【表比較でわかる!】介護付有料老人ホームとは? 費用や入居条件、施設の選び方を解説

公開日:2021年12月22日更新日:2023年02月28日
介護付有料老人ホームとは

「介護付有料老人ホームではどのようなサービスを受けられるの?」
「介護付有料老人ホームの選び方を知りたい」

このような疑問を感じる方も多いかと思います。

在宅介護の次のステップとして、選択肢のひとつに挙げられるのが「介護付有料老人ホーム」です。

要介護度が高い方でも入居可能なところが多く、充実した介護サービスが受けられます。

本記事では、介護付有料老人ホームの費用や入居条件、選び方についてさらに詳しく見ていきます。

入居者にとって適切なホームを選ぶためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか。

介護付有料老人ホームとは? 充実した介護サービスが特徴

そもそも有料老人ホームには「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類があります。

介護付有料老人ホームとは、掃除や洗濯といった身の回りのサポートのほか、介護サービスや健康管理をあわせて受けられる老人ホームです。

「介護付き」と名のつく有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けています。

特定施設入居者生活介護とは、簡単に説明すると「厚生労働省が定めた基準をクリアした施設で受けられる介護保険サービス」のことです。

ホームには24時間介護スタッフが常駐しており、充実した介護サービスを受けられる点が大きな特徴のひとつです。

また、ホームで介護サービスが提供されますので、外部の介護サービスを別途契約する手間がなく、その分負担が少ないとも言えるでしょう。

さらに入居できる対象者も、自立の人から要介護度5の人まで幅広いため、年々ホームの数も増えています。※

厚生労働省「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割」

介護付有料老人ホームは3種類|入居条件も解説

介護付有料老人ホームは、入居時の身体の状況によって3つのタイプに分けられます。

  介護専用型 混合型 自立型
入居条件 要介護度1以上。なかには要支援1以上の施設もある 要介護・要支援・自立 自立した人

それぞれの特徴を見ていきましょう。

種類①:介護専用型

「介護専用型」では、入居対象者を要介護1以上の人に限定されています。

しかし、なかには要支援1以上というホームもあります。

スタッフが24時間配置されているため、緊急時でもスムーズに対応してもらうことが可能です。

ホームによって、要介護度が高い方でも快適に過ごせるように、設備やサービスでさまざまな工夫がされています。

種類②:混合型

「混合型」は、自立〜要介護の人まで、幅広い入居者への対応が可能です。

例えば、夫婦の一方が要介護認定を受けており、もう一方が自立しているケースでも、夫婦一緒に入居が可能なホームが多いです。

ホームでは介護サービスを提供されているため、入居時は自立だった方が介護が必要になった場合でも、基本的にはホームを移動する必要がありません。

また、認知症の人でも入居できるホームが多いですが、ホームによって異なるため事前に確認が必要です。

種類③:自立型

「自立型」は入居段階で、自立している方が対象です。

入居後に要支援、要介護となった時には、同施設の介護棟や介護フロアに住み替えることができるため「終のすみか」となるホームといえます。

介護専用型や混合型に比べて数自体は少数です。

数は少ないものの、自立のときから長期間生活できることから、居室は広く、共用設備やサービスが充実しているため、費用が高額に設定されている場合が多いです。

介護付有料老人ホームで受けられるサービス

介護付有料老人ホームで受けられるサービスは大きく4つに分けられます。

  1. 介護サービス
  2. 看護サービス
  3. 生活支援サービス
  4. 医療連携サービス

介護サービス

介護付有料老人ホームは、介護サービスが充実している点が大きな特徴です。

24時間配置されているスタッフが、入浴や食事の介助、居室内の清掃など身の回りのサポートや介護をしてくれます。

人員配置基準が定められており、一定数のスタッフが配置されているため、持病のある人へのサポート体制も充実していることが多いです。

また介護付有料老人ホームでは、看取りまでできるところもあります。

看護サービス

介護付有料老人ホームは、日中に看護職員を配置することが義務付けられています。

ホームによっては、夜間に看護職員を配置しているところもあります。

介護福祉士などの介護スタッフではできない医療的ケアまで対応してくれる点が大きな魅力です。

