途契約して利用することになります。
ここでは、住宅型有料老人ホームと介護付有料老人ホーム・健康型有料老人ホームの違い、サービス付き高齢者向け住宅との違いを見ていきましょう。

介護付有料老人ホーム・健康型有料老人ホームとの違い

住宅型有料老人ホームと介護付有料老人ホーム・健康型有料老人ホームの違いを表で比較してみましょう。

  住宅型有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム
概要 自立~要介護の高齢者が生活支援を受けて生活する 自立~介護が必要な高齢者が介護・生活支援を受けて生活する 自立状態の高齢者が家事や食事のサポートを受けて生活する
提供するサ|ビス 食事・洗濯・清掃等の生活支援 生活支援のほか、身体介護・機能訓練・レクリエーション・サークル活動など 家事サポートや食事等のサービス
要介護となった場合 居宅サービス事業者と契約が必要 そのまま居住が可能 退去

介護付有料老人ホームは、入居者に介護が必要な人が多く生活しています。その点、住宅型は自立した人が多い傾向にはありますが、要介護の人もたくさん入居しています。介護が必要になると、外部の居宅サービス事業者と契約することで介護を受けて暮らせます。健康型は自立した(介護を必要としない)状態の高齢者が対象で、住宅型と異なり介護が必要になれば退去しなければなりません。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い

設備・サービス内容が似ている住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を比べてみましょう。

  住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
管轄 厚生労働省 国土交通省
概要
※運営・どんな人向けかを含める
自立~要介護5までの高齢者が対象。施設と入居者の状況によって65歳以下でも入居が可能。 60歳以上の自立者や要介護度が高くない人、認知症ではない人が対象。しかし、なかには要介護認定者だけを対象としたところも。
契約形態 利用権方式 賃貸借契約
初期費用目安 0~数千万円 ・一般型:数十万円~ 一部には0~数千万円
・介護型:数十万円~数百万円

両者の大きな違いは、入居する際の契約形態です。サービス付き高齢者向け住宅は住宅部分に「建物賃貸借契約」を交わすのに対して、住宅型有料老人ホームは利用権方式です。これは、入居一時金を支払うことで、居室・共用施設を利用する権利や、生活支援サービスを受ける権利が保障される方式です。
自分の意思・ペースで生活をおくりたいと考えている人は、生活の自由度が高いサービス付き高齢者向け住宅を選択する傾向にあります。

住宅型有料老人ホームの入居条件

住宅型有料老人ホームの入居条件は、施設によってさまざまです。「65歳以上」や「自立~要介護5」という条件が一般的ですが、施設や身体状況によっては、60歳以下でも可能なケースもあります。
住宅型有料老人ホームは、比較的介護を必要としない人が多いですが、施設ごとに医療・看護体制も異なります。 身体状況や持病に関する不安もあるでしょうから、入居を希望する施設に直接問い合わせてみるのが一番です。要介護度の基準も幅広く、軽度の認知症なら受け入れが可能な施設もあります。

住宅型有料老人ホームで受けられるサービス

住宅型有料老人ホームでは、「食事の提供」「洗濯や掃除などの家事」「健康管理」などの生活支援サービスを受けられます。自立した状態で入居し、必要性に応じて訪問介護やデイサービスを契約して使い、施設の有料サービスも上手く組み合わせながら、生活していきます。

食事の提供

住宅型有料老人ホームでは、1日3食と多くの施設ではおやつが提供されます。食事の時間帯は施設によって異なります。なかには和食や洋食など選択できる施設もあります。
また利用者の噛む力が弱い場合にはきざみ食やソフト食、ミキサー食など、身体状況によっては糖質制限食、カロリー制限食などを個別に対応してくれる施設もあります。
食事を楽しみにしている利用者が多いため、食事を楽しめるようにさまざまな工夫を凝らしている施設もあります。

洗濯・掃除・見守りなどの生活支援

住宅型有料老人ホームでは、見守りサービスに加え、居室の掃除、洗濯もしてもらえます。一人で問題なく生活できるけど、掃除・洗濯などの家事がちょっと困難になってきたという人でも整った環境で生活できます。その他、買い物代行、来訪者の受付の対応なども可能です。利用者に応じて、必要な生活支援サービスを利用できます。

レクリエーションやイベント企画

住宅型老人ホームは、介護を必要としない自立した人をはじめ、比較的要介護度が低い人が多いこともあり、行動の制限も少なく、日々のレクリエーションやイベント企画に力を入れている施設も多いです。施設内だけではなく、外出イベントや、外部ボランティアを招いた企画など、種類はさまざまです。
日々の楽しみが多いと、生活の充実度もあがるでしょう。

健康管理

住宅型有料老人ホームでは緊急時の対応のほか、平時の健康相談も行われています。事故や体調に異変があった場合は、施設の職員が救急車を呼んでくれたり、提携機関に搬送してくれたりと迅速な対応が可能です。看護職員が在籍する施設では、インスリン注射やたんの吸引など医療ケアが受けられる施設もありますので、事前に確認しておきましょう。

介護サービス(外部サービス)

住宅型有料老人ホームには、もともと介護サービスはついていません。自宅にいるときと同様に、必要に応じて外部サービスとの契約が必要です。
入居後に介護サービスが必要になったら、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、デイサービスや訪問介護を利用しましょう。利用者に必要なサービスだけを契約できるため、要介護度が低い人は費用を抑えられます。
なお、近年は施設内に訪問介護事業所やデイサービスが併設されていて、そこと契約することで介護付有料老人ホームと同程度の介護サービスを受けられる住宅型有料老人ホームもあります。介護付と異なり介護保険で福祉用具のレンタルやデイサービスに通うことも可能です。要介護度がそれほど高くない間は、上手に組み合わせて利用することで自分らしい快適な介護生活をおくることもできます。

