【表比較でわかる!】グループホームとは?特徴や費用、料金表、入居条件を簡単に解説

公開日:2021年12月22日更新日:2023年02月06日
グループホーム

「家族が認知症と診断され、日常的に介護が必要になった」または「現在認知症の家族の介護をしている」という場合、今後のことを考えるにあたり、選択肢の一つとして検討されるのが介護施設ではないでしょうか。なかでもグループホームは「地域密着型サービス」の一つということもあり、住み慣れた地域で生活が続けられるという特徴があります。

本記事では、グループホームの特徴や入居条件、サービス内容などを見ていきます。

グループホームとは?

グループホームは下記の特徴を持った介護施設です。

  • 要支援2以上で、ひととおり自分の身の回りのことができる認知症の高齢者が入居対象の介護施設
  • 認知症の高齢者が、専門スタッフの介助を受けながら5~9人の小規模なユニット単位で共同生活を行う
  • 「家事を分担する共同生活の場」が基本のため、自分でできるところは自分で行い、必要な介助を受けて生活する
  • グループホームがある市区町村に住んでいる人が対象

小規模人数の「ユニット」と呼ばれる単位で生活する形式を採用しているのは、毎日顔なじみの人たちと暮らすことで、落ち着いた生活がおくれるからです。認知症の高齢者は、新しい人やものごとを覚えることが難しくなっているため、大人数の施設や、職員の入れ替わりが多いというような、変化の激しい住環境での生活は好ましくありません。その点、グループホームでは、住み慣れた地域で、自宅に近い環境のもと、穏やかに過ごすための工夫がされています。

グループホームと介護付有料老人ホームの違い

グループホームと介護付有料老人ホームの違いを見ていきましょう。

  グループホーム 介護付有料老人ホーム
目的
※どんな人のための施設なのか
医師から認知症の診断を受けた要支援2以上の人で、身の回りのことができる人。かつ施設の市区町村に住民票がある人。要支援2以上でも寝たきりのような認知症の人は入居できません。 65歳以上で自立~要介護5までの人
サービス 介護サービス(食事、入浴、排泄などの介助、機能訓練、通院の付き添い、安否確認、緊急時対応など)、食事サービス、生活支援サービス(居室の掃除、洗濯、買い物など)、アクティビティ(イベントの実施、趣味や体操など)、近隣医療機関との提携など。 食事、入浴、排泄などの日常生活上の介護/掃除、洗濯などの生活援助/機能訓練/レクリエーションなど
雰囲気 小規模でアットホーム 大人数で賑やか
待機期間目安 数ヶ月というところも 0~2ヶ月

介護付有料老人ホームは、グループホームと同じく、認知症高齢者の受け入れが可能な介護施設です。グループホームは、認知症の人の自立支援サポートがメインで、介護付有料老人ホームは医療ケアや重度の要介護者への対応が手厚いという特徴があります。

グループホームへの入居条件

グループホームは、医師による認知症の診断が必須条件です。入居の際には、病院で診断を受けなくてはなりません。なお、グループホームは生活保護の人でも入居が可能です。それぞれの詳細を確認しましょう。

入居には医師による認知症の診断が必須

グループホームの入居条件は次のとおりです。

  • 医師から認知症の診断を受けている
  • 65歳以上
  • 要支援2、要介護1~5の認定を受けている
  • 施設がある市区町村に住民票がある
  • ひととおり自分で身の回りのことができる
  • 医療ケアを必要としない

認知症の診断書および要支援・要介護認定が必要になるため、入居を希望する際は事前に受診しておきましょう。

グループホームで受けられるサービスの種類

グループホームでは、認知症ケアに慣れたスタッフから以下のサービスを受けられます。生活上に必要なことを介護スタッフのサポートを受けながら行えるのが特徴です。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

日々の生活支援サービス

グループホームでは、食事の準備や後片付け、掃除、洗濯、排泄介助など日々の生活支援サービスが提供されます。有料老人ホームと異なり、グループホームは「身体状態が比較的良好な認知症」の人が入居するため、自分でできなくなっているところはスタッフの介助を受けながら行うのが特徴です。

