【早わかり表で比較】住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の7つの違い
老人ホームへの入居を考えているけど、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の違いについてわからない方も多いのではないでしょうか?
また、どのタイプの老人ホームが自分に合っているか知りたい方もいるでしょう。
本記事では、住宅型有料老人ホームとサ高住の7つの違いと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
自分がどちらに向いているかの判断のヒントもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違いとは?
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い7つを、以下のようにまとめてみました。
住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | ||
---|---|---|---|
契約形態 | 利用権方式(終身利用権方式) | 建物賃貸借契約 | |
入居条件 | 主に65歳以上の人 自立~要介護5の人 |
原則60歳以上 自立・要支援・要介護の人 |
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費用目安 | ・入居金は0~数億円まで幅広い ・月額利用料12は~40万円 |
【敷金】 ・一般型:数万円~数百万円 ・介護型:数万円~一部に数千万円 【月額利用料】 ・一般型:5万円〜25万円 ・介護型:15万円〜40万円 |
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サービス | 食事・洗濯・清掃などの生活支援 | ・安否確認 生活相談 |
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設備 | ・基本的には個室 ・居室の広さ:13㎡以上 ・バリアフリー |
・居室の広さ:25㎡以上(条件付きで18㎡以上も可) ・トイレや洗面など設備 ・バリアフリー |
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食事 | ホームが提供 | 自炊可能 ※オプションで食事サービスを利用可能 |
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生活スタイル | 基本的な1日のスケジュールが決まっており、自由度は高くはない。 | 自宅と同じく自由 ※オプションで食事サービスを利用可能 |
住宅型有料老人ホームとサ高住について、7つの項目別に比較しながら見ていきます。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い①契約方法
住宅型有料老人ホームとサ高住は、同じように高齢者が生活するための空間ですが、それぞれ契約方法が異なります。
初期費用の違いや、入居者が亡くなった後の対応が異なるので、事前に把握した上でご自分に適した契約方法を選びましょう。
住宅型有料老人ホームの契約方法
住宅型有料老人ホームの契約方法は、ホームによって異なり、以下のような契約方法があります。
建物賃貸借方式 |
一般的な賃貸住宅と同様、ホームで生活するために家賃相当額を毎月支払う方式。建物賃貸借方式では、居住部分と介護サービスの契約が別々になっている。 夫が契約者となり夫婦で入居契約した場合、もし夫が亡くなっても妻に借家権が相続されるので、引き続き生活できる。 |
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終身建物賃貸借方式 |
入居期間は終身。 入居中に契約者が死亡した時点で契約終了となり、建物賃貸借方式のように相続権は発生しない。 有料老人ホームで終身建物賃借方式は非常に少ない。 |
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利用権方式(終身利用権方式) |
居室や共用設備、介護サービスや生活支援にかかる料金をひとまとめにした契約。 入居中に契約者が死亡した時点で契約終了となり、相続権は発生しない。 |
この中でも住宅型有料老人ホームの契約方法は「利用権方式」を採用しているホームが多いです。
「利用権方式」は居室や各種設備などの空間を使用する権利や、介護サービスや生活支援サービスを受ける権利が保証されます。
つまり「権利を購入する」という形です。
サ高住の契約方法
一方でサ高住の場合は、原則「建物賃貸借契約」を結びます。
先述のとおり、賃貸マンションの契約と同じように、建物に住むための契約を意味します。
ただマンションのように更新費用はかかりませんが、入居時に家賃2〜3ヶ月分の敷金が必要です。
また建物賃貸借契約では、契約内容が入居者本人以外にも適用されるため、入居者が亡くなった場合に、契約を相続することが可能です。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い②入居条件
住宅型有料老人ホームとサ高住の入居条件は異なりますが、自立の人〜要介護度の人まで幅広く受け入れ可能な点は似ています。
