【介護の基礎知識】住宅型有料老人ホームの費用相場解説

公開日:2023年03月09日
住宅型有料老人ホームの費用

「住宅型有料老人ホームの費用はいくら必要なの?」
「入居金や月額利用料の相場は?」
「どのような支払い方法があるの?」

このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

住宅型有料老人ホームは、主に掃除や洗濯などの生活支援を受けられる高齢者向けの住まいです。

いざ入居を検討しようと思っても、どのくらい費用が必要なのかわからないと不安に感じる方もいるでしょう。

そこで本記事では、住宅型有料老人ホームの費用相場を、入居金や月額利用料などに分けてわかりやすくまとめました。

さらに、費用負担を軽減する制度についても合わせて見ていきます。

住宅型有料老人ホームへ入居を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

住宅型有料老人ホームとは?特徴を解説

そもそも住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームの種類のひとつです。

有料老人ホームは大きく分けて3種類あります。それぞれの対象者や主なサービスを以下の表にまとめました。

  住宅型有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム
主な対象者 自立〜要介護の高齢者 自立〜介護が必要な高齢者 自立状態の高齢者
主なサービス ・食事
・洗濯
・清掃などの生活支援
※介護サービスを受けるには、外部サービスと契約が必要です
・生活支援
・身体介護
・機能訓練
・レクリエーション
・サークル活動 など
・家事サポート
・食事 など

※参照:【表比較でわかる!】有料老人ホームとは?種類や特徴をわかりやすく解説

住宅型有料老人ホームとは、厚生労働省の定義では「生活支援サービス付きの高齢者向け居住施設」とされています。

食事・洗濯・清掃などの生活支援サービスや、見守り、緊急時の対応サービスが提供されています。

また、レクリエーションやサークル活動などに力を入れているホームも多いです。

そして大きな特徴のひとつとして、“介護サービスが用意されていない”という点があげられます。

そのため介護サービスを受けたい場合は、介護事業者と別途契約する必要があります。

さらに住宅型有料老人ホームの概要を知りたい方は、「【表比較でわかる!】住宅型有料老人ホームとは? 費用・メリット・デメリットを徹底解説」をご覧ください。

住宅型有料老人ホームの費用相場

住宅型有料老人ホームの費用相場を以下の表にまとめました。

  住宅型有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム
入居条件 要介護度1以上。なかには要支援1以上の施設もある 要介護・要支援・自立 自立した人(入居時)
入居時の費用(目安) 0円~数億円を超えるものまで幅広い
月額利用料(目安) 12〜40万円程度
(※介護サービスを受ける場合は別途必要)
12〜40万円程度

上記の表で記載されている費用はあくまで目安です。詳細は検討しているホームに問合せてみましょう。

住宅型有料老人ホームの費用は「入居金」と「月額利用料」の2つ

住宅型有料老人ホームに入居するための必要な費用は、大きく分けて以下の2つに分けられます.

  1. ①入居金
  2. ②月額利用料

どちらも各ホームによって費用は異なります。また、入居金が不要なプランを用意しているホームもあります。

まずは入居金について詳しく見ていきましょう。

入居金|ホーム入居時に先払いする費用

入居金は有料老人ホーム特有の仕組みで、入居時に一定期間分の家賃やサービス費を前払いするものです。

ちなみに「入居金」のほかにも、「入居時費用」「入居一時金」などとも呼ばれています。

なお、入居金はホームによって異なり、不要なところもあれば、数千万から数億かかるところもあります。

入居金が不要な場合は、その分月額利用料が高めに設定されているので、事前に確認しておきましょう。

住宅型有料老人ホームの入居金に関わる以下の内容を見ていきます。

  1. 入居金の有無の違い
  2. 償却(しょうきゃく)
  3. クーリングオフ制度

入居金の有無の違い

ホームによっては、「入居金あり」「入居金なし」のプランがあります。

入居金の有無によって、どのような違いがあるのかメリット・デメリットに分けて表にまとめました。

【入居金がある場合】

メリット
  • 家賃を先払いする分、毎月の支出を抑えられる
  • 想定居住期間を超えた場合でも、追加の家賃などの支払いは発生しない
  • 長く入居する方は、入居金がない場合よりも安くなる可能性がある
デメリット
  • 入居時の支払い額が多い