住宅型有料老人ホームの主な設備

住宅型有料老人ホームは、一般的に以下の設備を備えています。共用設備、居室の設備をそれぞれ見ていきましょう。

  • 共用設備:食堂・浴室・健康管理室
  • 居室の設備:洗面所・トイレ/場合によっては個別のキッチン・浴室

施設によっては、共用のリビングやリハビリルームのほか、カラオケルーム、シアタールーム、プール、アトリエ、花壇や菜園などがある場合も。施設ごとに設備が異なるため、利用者の希望に沿った設備があれば生活がより潤います。
可能なら、見学や体験会に参加して実際に確認することをおすすめします。居室は個室だけではなく夫婦部屋もあるため、ご夫婦で入居することもできます。

住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット

住宅型有料老人ホームのメリット・デメリットを見ていきます。

メリット

住宅型有料老人ホームのメリットは下記です。

  • 比較的健康な人を対象としているため、自由度が高い
  • 万が一に対応してくれる見守りサービスがある
  • イベントやレクリエーションが多く、施設に活気がある
  • 必要な介護サービスだけ利用できるため、費用削減が期待できる

住宅型有料老人ホームは、介護の必要がなく趣味や行事を楽しみたい人におすすめです。万が一介護が必要になった場合には、外部の介護サービスを利用します。

デメリット

住宅型有料老人ホームのデメリットは下記です。

  • 医療依存度が高くなると退去が必要になる可能性がある
  • 介護が必要な場合、外部サービスを利用しなければならない
  • 要介護度が高くなり、介護サービスの利用が多くなると、毎月の介護費用が高くなる

住宅型有料老人ホームは基本的に介護サービスがついていません。利用回数が増えると、介護付の施設の方が安くなるケースも。夜間の介護が必要な場合には、外部サービスではカバーできない可能性もあります。

住宅型有料老人ホームの費用・料金

住宅型有料老人ホームに入居するには、一般的に「入居一時金」と毎月の「月額費用」が必要です。
具体的な内容を確認していきましょう。

   

入居一時金

入居一時金は家賃やサービス費の一部を入居時に支払うお金です。そのため入居一時金を支払うことで、月々の費用を抑えられます。
また入居一時金は高額なことが多く、償却期間が設けられている場合もあります。償却期間内に退去した場合には、残りの期間に応じた額が返金される仕組みです。
入居一時金がかからない施設も数多くありますが、なかには数千万円(一部には数億円)という施設もあります。施設独自の初期費用を設けているため、疑問点は契約前にしっかり確認しましょう。
リンク:入居一時金の詳細は「介護付有料老人ホーム」をご覧ください

月額費用

月額費用には、家賃や管理費、食費、サービス費などが含まれます。月12万~40万円ほどが目安ですが、施設によって費用・内訳が異なるため、事前にご確認ください。
利用者が、おむつや歯ブラシなどの消耗品を施設から提供してもらった場合は、その分も加算されることがあります。施設に平均費用を聞いたうえで、毎月かかる費用をシミュレーションしておきましょう。

住宅型有料老人ホームに入居するまでの流れ

住宅型有料老人ホームに入居するまでの基本的な流れについて見ていきます。希望の施設にスムーズに入居できるよう、事前に調べておいてください。

1.情報収集

利用者と話し合ったうえで、施設に求める条件を明確にしましょう。条件に該当する施設に問い合わせて資料請求をしたり、ホームページを見たりして特徴や費用を把握します。
担当のケアマネジャーがいる場合には、相談してみましょう。条件を満たした施設を探し、紹介してもらえる場合もあります。

2.見学・体験入居

入居を希望する施設が見つかったら、見学会に参加しましょう。施設の雰囲気や他の利用者様の様子から、自分が入居したら満足して暮らせるかどうかを見極めるよい機会です。見学会の参加は予約制となっていますので、電話などで予約を取りましょう。なお、見学で気に入った施設には、数日間体験入居してみましょう。

見学では見えなかったところを肌で感じることができ、入居したらどのような生活を送ることになるのか、自分らしく暮らせそうかを判断するために、大変有効です。

また、健康診断書や介護保険被保険者証など必要書類のほか、疑問・質問点は聞いておきましょう。入居を希望する場合は申し込みをし、その後面談や入居審査が行われます。

3.本契約・入居

本契約時には、「重要事項説明書」を用いて契約内容の説明を受けます。入居一時金や月額費用などの条件をチェックしましょう。
入居日の確認も忘れずに。荷物をまとめたり挨拶をしたり、余裕を持って行動できるようにしてください。

住宅型有料老人ホームの選ぶときのポイント

住宅型有料老人ホームを選ぶ際にチェックすべき項目は下記です。

  • 施設の立地や設備・雰囲気に利用者が満足しているか
  • 支払いに無理のない程度の費用か
  • 十分な健康管理・生活支援サービスを提供してくれるか
  • 満足できる食事を提供してくれるか

自炊や入浴が好きなら、キッチン・浴室が付いた居室を選ぶとよいでしょう。光熱費・水道料金はかかりますが、落ち着いて過ごせる環境を選ぶことは大切です。仏壇を持ち込める施設もあります。また、数は少ないですが、条件付きでペットと暮らせる施設もあります。今後の生活をイメージして、どのような希望があるのかを把握し、その希望を叶えられる施設はどこなのかを確認しましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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