またサ高住の場合は、一般型と介護型で入居条件が異なるので、それぞれの詳細を理解しておくことが大切です。
住宅型有料老人ホームの入居条件
- 主に65歳以上
- 自立・要支援・要介護
以上のような条件が一般的ですが、ホームや身体状況によっては、60歳以下でも可能な場合もあります。
住宅型有料老人ホームは介護サービスを提供していないこともあり、入居時点では、w比較的自立している人(元気な人)が入居するケースが多いです。
また、人員配置基準は特にあるわけではないので、ホームによって医療・看護体制は異なりますので、入居者の身体状況や持病などを考慮し、入居を希望するホームに直接問い合わせてみるのがいいでしょう。
要介護度の受け入れ条件も幅広く、軽度の認知症なら受け入れが可能なホームもあります。
サ高住の入居条件
サ高住の入居条件は、60歳以上の高齢者、または要介護認定を受けた60歳未満の人が対象です。
また一般型と介護型では、以下のように入居条件が異なります。
一般型 | 介護型 | ||
---|---|---|---|
年齢 | 60歳以上 | 60歳以上 | |
要介護度 | 自立~要介護度が軽い方 | 自立~要介護度5 | |
認知症 | 受け入れ不可 | 受け入れ可能 | |
連帯保証人 | 必要 | 必要 |
介護型の場合は、老人ホームのような介護サービスが受けられるので、ご自分のニーズに合わせて選ぶとよいでしょう。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い③費用
住宅型有料老人ホームとサ高住の費用の違いは、以下のとおりです。
住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | ||
---|---|---|---|
入居前に必要な費用の目安 | 【入居金】 ・0~数億円まで幅広い |
【敷金】 ・一般型:数万円~数百万円 ・介護型:数万円~一部に数千万円 |
|
月額利用料の目安 | ・月額利用料12は~40万円 (ホームによって異なる) |
・一般型:5万円〜25万円 ・介護型:15万円〜40万円 |
それぞれの内容を詳しく見ていきます。
住宅型有料老人ホームの費用
住宅型有料老人ホームの費用のなかでもっとも特徴的なのは、入居時の一部が初期償却(しょきしょうきゃく)される点です。
初期償却とは、入居した時点で支払いが確定し、退去時には返還されないお金のことで、入居金を一定の割合で減額されます。
また、入居金不要の月額プランを用意しているホームもあるため、入居者に合った支払いプランを検討しましょう。
サ高住の費用
サ高住の費用は、以下のような支払いプランがあります。
- 家賃の一部を前払いして月々の支払額を抑えるプラン
- 預り金を支払い月額利用料が支払えなくなった時に充てる保証金プラン
一般型は、居室のキッチンで自炊ができるため、水道・光熱費はそれぞれ利用分を入居者が支払います。
一方で介護型は、食事サービスの提供を前提に、水道・光熱費が含まれていることがあるので事前に詳細は確認しておきましょう。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い④サービス内容
住宅型有料老人ホームとサ高住のサービス内容は、以下のとおりです。
住宅型有料老人ホーム |
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---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅 |
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それぞれの内容を詳しく見ていきます。
住宅型有料老人ホームのサービス内容
住宅型有料老人ホームでは、比較的「要介護度が低い」方を対象にしているため、食事の提供や洗濯掃除などの日常生活支援が主なサービスです。
排泄や入浴といった身体介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用する必要があります。
レクリエーションや健康管理などの内容は、ホームによって異なるので事前に確認しておきましょう。
サ高住のサービス内容
サ高住には、「必ず受けられるサービス」と「必要に応じて受けられるサービス」があります。
必ず受けられるサービス |
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必要に応じて受けられるサービス |
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安否確認とは、サ高住のスタッフが入居者の部屋を定期的に訪問するサービスで、何か異変があった場合は迅速に対応してくれます。
生活相談とは、介護や通院の必要性、心身の不安や悩みなど生活のさまざまな相談に乗ってくれるサービスです。
サ高住の詳しい情報は下記の記事でまとめていますので、参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い⑤設備
住宅型有料老人ホームとサ高住の施設の違いは、以下のとおりです。
住宅型有料老人ホーム |