看護職員は、入居者の体調管理や病気の相談はもちろん、療養中の人には薬の管理や胃ろうの処置、たんの吸引などを行います。

医療的なサポートが必要な方のニーズにマッチした選択肢といえるでしょう。

生活支援サービス

入居者に来客や荷物が届いた場合の取り次ぎや、通院時は提携する病院への送迎手配※といったことまでお願いできます。

ゲストルームやプールといった設備が備わっているホームもありますが、設備が充実するほど入居費用は高くなることがほとんどです。

入居する際は、ご自身にとって必要なサービスかよく検討しましょう。

※無料の場合と有料の場合がありますのでご確認ください。

医療連携サービス

介護付有料老人ホームは、地域のクリニックや病院と協力体制をとっています。

緊急時には駆けつけてくれたり、入院先として提携していたりすることもあります。

提携先ではない医療機関の往診は、別途医療機関との契約が必要です。

医療施設が併設された介護付有料老人ホームもあるため、どの程度医療サービスを必要とするかを考えて検討しましょう。

介護付有料老人ホームの費用・料金

介護付有料老人ホームを利用する際、費用や料金が気になる方も多いかと思います。

料金体系の基本は以下の3つです。

  1. 入居金
  2. 月額利用料
  3. 介護保険自己負担

それぞれ詳しく見ていきます。

入居金

入居金は、入居時に支払う家賃やサービス費の一部です。そのため「入居一時金」や「前払金」ともいわれています。

ホームごとに、入居して生活する平均期間を「想定居住期間」として割り出し、入居金を設定しています。

その想定居住期間分の居室や共有部分の利用料金(家賃相当料金)を、入居時に前払いするシステムです。

なお、入居金は高額なケースもあり、償却期間(しょうきゃくきかん)が設けられているのが一般的です。

そもそも償却とは、支払った入居金を毎月の家賃などに一定額ずつあてることをいいます。

そして多くのホームでは、入居したタイミングで入居金の10〜30%ほどがすぐに償却されます。

これを「初期償却」(しょきしょうきゃく)と呼びます。なお、ホームによっては初期償却がないところもあります。

ひとつ例にして考えてみましょう。

  • 入居金:1,000万円
  • 初期償却:20%
  • 償却期間が60ヶ月(5年)

上記のようなホームの場合、初期償却は以下のような計算になります。

【1,000万円×20%=200万円(初期償却される金額)】

入居時に200万円が初期償却されます。

その後、残りの800万円(入居金1,000万円−初期償却200万円)が、60ヶ月(5年)かけて償却されていきます。

このケースにおいて、毎月償却される金額は以下のような計算です。

【800万円÷60ヶ月=13.3万円/月(毎月償却される金額)】

なお、償却期間中に(上記の例だと60ヶ月以内)に退去した場合は、未償却分が退去時に返金される仕組みです。

各ホームのプランによって入居金が不要なものもあれば、数千万や数億円かかるものもあります。

入居金が不要な場合は、その分月額利用料が高めに設定されていることも多いので事前に確認しておきましょう。

月額利用料

月額利用料の内訳は、「家賃」と「管理運営費(管理費)」です。

ホームや要介護度、支払い方法によって異なりますが、目安は月12〜40万円ほど必要です。

支払い方法は大きく分けて3種類あり、ホームによっても異なります。

全額前払い方式 想定居住期間分を、入居時に全額支払う。
一部前払い方式 入居時に一部を前払いし、残りを利用期間中に月払いで支払う。
月払い方式 利用期間中に月払いで支払う。

全額前払い方式、一部前払い方式はまとまったお金が必要ですが、月額利用料が安く抑えられます。

一方、月払い方式は全額前払い方式に比べ、月額利用料が高くなるため、毎月の費用負担は大きくなります。

月額利用料の具体的な内訳は、以下のとおりです。

【具体例】

家賃 利用する居室や共用部分の利用金額。建物の地価、グレード、各居室の面積などにより設定されている。
管理費 光熱費、水道代、設備費、メンテナンス費用、事務費用、人件費などが含まれる。
施設介護サービス費 食事、入浴、排泄の介助などを行う分の費用を「施設介護サービス費」という。介護保険が適用されるため、利用者は1割(所得によっては2~3割)を負担。
介護保険対象外のサービス費(自費サービス費) 教養娯楽費(レクリエーションや任意のサークル活動費用)、理美容などが対象。
追加サービス費(上乗せサービス費) 入浴や通院などの送迎が一定の回数を超えた場合に追加費用がかかることもある。
食費 1日3食30日分の食事代。ホームごとに異なり、約5〜8万円程度。欠食する場合は事前の申し出が必要。
日用品費 個人が使う歯ブラシ、歯磨き粉、石けん、ティッシュペーパーなどの消耗品。
医療費 訪問診療や訪問歯科、ケガや病気で受診した場合は医療費がかかる。