食事の準備は調理スタッフが担当する施設でも、認知症ケアの一環として配膳や後片付け、おやつの準備などは入居者が行い、できる限り自立した生活をおくります。その他、洗濯物をたたむ、掃除機をかける、ゴミ出しをするなど、認知症の進行を遅くする効果があることから、できるだけ積極的にかかわってもらっている施設もあります。

就寝や昼寝でやすむ以外、多くの時間をリビング兼食堂の共有スペースで、入居者の皆さんと家族のように一緒に生活します。そのため居室はプライベートな寝室の役割が主というイメージです。

介護(認知症ケア)サービス

介護(認知症ケア)サービスとして、見守りのほか地域交流・レクリエーション・リハビリなどが行われています。季節ごとの行事やイベントを取り入れることにより、脳に刺激を受け、認知症の進行を遅らせる効果があるとされているためです。

地域のお祭りやボランティア、クリスマス、誕生日会への参加はもちろん、利用者自身がスタッフと一緒に簡単な準備を行います。意識せず楽しみながら、頭を使ったり手先を動かしたりして認知症ケアができます。

医療・看護サービス

グループホームには、医師や看護師の配置義務はありません。そのため、これまで医療行為は行われてきませんでした。しかし、近年は看護師を配置した施設が増加し、医療ケアのほか、服薬管理や日常の健康管理、通院介助を行う施設も増えてきてはいますが、医療体制が整っていない施設も一定数存在するのが現状です。
グループホームは基本的に、身体の状態が安定している高齢者が日常生活をおくる施設のため、容態の悪化など、医療的ケアが必要になった場合に、多くの施設では医療機関に入院するか、医療機関との協力体制のある施設へ移ることになります。

看取りサービス

これまでは、医療体制が整っていないホームがほとんどで、看取りに対応できる施設はあまりありませんでした。しかし、社会全体で高齢化の進む昨今、「看取りサービス」のニーズが増えてきています。

そのような状況から、2009年の介護保険法改正を機に、「看取りサービス」に対応するグループホームにおいて、「看取り介護加算」を受け取れるようになったことから、近年では看取りに対応する施設が増えてきています。

グループホームで使える設備

グループホームは、認知症の方が快適に生活をおくれるよう、一般の住宅に似た落ち着いた環境が整っています。グループホームの施設基準、利用できる設備内容について見ていきます。

居室

グループホームの居室は個室が原則とされ、最低でも床面積7.43㎡のスペースが確保されています。7.43㎡は入居者の私物を収納する設備を除いた面積です。
トイレや洗面台も共有のところがほとんどです。

2人部屋は入居者に必要と判断されたケースのみ設置が許可されており、基本的には個室が確保されています。運営側の事情により2名1室というのは認められていません。

共用施設

食堂や台所、トイレ、洗面所といった日常生活に必要な設備が共同で利用できます。安全のため、間取りは利用者が動きやすく、死角をつくらない設計になっているのが特徴です。車椅子対応や手すりの設置、バリアフリーといった対策もとられています。

なお、これらの共用施設はスタッフが利用する事務所や倉庫などとは区別して設置され、利用者の生活スペースが確保されています。

グループホームの費用と料金表

グループホームは入居時に必要な入居金と毎月かかる月額費用に分けられます。月額費用は、居住費、食費、その他費用と、それぞれの介護費用です。おおよその目安となる費用の内容を見ていきましょう。

月額費用

初期費用

初期費用は入居時にかかる費用で0円~数百万円ですが、10万円~50万円ほどの施設が多いようです。なかには初期費用が必要ない施設もあります。

多くの場合、保証金や敷金は退去をした際に居室の原状回復費用や滞った月々の賃料などにあてられ、差し引かれた残りが返金される契約です。しかし、途中退去した際には返還されない場合もあります。

「入居一時金」という費用で施設を利用する権利を取得しても、償却期間や償却率がそれぞれ異なるため、契約時には必ず確認しましょう。

月額費用

グループホームにおける月額費用には、居住費、食費、その他費用と、個別に必要な介護費用などです。費用の総額は15万~30万円ほどです。なおグループホームにおける介護サービス費の目安は以下のようになっています。