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---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅 |
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それぞれの設備について、さらに見ていきます。
住宅型有料老人ホームの設備
住宅型有料老人ホームは、全国的にホームの数も多いため、ご自分の希望に沿った設備のホームを探すといいでしょう。
ホームによっては、共用のリビングやリハビリルームのほか、カラオケルームやシアタールーム、プールなどがあります。
居室は1人部屋だけではなく、2人部屋も用意しているホームも多く、空室があれば夫婦で入居することも可能です。
サ高住の設備
サ高住には下記の設備基準が設けられています。
- 各専用部分の床面積が原則25㎡以上であること
- 各専用部分に、原則台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備えたものであること
- バリアフリー構造であること
「バリアフリー構造」とは、設備内の廊下の段差をなくしたり、浴室やトイレに手すりを付けたりすることです。
通路や出入り口の幅も高齢者を想定して規定されているため、一般の集合住宅よりも高齢者が生活しやすい環境といえるでしょう。
また、サ高住の中には見守りセンサーや緊急通報装置が設置されているホームもあります。
住宅型有料老人ホーム |
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---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅サービス付き高齢者向け住宅 |
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それぞれ、どのような人におすすめなのかも含めながら見ていきます。
住宅型有料老人ホームの食事
住宅型有料老人ホームでは食事が提供されます。
内容はホームによって異なりますが、食事内容にこだわっているホームも多くあります。
また、入居者の介護度や身体の状態に合わせた形態食も相談が可能です。
サ高住の食事
サ高住の場合は、居室や共用スペースにキッチンが設置されており、入居者が自由に料理できます。
また、ほとんどのサ高住では、オプションで食事サービスを利用可能です。
ご自分で調理を楽しみながら、必要に応じて食事サービスを利用するのもよいでしょう。
入居当初は自炊ができていたけど、年を重ねるごとに調理が大変になった場合にも途中から食事サービスを利用することもできます。
住宅型有料老人ホームとサ高住の違い⑦生活スタイル
住宅型有料老人ホームとサ高住には、以下のような生活スタイルの違いがあります。
住宅型有料老人ホーム |
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サービス付き高齢者向け住宅 |
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それぞれのさらに詳しい内容を見ていきます。
住宅型有料老人ホームの生活スタイル
住宅型有料老人ホームは、家事などの生活援助サービス体制が整備されており、レクリエーションやイベントなどのアクティビティが充実しています。
それゆえに、1日のスケジュールがある程度決まっています。
たとえば、予定が下記のようにスケジュールが組まれています。
- 8時:朝食
- 9時:体操・運動
- 12時:昼食
- 13時:レクリエーション
自由時間も合間に組まれていますが、サ高住に比べると自由度は低くなっています。
他の入居者と顔を合わす機会が多く、人のつながりを感じやすいというのメリットと言えるでしょう。
サ高住の生活スタイル
サ高住は賃貸借契約で、通常の賃貸住宅と同じ扱いのため、スケジュールは基本的に自由です。
外泊にも許可は不要で、日常生活における選択はすべて入居者が自由に行えます。
通常のマンションに住みながら、必要なサービスを利用するようなイメージが近いかもしれません。
入居後に必要になったサービスは、オプションで利用したり、外部の介護サービスに利用したりすることもできます
住宅型有料老人ホームとサ高住のメリット・デメリットは?
住宅型有料老人ホームとサ高住それぞれの特徴を、ここまで紹介してきました。
続いては、2つのメリット・デメリットを見ながら、より特徴をつかんでいきましょう。
住宅型有料老人ホームのメリット
住宅有料老人ホームのメリットは下記のとおりです。
- 比較的健康な人を対象としているため、生活の自由度が高い
- 万が一に対応してくれる見守りサービスがある
- イベントやレクリエーションが多く、ホームに活気がある
- 必要な介護サービスだけ利用できるため、費用削減が期待できる
- 福祉用具のレンタルに介護保険が適応される
住宅型有料老人ホームはイベントやレクリエーションが多く、他の入居者の人との交流を楽しめる機会も多いです。
そして入居後、要介護度が上がり、介護サービスが必要になるケースもあるでしょう。
その場合は、状況に応じて外部の介護サービスを利用できます。
また、住宅型有料老人ホームの場合、福祉用具のレンタルに介護保険が適応されるため、身体の状況に合わせて、福祉用具をレンタルすることが可能です。