介護付有料老人ホームのより詳しい費用情報に関しては、下記の記事でまとめています。

介護保険自己負担

介護付有料老人ホームで提供される介護サービスは、基本的に介護保険が適用されます。

なお介護保険には、要支援・要介護度別に、1ヶ月に介護保険サービスを利用できる「区分支給限度基準額」が決められています。

区分支給限度基準額とは、要支援・要介護度ごとに設定された、介護保険サービスの1ヶ月の上限を単位数として設定しているものです。

それぞれ介護度によって設定されている限度額は、厚生労働省の区分支給限度基準額を参考にしてみるとよいでしょう。

利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)です。

仮に1万円分のサービスを利用した場合、支払う費用は1,000円(2割の場合は2,000円)です。

なお、区分支給限度基準額を超えた分や、介護サービスの範囲外で利用したサービスに関しては全額自己負担となります。

介護付有料老人ホームの設備

介護付有料老人ホームの設備基準を以下にまとめました。

居室 ・原則個室
・居室は地下に設けない
・一人あたりの床面積は13㎡以上
廊下 廊下の幅は1.8m以上
共有スペース 食堂、浴室、リビング、健康管理室、機能訓練室、看護・介護職員室

基本的にどのような方でも暮らしやすいようにバリアフリー対応となっています。

また、出入り口が緊急避難時にも対応できることが必要です。

ホームによっては、プールやトレーニングルームが備えられているホームもあります。

設備に関しては、入居する前に見学をして自分の目で確認をしておくことが大切です。

介護付有料老人ホームの人員配置

介護付有料老人ホームでは、人員配置が定められています。

各配置は以下のとおりです。

生活相談員 常勤1人以上
利用者:生活相談員=100:1
看護職員または介護職員 ①要支援者:看護・介護職員=10:1
②要介護者:看護・介護職員=3:1
※ただし看護職員は要介護者が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人
機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
計画作成担当者 1人以上(兼務可)
※ただし、要介護者:計画作成担当者100:1を標準
管理者 1人以上(兼務可)

「生活相談員」はソーシャルワーカーとも呼ばれています。介護福祉施設と入居者、家族とのあいだに立ち、対応や相談を請け負っています。

「機能訓練指導員」とは、リハビリ・機能訓練の専門家です。 介護保険法により介護施設への配置が明確に定められています。

「計画作成担当者」とは、ホームを利用する方のケアプランを作成するスタッフです。入居者の身体や心身状況をふまえながら、一人ひとりに合ったケアプランを作成しています。

なお、ホームによっては看護職員が24時間常駐し、基準よりも多く人員が配置されているホームもあります。

人員配置においてはホームによって異なるので、確認するとよいでしょう。

他の有料老人ホームとの違い

冒頭でもお伝えしたように、有料老人ホームは以下の3つのタイプに分類されます。

  • 介護付
  • 住宅型
  • 健康型

「住宅型有料老人ホーム」と「健康型有料老人ホーム」それぞれの違いを見ていきます。

住宅型有料老人ホームとの違い

住宅型有料老人ホームとは、主に民間企業が運営し、自立している方から要支援・要介護の人まで幅広く受け入れているホームです。

そのため、「生活支援などのサービスが付いた高齢者向け居住ホーム」とされています。

生活支援サービスというのは、日常における生活援助や緊急時の対応、レクリエーションなどのサービスです。

介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの異なる点は「介護サービスの提供方法」です。

介護付有料老人ホームでは、24時間介護スタッフが常駐しており、充実した介護サービスが提供されています。

一方で住宅型有料老人ホームは、生活支援などのサービスは受けられますが、介護サービスの提供はありません。

介護が必要になった場合は、別途外部の介護サービス事業所と契約する必要があります。

以下に、住宅型有料老人ホームの入居条件や費用、サービス内容についてまとめています。

住宅型有料老人ホームの概要

入居条件 主に65歳以上
自立~要介護5の人
入居金 0円~数億円を超えるものまで幅広い
月額利用料 12~40万程度
食事・洗濯・清掃などの生活支援 食事・洗濯・清掃などの生活支援