入居金があるプランの場合、入居時に高額なお金を支払う必要があります。そのため、入居時のお金の負担は大きくなります。

しかし家賃を先払いする分、「月額利用料」は抑えられます。

また、想定居住期間(これくらいは住み続けるだろうという期間)を超えた場合は、追加の家賃などの支払いは発生しません。

そのため長く住み続けた場合は、入居金なしのプランと比べて、トータルで支払う金額は少なくなる可能性があります。

【入居金がある場合】

メリット
  • 入居時にまとまった大きなお金は必要ない
デメリット
  • 家賃を毎月支払う必要がある分、毎月の支出は多くなる

入居金なしのプランの場合は、最初に数百万のような大きなお金は必要ありません。

しかしその分、入居金ありのプランよりも月額利用料が高くなるケースが多いです。

そのため長く住み続けた場合は、入居金ありのプランよりも、トータルでは多くホームにお金を支払う可能性があります。

以上のように、入居金の有無にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

ご自身の年齢や経済状況に合わせて、適切な料金プランを選択しましょう。

入居金の初期償却と償却期間について

入居金とあわせてよく聞かれる言葉が「償却(しょうきゃく)」です。

償却とは、支払った入居金を毎月の家賃などに一定額ずつあてることをいいます。

そして多くのホームでは、入居したタイミングで入居金の10〜30%ほどが償却されます。

これを「初期償却」と呼びます。

そして「償却期間」とは、支払った入居金が、入居期間に応じて返還されるときに設定される期間を指します。

償却期間もホームによって異なり、一般的に5〜15年ほどです。

言葉だけでは理解が難しいと思うため、以下に具体例と合わせて見ていきます。

【例】

  • 入居金:900万
  • 初期償却:20%
  • 償却期間:60ヶ月(5年)