ホームによってサービス内容は異なるため、事前に問い合わせておきましょう。
住宅型有料老人ホームのデメリット
住宅有料老人ホームのデメリットは下記のとおりです。
- 医療依存度が高くなると退去が必要になる可能性がある
- 介護サービスの利用が多くなると、毎月の介護費用が高くなる
住宅型有料老人ホームでは、身体介護が必要な介護サービスを提供していません。
そのため、身体介護が必要になった場合、外部の介護サービスを利用する必要があります。
外部のサービス利用が増えると、費用が想定より高くなるケースもあります。
また住宅型有料老人ホームではスタッフの配置基準が定められていないため、ホームによっては希望するサポートを受けられない場合もあります。
体調の変化で24時間の介護が必要になると、住宅型有料老人ホームでは対応できなくなる可能性も考えられるでしょう。
介護や医療的ケアに不安や心配がある方は、入居者が必要とするサポート体制が整った住宅型有料老人ホームや、介護サービスが提供される「介護付有料老人ホーム」もひとつの選択肢となるでしょう。
サ高住のメリット
サ高住のメリットは、以下のとおりです。
- 介護認定されていなくても入居できる
- 生活の自由度が高い
- 見守りサービスがあるため安心して生活ができる
サ高住は建物賃貸借契約を結び、居室・共用施設を利用する権利や、生活支援サービスを受ける権利が保障されているだけなので、生活の自由度は非常に高いです。
また要介護認定を受けていなくても入居できるため、「自宅で生活できるけどひとり暮らしは不安」という人におすすめと言えます。
「安否確認・見守りサービス」は必ず含まれているため、入居者本人はもちろんですが、家族も安心と言えるでしょう。
ホームによっては併設した介護事業者や医療施設と連携し、充実した介護・医療サービスを受けることも可能になっています。
サ高住のデメリット
サ高住のデメリットは、以下のとおりです。
- 一般的な賃貸住宅より費用は高い
- 一般型と介護型によって受けられる介護サービスが異なる
通常のマンションに住むのと同じような契約ですが、一般的な賃貸住宅より費用が高い傾向にあります。
通常のマンションの設備に加えて、バリアフリー仕様など、高齢の人にとって暮らしやすい環境や、見守りサービスが付帯していることが理由です。
また、サ高住の中にも「一般型」と「介護型」の2種類があり、受けられるサービスが異なります。
一般型の場合、介護職員や看護職員が常駐していないため、十分に介護・医療サービスを受けられない可能性があります。
一方の介護型では、介護職員・看護職員が日中は常駐しているため、健康相談や生活のなかでの困りごとを打ち明けやすい環境と言えるでしょう。
手厚いサポートが必要な場合には「介護型」を選ぶ必要があるので、状況に応じて検討していきましょう。
住宅型有料老人ホームとサ高住はどちらがおすすめ?
似ているように見えるかもしれませんが、住宅型有料老人ホームとサ高住はそれぞれ特徴が違います。
ここではそれぞれどのような人におすすめであるかを見ていきます。
ホームの種類 | おすすめの人 | |
---|---|---|
住宅型有料老人ホーム |
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サービス付き高齢者向け住宅 |
|
ここから上記の内容について詳しく見ていきますので、選択に悩んだ際に、ぜひ参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームがおすすめな人
住宅型有料老人ホームの基本サービスは、ホームによって異なりますが、食事の提供、洗濯や掃除などの生活支援、健康管理がメインです。
そのため、トイレに行ったりお風呂に入ったりなど、自分のことは自分でできる人で、掃除や洗濯などの生活支援のみサポートしてほしい人にはよいでしょう。
万が一介護が必要になった場合でも、外部の介護サービスを利用可能なので、将来的に介護が必要になった場合でも対応が可能です。
また、介護サービスは別途契約が必要になるので、現状介護が必要で「自分で介護サービスを選びたい」という人にもおすすめといえます。
既にデイサービスや、デイケアサービスを利用している人は、慣れたサービスを継続できるというのもポイントです。
サ高住がおすすめな人
サ高住がおすすめな人は「一人(もしくは夫婦のみ)の暮らしには不安はあるものの、自分のペースで生活したい」と思っている人です。
また、サ高住では安否確認・見守りサービスを受けられるので、急な体調の変化など、何かあった際にも安心です。
建物はバリアフリー設計となりますので、自宅で感じていた身の回りの設備の不便な点も解消・軽減されるでしょう。
まとめ
本記事では、住宅型有料老人ホームとサ高住との違いについて見てきました。
住宅型有料老人ホーム、サ高住は自由度のある生活という面では似ていますが、入居条件や費用、サービス内容などが異なります。
入居者の希望を整理し、検討しているホームのサービス内容や設備をしっかり確認しながら、大切な家族が安心して暮らせる住まいを探していきましょう。
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FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。