【表比較でわかる!】シニア向け分譲マンションとは? 特徴や入居基準・費用を徹底解説

公開日:2021年12月22日更新日:2023年01月20日
シニア向け分譲マンション

「介護はまだまだ必要ないけれど、生活のなかで不安要素は極力減らして暮らしたい」「老人ホームではない、マンションタイプのところはないかしら」というようなニーズには、シニア向け分譲マンションも選択肢の一つになるのではないでしょうか。

シニア向け分譲マンションは、バリアフリー仕様、必要に応じたオプションサービスなど、高齢者が生活しやすい環境が整っています。安心感のもと、自由な暮らしを楽しみたい高齢者向けの住居といえます。

本記事では、シニア向け分譲マンションの特徴や、メリット・デメリット、費用などを詳しく見ていきます。

シニア向け分譲マンションとは?

こでは、比較されることの多い「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)との違いを表にまとめました。

  シニア向け分譲マンション 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅
管轄 厚生労働省 国土交通省(厚生労働省)
対象者 主に60歳以上(50歳以上というところも)
自立
要支援・要介護の人は応相談
主に65歳以上(60歳以上も)
【介護付】自立・要支援・要介護
【住宅型】自立・要支援・要介護
【健康型】自立
原則60歳以上
自立・要支援・要介護
サービス・設備 バリアフリー
共用設備が充実
食事の提供、家事、健康管理、食事介護など 安否確認
生活相談
バリアフリー
契約形態 所有権 主に利用権 賃貸借契約
リフォーム・売却可否 × ×

三者の相違点を比較したうえで、シニア向け分譲マンションのポイントとして以下を押さえておきましょう。

  • 物件購入に伴う初期費用が高額
  • 所有権があるため、資産形成・譲渡が可能(子への相続も可能)
  • 娯楽設備やレクリエーション設備が豊富な場合が多い

シニア向け分譲マンションの入居基準

シニア向け分譲マンションは購入資金があれば比較的簡単に入居できます。年齢制限はありませんが、入居可能年齢が50歳、60歳など条件が設けられている場合が多いです。

通常介護サービスはないため、自立した状態で、自分で自分の身の回りのことができる、認知症ではない人が入居します。ただし、軽介護までは受け入れ可能なシニア向け分譲マンションもありますので、介護が必要な人は直接ご相談ください。

シニア向け分譲マンションのサービス

シニア向け分譲マンションは、高齢者が安心して暮らしやすいようにさまざまなサービスや設備が充実しています。マンションにより内容は異なりますが、ここでは主なサービスを見ていきます。

基本的なサービス

「シニア向け」とあるように、高齢者に優しいサービス設計です。バリアフリーを基本に、住戸内のドアが引き戸になっている、手すりがついている、緊急時のコールボタンがあるなど安全に生活できるよう配慮されています。

駅や医療機関への送迎バス、医療施設との提携、日常生活のサポート、看護師の常駐、見守り対応、生活相談の提供がある場合も。ただし、有料になるサービスもあります。

設備面のサービス

居室、共有スペースはバリアフリーで、高齢者が暮らしやすいように工夫されています。また、居室にはトイレ、浴室、キッチンなどが備わっており、これまでと同様な日常生活をおくれます。

館内や敷地内の共有スペースにはレストラン、シアタールーム、体育館、大浴場、ジム、カラオケルームなどがあり、夫婦や友人と一緒に楽しめるのが嬉しいポイントです。

食事面のサービス

共有スペースには食堂やレストランが設けられ、好きなときに利用できます。もちろん自宅キッチンでは自炊も可能で、外食も自由です。また、外出・外泊も自由です。マンションによっては、塩分やカロリーを計算した食事を提供してくれたり、体調不良の時に部屋まで食事を届けてくれたりするサービスもあります。

介護・医療面のサービス

基本的に介護サービスは提供していません。介護・医療サービスが必要な場合は、外部のサービスと契約します。ただ、シニア向け分譲マンションによっては看護師や介護職員が常駐、診療所やデイサービスと連携、定期健康診断の実施、24時間緊急コールボタンの設置といったサービスがついていることもあります。どのサービスを利用するか否かは自由に選択できますが、敷地内や提携している医療機関があればいざというときに安心です。

シニア向け分譲マンションのメリット・デメリット

シニア向け分譲マンションは安心、安全にシニアライフを満喫できるサービスやサポートが充実している反面、通常の分譲マンションよりも割高感があります。以下、具体的に見ていきます。

シニア向け分譲マンションのメリット

次のような点がメリットとして挙げられます。

  • 娯楽施設や設備が充実している
  • 生活をサポートしてくれる職員が常駐
  • 資産となる

娯楽施設や設備が充実している

シニア向け分譲マンションにはシアタールームや図書館、囲碁・麻雀室などが備わっているところが多く見られ、レクリエーションやサークル活動も活発なため、他の入居者との交流やスポーツを通じて豊かなシニアライフをおくれることが魅力です。
シニア向け分譲マンションでは、居室の広さや設備によって購入金額が異なります。

生活をサポートしてくれる職員が常駐

多くのシニア向け分譲マンションでは、サポートスタッフが24時間常駐しています。その他フロントサービスでは、来訪者の受付、安否確認、共用部分の予約や各種相談、救急車の手配などをお願いできます。施設ごとにサービスは異なりますが、清掃、洗濯、買い物代行や通院の同行も依頼可能です。日中は看護師がいて健康相談できるところもあります。