イベントやレクリエーションが多いため、趣味や行事を楽しみたい方におすすめです。

さらに住宅型有料老人ホームの詳細を知りたい方は、「住宅型有料老人ホームとは? 費用・メリット・デメリットを徹底解説」でまとめていますので参考にしてください。

健康型有料老人ホームとの違い

健康型有料老人ホームは、介護を必要としない自立した高齢者向けのホームです。

身の回りのことはご自身でできる高齢者が、元気な状態を維持できるように支援する設備が整っています。

健康型有料老人ホームの入居条件や費用、サービス内容は以下のとおりです。

健康型有料老人ホームの概要

入居条件 主に60歳以上
介護を要しない健康で自立した方
入居金 0円~数億円を超えるものまで幅広い
月額利用料 12~40万程度
食事・洗濯・清掃などの生活支援 食事・緊急時の対応

定年退職後も体力・気力ともに十分あるような方が入居するケースも多いです。

そのため高齢になればなるほど、新規入居の割合が少なくなる傾向にあります。

ホーム数はほかの介護付・住宅型と比べて少なく、2020年時点では全国で20施設ほどしかありません。

なお、介護が必要となった場合は原則退去となります。

介護が必要になった場合は、介護付有料老人ホームなどのような、介護サービスを提供しているホームへの転居を検討する必要があります。

健康型有料老人ホームについてさらに知りたい方は、「健康型有料老人ホームの特徴とは?」の記事にまとめています。

介護付有料老人ホームのメリット・デメリット

次に、介護付有料老人ホームを利用するメリット・デメリットを説明します。

メリット ・ホーム内にスタッフが24時間配置している
・日中は看護職員が常駐している
・看取りまでできるホームもある
・ホームの数が多いため選択肢が豊富
デメリット ・費用は比較的高額
・ホームによってサービスの内容や質が異なる

介護付有料老人ホームは、介護サービスが充実している点が大きなメリットです。

日中は看護職員も常駐しているため、医療的ケアも受けられます。

入居の対象者も自立~要介護度5までの人と幅広いため、多くの人が利用可能です。

介護付有料老人ホームの入居者は年々増加しており、全国でも約24万人の人が入居しています。(※2019年時点)

※参照:厚生労働省「特定施設入居者生活介護」

一方でデメリットとして、介護付有料老人ホームは費用が比較的高額であるという点があげられます。

入居金が不要なプランを用意しているホームもありますが、その場合は月額利用料が高くなり月々の負担が大きくなる場合もあります。

介護付有料老人ホームのメリット・デメリットをしっかり比較しながら、入居者の住まいとして適切なのかを判断していきましょう。

介護付有料老人ホームの控除制度

介護付有料老人ホームでは、介護費用や食費、居住費において税金の控除を受けられる場合があります。

入居者が該当しないか、以下3つの控除について確認してみましょう。

  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 医療費控除

ここからそれぞれの控除内容を見ていきます。

扶養控除

扶養控除とは、納税者(世帯主)に扶養親族がいる場合に、その納税者の所得から一定の金額を控除できる制度です。

控除される金額は、扶養している同居の有無や親族の年齢によって異なります。

なお、以下に該当する方は介護付有料老人ホームに入居後も同様に扶養控除を受けられることがあります。

  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が48万円以下
  • ホームに入居する前から入居者を扶養に入れて扶養控除を受けている