要介護度 1ユニットの施設 1ユニット以上の施設
要支援2 22,800円 22,440円
要介護1 22,920円 22,560円
要介護2 24,000円 23,610円
要介護3 24,690円 24,330円
要介護4 25,200円 24,810円
要介護5 25,740円 25,320円

※参照:厚生労働省「介護報酬の算定構造-介護サービス」(2021年4月)

※1ヶ月30日の料金の目安で、利用負担1割の場合。

料金表から分かるとおり、要介護度が重くなるのに伴い料金が高くなります。 1ユニットの場合には、2ユニット以上の施設よりもやや高くなっています。

サービス加算金

上記介護費用のほかにかかるサービス加算金もあります。 サービス加算金とは、ベースとなるサービスに加えて、より専門的なケアや手厚いサービスを提供するために請求される費用です。サービス加算金には下記のようなものがあります。どのような加算金が設定されているか、施設に事前に確認しておきましょう。

夜間支援体制加算

緊急時対応のため、夜勤や宿直など深夜の見守り体制を拡充させるための費用

認知症専門ケア加算

認知症ケアの知識や経験を持つスタッフ(専門研修を修了した職員)を配置する際に発生する費用

医療連携体制加算

医療ニーズがある人が利用を続けられるよう、看護師の配置等の看護体制を整えるための費用

看取り介護加算

看取りのための手厚い介護や体制を整えるための費用

家賃助成制度の確認

グループホーム入居者の居住費に当たる家賃に対して、市区町村が「家賃助成制度」を設けています。家賃助成制度の条件に該当すると、月額5,000円~数万円程度が受けられます。実際は事業所から減額して請求される形です。

申請条件、申請方法、助成金額は各自治体により若干異なります。 また、自治体独自の助成を行っているところもありますので、居住地の市区町村役場の担当窓口にご相談ください。

グループホームに入居するまでの流れ

入居申し込みから入居確定までの流れを見ていきます。必要な書類についてもここで確認しておきましょう。

  • 1.入居の申し込み:入居申込書を提出
  • 2.面談:利用者の状態や家庭での様子などを把握する
  • 3.書類の提出:住民票・認知症診断書・健康診断書・所得証明など
  • 4.入居の判断:要介護度や自立度など施設入居に該当するかを総合的に判断
  • 5.契約・入居確定:「重要事項説明書」をもとに施設側から説明

グループホームは高齢者が住み慣れた土地で暮らし続けることをめざした「地域密着型サービス」のため、住民票が必要です。施設と異なる市区町村から入居を希望する場合には、住民票を移さなければなりません。

地域密着型サービスを受けられるその他の施設

最適なグループホームを選ぶには?

グループホームを選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。また、入居を検討する施設には、足を運んで自分、またはご家族の目で確認することをおすすめします。

介護・医療体制の確認

入居を検討する施設の介護・医療体制を確認します。腎機能が悪く透析の必要な人や胃ろうの人などは、医療体制付きの施設を検討する必要があります。またスタッフの様子を観察して余裕があるかもチェックを。認知症ケアをする場合、スタッフに余裕があるかどうか、事故やトラブルを未然に防ぐためにも重要だからです。

入居者の様子をチェック

見学の際には他の入居者の様子をチェックすることも忘れずに。入居者の表情が穏やかであれば認知症の状態が安定し、日々落ち着いて生活できていると言えます。同時に、スタッフとの距離感も観察しましょう。スタッフに恐怖心を抱いていると、自然と距離をとって接することがあります。

複数の施設を比較検討

グループホームを検討する際には、施設ごとの違いがあることも踏まえて複数の施設を候補に挙げておくようにしましょう。グループホームは小規模・少人数のため、他類型より人の織りなす雰囲気の違いを感じやすくなっています。2ユニットある場合、それぞれの雰囲気が全く異なっているというケースもときどき見られます。

グループホームごとのメリットや費用、入居者本人の性格がグループホームの生活に合うかなどを考えて選択しましょう。また、複数の類型の施設を検討するうちに、次第にどこをチェックしたら良いかがわかってきます。年を重ねた家族にとって、その後の人生を快適に過ごせる施設を探しましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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