資産価値を有する

一般的なマンション同様、購入した居室は自身の所有物であり、資産になります。所有物であるため、入居後のリフォーム、子どもへの相続、第3者への売却も可能。売却が進まない場合は、賃貸として貸し出すこともできます。

シニア向け分譲マンションのデメリット

次のような点がデメリットとして挙げられます。

  • 初期費用や月額費用が高額
  • 固定資産税や修繕積立金なども必要
  • 要介護度が高まると住み続けるのが困難

初期費用や月額費用が高額

シニア向け分譲マンションの購入費用は1千万円位から1億円以上というところも。さらに月々の管理費や生活費で数十万円の費用がかかります。介護が必要な場合は、別途介護サービス費が必要になります。資産になりますが、共有設備が充実している分、一般的な分譲マンションよりも高額になっています。

売却が思うようにならない場合もある

シニア向け分譲マンションは所有権があるため、いつでも売却可能です。しかし、思うような金額ですぐに売却できるとは限りません。購入者も基本的にシニア層に限定されます。また、共有部分が広く充実していることから、一般マンションの同面積の居室より高めの価格に設定されることが一般的です。そのため、なかなか買い手がつかず、価格を下げるケースもあります。介護施設に住み替えた場合、所有権移転が終わるまでの間は、両方の管理費と修繕積立金や固定資産税が必要です。このあたりも含め、余裕のある資金計画が必要です。

要介護度が高まると住み続けるのが困難

怪我がきっかけで活発に動けなくなった、年齢とともに認知症が進んだなど手厚い介護が必要になった場合、介護費用がさらに高くなり支払いの負担が増えます。万が一訪問介護で対応できなくなった場合は、有料老人ホームなどへ住み替えを検討しなくてはなりません。

シニア向け分譲マンションに向くのはこんな人

一人で身の回りのことができて、資金に余裕がある人におすすめです。入居後はマンション内の設備やサービスを使って、同じマンションの入居者同士交流が持てます。趣味が豊富、スポーツが好き、人と話すのが好きなどアクティブな生活をおくりたい人に向いています。 また、快適な生活を送りつつ、将来的には子どもに資産を残したい、という人にも魅力のある物件とも言えます。

シニア向け分譲マンションの費用・料金

シニア向け分譲マンションは趣味や娯楽を楽しめる設備、サービスが備わっています。そのため価格が高めに設定されています。

物件購入費と月額利用料

購入価格帯は1千万~1億円と幅広いのですが、同じ間取りの一般的なマンションと比較すると、設備費用なども加わり高額に設定されている場合が多くなっています。さらに、固定資産税や月々の利用料(管理費・修繕積立金)がかかります。

シニア向け分譲マンションは中古物件や賃貸もありますので、シニア向け分譲マンションを運営する事業者に問い合わせてみるといいでしょう。いずれにしても管理費・修繕積立費などの月々の支払いは発生します。

その他、必要に応じて外部の介護サービス利用料や食費、生活費もかかります。食事はシニア向け分譲マンション内のレストランを利用したり、自炊や外食など、自由に選択できますので、ライフスタイルや体調に合わせて楽しめます。生活全体の費用を確認のうえ、購入時のシミュレーションをしっかりと行いましょう。

シニア向け分譲マンションの費用

住宅ローンの活用

一般的な分譲マンションを購入するときと同じように住宅ローンを利用できます。ただし、シニア世代は条件が厳しくなる可能性もあるため、各金融機関へ相談してみましょう。用意できる自己資金はどのくらいになるのか、持ち家を売却するのかなど資金計画をしっかり立てることが大切です。

注意点として、万が一、要介護度が進むと、住み替えとなり、さらなる資金が必要になるかもしれません。シニア向け分譲マンションでは月々の費用も高額になりますので、十分な検討が必要です。

費用を考えるにあたり、有料老人ホームの費用感も知っておくとよいでしょう。

シニア向け分譲マンション選びのポイント

老後に安心して暮らせるシニア向け分譲マンション。長く、楽しく暮らすためにも、立地や権利形態、近隣についても把握しておきましょう。

立地・環境

スーパー、医療機関、駅やバス停が徒歩圏内にあると、便利で外出もしやすくアクティブに生活できます。できれば坂道がなく平坦で歩きやすい道路が多いといいでしょう。坂道ばかりだと体力的に厳しく転倒の危険も。近所にご家族が住んでいるとさらに安心です。

権利形態

資産として子どもへ相続できたり、住めなくなったときには売却したりすることが可能です。手元に残せると安心感がある反面、子どもに相続したけれど年齢制限で住めない、売却したいが買い手がいないといったトラブルも考えられます。また、不動産物件の所有者となることから、誰も住んでいなくても、固定資産税や管理費を払い続ける必要があります。

シニア向け分譲マンションは、一般的な住宅と同じく、基本的には生活スタイルは自由です。今後のライフプランをしっかりと立てて、納得できる物件選びに努めましょう。

選択肢を増やすためにも、下記記事でその他の高齢者施設・住宅の種類・特徴についても知っておくとよいでしょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

page-top