入居者が70歳以上なら老人扶養親族となるため、施設入居の場合だと48万円の控除が受けられます。

「生計を一にする」とは、必ずしも同居である必要はありません。※

入居者のホーム費用を納税者が支払っている場合は、「生計を一にする」ものとなります。

扶養控除を受ける際は、自営業なら確定申告、会社員なら勤務先に扶養控除申請書の提出を忘れずに行いましょう。

※参考:国税庁「扶養控除」

障害者控除

障害者控除とは、障害のある方やその家族が受けられる制度のことです。

下記に該当する場合、障害者控除の対象となります。

  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
  • 身体障害者手帳に身体上の障害があると記載されている
  • 療育手帳の交付を受けている65歳以上かつ市町村によって障害者控除の対象と認められている
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている

上記は一例です。詳細は下記の国税庁のページに記載されています。

※参考:国税庁「障害者控除」

要介護認定と障害者認定は異なるものですが、自治体が定める一定基準を満たすと、要介護認定を受けた方は障害者控除の対象になることがあります。

障害者控除対象で27万円、特別障害者控除対象になると40万円の控除が受けられます。

なお、扶養控除と障害者控除の双方に該当する場合、どちらも適用可能です。

医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間で、入居者や家族が一定以上の医療費を払った際に、所得の控除が受けられる制度です。

なお、民間が運営する介護付有料老人ホームの場合、食費や介護サービス費、居住費は控除の対象にはなりません。

介護付有料老人ホームは介護施設であり、医療施設ではないためです。

しかし、介護付有料老人ホームで使用したおむつ代や、訪問診療にかかる費用などは、医療費控除の対象となります。

領収書を確認すると、「医療費控除対象」と記載があります。確定申告の際に必要なので保管しておきましょう。

介護付有料老人ホームの選び方

介護付有料老人ホームでは、介護サービスや医療的ケアの内容も重要ですが、まずは入居者本人の希望をしっかりと聞くことが大切です。

立地や個室の広さ、食事など、心地よく快適な生活をおくれることが家族の安心にもつながります。

入居者はもちろん、家族もしっかり納得できるようなホームを選びましょう。

そのためにもホームの費用や設備を比較し、実際にホームを見学するなど雰囲気を確認することも重要です。

それでもどのようなホームを選ぶべきか悩むこともあると思います。

その場合は、最寄りの地域包括支援センターや老人ホーム紹介センターに足を運んだり、ケアマネジャーなどに相談したりしてみましょう。

なお、地域包括支援センターはすべての市町村に設置されており、全国に5,000か所以上あります。

保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどの専門家が配置されており、無料で相談ができます。

ホーム選びの悩みにもしっかりと寄りそい、ニーズに合ったホームを提案してくれます。

介護付有料老人ホームに入居するまでの流れ

介護付有料老人ホームの、施設情報の検索から入居するまでの基本的な流れについて見ていきます。

  • ①情報収集
  • ②見学・体験入居
  • ③本契約・入居

それぞれ詳しく見ていきます。

ホームが決定していても、入居までには見学や面談などの時間が必要なことは留意しておきましょう。

①情報収集

入居者の要望や身体状況のほか、立地や予算、ホームの特徴などを踏まえて希望するホームを絞りましょう。

人気のホームは満室になっている場合もあるため、いくつか候補を考えておくことをおすすめします。

パンフレットや資料などを確認したり、ウェブサイトを閲覧したり、なるべく多くの情報を集めましょう。

担当ケアマネジャーの意見を参考にするのもひとつの方法です。

②見学・体験入居

希望のホームが絞れたら、見学・体験入居の申し込みを行います。

可能であれば実際に入居者が体験することで、想像と現実のギャップを埋めることができるでしょう。

見学は予約制のところが多いため、必ず事前に問い合わせましょう。

見学時に「健康診断書」や「介護保険被保険者証」などの入居時に必要な書類や、入居前の面談・入居審査についても聞けると今後の準備がスムーズです。

また、見学するホームの概要は事前にパンフレットに目を通し、把握しておくことも大切です。

③本契約・入居

本契約の時には、「重要事項説明書」を用いて契約内容の説明を受けます。

重要事項説明書には、サービス内容や設備、費用など幅広い情報が記載されています。重要な情報が記載されている書類なので、最後まで必ず目を通しましょう。

なお、本契約の前に体験入居が可能なホームもあります。

逆に、体験入居が必須のホームもあるので、入居者や家族が納得した上で契約同意書を交わしましょう。

介護付有料老人ホームについてよくある質問

介護付有料老人ホームに関する、よくある質問をまとめました。

  • 有料老人ホームは病気がある場合も入居できる?
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違いは?
  • 特別養護老人ホーム(特養)との違いは?
順番に見ていきます。

介護付有料老人ホームは夫婦同室で入居できる?

2人部屋のあるホームでは、空き状況や条件によっては夫婦同室で入居は可能です。

しかし、すべての介護付有料老人ホームに2人部屋があるわけではありません。

また、夫婦の介護度に差があると、同室で入居できないこともあります。

夫婦同室を希望する方は、介護付有料老人ホーム以外の選択肢として下記もあげられます。

  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 軽費老人ホーム
  • グループホーム

ただし、部屋の空き状況がそれぞれ異なるので、夫婦同室を希望する場合は事前に確認が必要です。

特別養護老人ホーム(特養)との違いは?

介護付有料老人ホームと特別養護老人ホーム(特養)の違いは以下のとおりです。

  介護付有料老人ホーム 特別養護老人ホーム
運営 主に民間企業が運営する施設 地方自治体の助成を受けた社会福祉法人か、地方公共団体が運営する公的施設
目的 介護や生活支援を受けながら生活するホーム 介護を受けるための施設
入居条件 ・介護型:主に65歳以上の人・要介護度1以上の人
・混合型:主に65歳以上の人・自立・要支援・要介護の人
・自立型:主に65歳以上の人・自立している方
原則65歳以上で要介護3以上の人
費用 入居金が必要
月額12~40万円
入居金はなし
月額6~15万円
設備 基本的には個室 相部屋になることが多い(近年はユニット型個室が増加)
サービス ・介護サービス
・生活援助
・娯楽やレクリエーション
・生活援助
・介護サービス

特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれる公的施設です。

福祉の観点から要介護度が高い方や、生活保護受給者の入居など公的支援に力を入れています。

そのため、費用は介護付有料老人ホームより抑えられています。

しかし、サービスや設備は介護付有料老人ホームほど充実していない場合が多いようです。

特別養護老人ホームの詳しい概要については、下記の記事にまとめています。

介護認定がなくても介護付有料老人ホームに入居できる?

介護付有料老人ホームのなかでも「混合型」「自立型」だと要介護認定が必須ではないので、検討しているホームのその他の条件を満たせば入居が可能です。

しかし「介護専用型」は、要介護1以上が入居条件になっているため、要介護認定は必要です。

なお、介護付有料老人ホーム以外でも、介護認定がなくても入居できるところがあります。

たとえば「サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)」です。

サ高住の概要は以下のとおりです。

サービス付き高齢者向け住宅の概要

入居条件 原則60歳以上
自立・要支援・要介護の人
入居前に必要な費用 【敷金】
・一般型:数万円~数百万円
・介護型:数万円~一部に数千万円
月額利用料目安 ・一般型:5万円~25万円
・介護型:15万円~40万円
提供サービス
  • 安否確認
  • 生活相談
居室の広さ 25㎡以上(条件付で18㎡以上も可)
食事 自炊可能
(※オプションで食事サービスの利用も可能)
生活の自由度の違い 外出・外泊は自由に可能

サ高住とは、スタッフによる「安否確認」と「生活相談」が受けられる賃貸住宅です。

そのため、入居者が安心して暮らせる環境が整っています。

さらに詳しい内容が知りたい方は、下記の記事を参考にするとよいでしょう。

まとめ

本記事では、介護付有料老人ホームについて詳しく見てきました。

介護付有料老人ホームでは、介護職員が24時間常駐しているため、手厚い介護サービスが受けられます。

他にも、レクリエーションやイベントなどのサービスも充実しているため、快適に生活がおくれるでしょう。

しかし、介護付有料老人ホームはそれぞれの場所で特色があるため、入居先を選ぶ時に迷うこともあるかと思います。

不安がある場合は、地域包括支援センターや老人ホーム紹介センター、ケアマネジャーなどにまずは相談してみるとよいでしょう。

無料で相談ができ、ホーム選びの悩みにもしっかりと寄りそってくれます。

自分や家族が安心して生活を送れるよう、自分や家族の希望や条件と施設の特徴や費用感を しっかりとすり合わせていきましょう。



監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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