上記の設定がされているホームの場合、初期償却される金額は「180万」になります。計算式は以下のとおりです。

【入居金900万円×初期償却20%=180万円(初期償却される金額)】

そして、初期償却された残りの入居金「720万円(入居金900万ー初期償却180万)」が、60ヶ月(5年)かけて償却されていきます。

つまり毎月償却される金額(12万円/月)は、以下のような計算になります。

【残りの入居金720万円÷償却期間60ヶ月=12万円/月(毎月償却される金額)】

入居金には返還金制度がある

入居金には、返還金制度があります。

想定入居期間を償却期間とし、償却期間内にホームから退去した場合は、払いすぎているお金が返還されるという仕組みです。

先ほどと同じケースで、「2年(24ヶ月)」で退去した場合、入居金がいくら返還されるかも見てみましょう。

【例】

  • 入居金:900万
  • 初期償却:20%(180万)
  • 償却期間:60ヶ月(5年)
  • 毎月償却される金額:12万円/月

まず、24ヶ月で「288万円」が償却されます。計算は以下のとおりです。

【毎月償却される金額12万/月×24ヶ月=288万円】

そのため2年(24ヶ月)で退去した際は、以下の金額(432万円)が返還されます。

【初期償却された残りの入居金720万円ー24ヶ月で償却された288万円=432万円(返還される金額)】

なお、償却期間が過ぎると入居金の返還はされません

クーリングオフ制度が利用可能

住宅型有料老人ホームは、入居後90日以内であればクーリングオフ制度が適用されます。

クーリングオフ(短期特例解約)とは、契約の申し込みや締結をしたあとでも、一定の期間内であれば無条件で契約の申し込みや契約を解除できる制度です。

ただクーリングオフで返還されるのは、主に入居時に支払う入居金です。

しかし、入居時に支払った費用がすべて返ってくるわけではありません。

入居していた日数分の家賃や、食費などは支払う必要があります。

ホームによって条件が異なる可能性があるので、事前に契約内容を確認することが大切です。

月額利用料|毎月ホームに支払う費用

月額利用料とは、毎月ホームに支払う費用で、主に家賃や管理運営費(管理費)が該当します。

ホームや要介護度、支払い方法によって費用は異なりますが「月15万〜30万円」ほどが目安です。

月額利用料の内訳や、それ以外にかかる費用なども見ていきましょう。

月額利用料の内訳

月額利用料の内訳の例は、以下のとおりです。

【例】

家賃
  • 利用する居室や共用部分の利用料
  • 建物の地価、グレード、各居室の面積などにより価格が変動
管理費
  • 水道光熱費
  • 設備費
  • メンテナンス費用
  • 事務費用
  • 人件費など
その他サービス費
  • 食事提供、洗濯、掃除などの生活支援費用
  • 見守りサービス費用

なお、住宅型有料老人ホームには、介護サービスの提供はありません。

介護サービスを受けたい場合は、外部の介護事業者を利用する必要があり、月額利用料とは別に費用がかかります。

月額利用料以外に必要な支出

月額利用料以外に、必要に応じて支払う費用は以下のとおりです。

食費や任意のサークル活動費などは各ホームで費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。

介護保険対象外のサービス費
(自費サービス費)
  • 任意のサークル活動費用
  • 理美容費用など
食費
  • 1日3食30日分の食事代
  • ホームごとに異なる(約5〜8万円程度)
  • 欠食の場合は事前申請が必要。
日用品費
  • 個人が使う消耗品の費用
  • 歯ブラシ、歯磨き粉、ティッシュ、シャンプーなど
医療費
  • 訪問診療や訪問歯科などの費用
  • ケガや病気で受診した場合の医療費

介護保険サービスの自己負担額

先述したように、住宅型有料老人ホームで介護サービスを利用する場合は、外部の介護事業者と契約する必要があります。

その際の利用料は、介護保険から一部支払われることになります。

入居者の自己負担分は、介護保険サービスにかかった費用の1〜3割です(※所得によって変わります)。

なお、介護保険には1ヶ月の利用限度額があり、介護度に応じてそれぞれ異なります。

1ヶ月間における介護度別の利用限度額と、自己負担額については以下の表をまとめています。

介護度 支給限度基準額 単位
要支援1 50,320円 5,032
要支援2 105,310円 10,531
要介護1 167,650円 16,765
要介護2 197,050円 19,705
要介護3 270,480円 27,048
要介護4 309,380円 30,938
要介護5 362,170円 36,217

※1カ月あたり
※1単位=10円で計算(サービスの種類によって、1単位あたりの正確な金額は変動します)
※地域によって異なります。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください

※参照:厚生労働省|サービスにかかる利用料

上記の金額を参考に、ケアマネジャーと相談しながら適切な介護サービスを選択しましょう。

介護保険サービスの自己負担額について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

「そもそも介護保険ってなに?」という人は以下の記事で介護保険についてまとめていますので参考にしてください。

住宅型有料老人ホームの支払い方法は3種類

住宅型有料老人ホームの支払い方法は、大きく分けて3種類あります。

  • 1.全額前払い方式
  • 2.一部前払い方式
  • 3.月払い方式

それぞれの詳しい内容を見ていきます。

支払い方法①:全額前払い方式

入居時に、入居金を全額支払うことを「全額前払い方式」といいます。

入居時に全額を支払うので、入居後の家賃の支払い負担がないという点がメリットです。

しかし入居金は高額の場合もあるため、入居時の負担が大きくなります。

なお、前払い方式では、想定居住期間の家賃相当を入居金と定めます。

想定居住期間とは、入居を継続する平均的な期間として、ホームごとに定められている期間のことです。

入居時の年齢や性別、心身の状況(介護の必要性など)などに応じて、入居者の平均余命を参考に設定されます。

ホームごとに設定が違うため、詳しくは直接お問い合わせする必要があります。

支払い方法②:一部前払い方式

「一部前払い方式」は、想定居住期間の家賃相当の一部を入居時に前払いする方法です。

払いきれなかった残りの金額は、入居中に毎月支払うので、月々の負担を一部軽減できるメリットがあります。

また全額前払い方式よりも、入居時の負担金が少ないため、すぐに大きな金額を準備できない方に向いている支払い方式です。

前払いする金額は入居者が払える範囲内で決められるため、無理のない支払い計画を立てましょう。

支払い方法③:月払い方式

入居時に前払いはせず、月額利用料として家賃を支払う方法を「月払い方式」といいます。

前払いの必要がないため、他の支払い方法と比べて金銭的に余裕がある状態で入居できる点がメリットです。

しかしその反面、前払い方式に比べて月額利用料が高くなるケースが多いです。

そのため、想定入居期間を超えて入居する場合、前払い方式よりも負担金額は大きくなる可能性があります。

さて、これまで3つの支払い方法について見てきましたが、それぞれのご家庭によって経済状況は異なるかと思います。

支払い方法については、ホームのスタッフやケアマネジャーなどに必ず相談して決めることをおすすめします。

住宅型有料老人ホームの自己負担額を軽減する制度

入居にあたって自己負担額を減らすために、以下のような制度があります。

  • 高額介護サービス費制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度

ここから詳しく見ていきます。

高額介護サービス費

「高額介護サービス費」とは、介護保険サービス費が月々の上限を超えた場合に、超過分が払い戻しになる制度です。

上限金額については所得によって異なり、詳細は以下のとおりです。

区分 自己負担の上限額(月額)
※1 生活保護受給者等 15,000円(個人)
※2 住民税非課税で、年金収入+その他所得の合計80万円以下 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
住民税非課税で、※1・2以外の人 24,600円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が380万円(年収約770万円)未満の人 44,400円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が380万円(年収約770万円)以上690万円(年収約1,160万円)未満の人 93,000円(世帯)
住民税が課税されていて、課税所得額が690万円(年収約1,160万円)以上の人 140,100円(世帯)

※参照:2021年8月~適用(厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」

高額医療・高額介護合算療養費

「高額医療・高額介護合算制度」とは、1年間に支払った介護費と医療費の自己負担金が、限度額を超えてしまった場合に、超えた分の費用を払い戻す制度です。

この制度は、介護費だけでなく医療費も多く支払っている方の負担を軽減するために作られています。

限度額の詳細は、以下の通りです。

介護を受ける人の世帯所得区分 70歳未満の世帯(※1) (介護保険+被用者保険または国民健康保険) 70歳~74歳の世帯(※1) (介護保険+被用者保険または国民健康保険) 75歳以上の世帯(※1) (介護保険+後期高齢者医療)
年収約1160万円~ (課税所得690万円以上) 212万円 212万円 212万円
年収約770万~1160万円 (課税所得380万円以上) 141万円 141万円 141万円
年収約370万~770万円 (課税所得145万円以上) 67万円 67万円 67万円
年収約156~370万円 (課税所得145万円未満)(※3) 60万円 56万円 56万円
市町村民税世帯非課税 34万円 31万円 31万円
市町村民税世帯非課税 (年金収入80万円以下など) 34万円 19万円(※2) 19万円(※2)

※1:対象世帯内に70~74歳と70歳未満の人が混在する場合、まず70~74歳の自己負担合算額に限度額を適用し、その後に残る負担額と70歳未満の自己負担合算額を合わせた金額に限度額を適用する。
※2:介護サービス利用者が世帯内に2人以上いる場合は31万円。
※3:収入の合計金額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円)の場合や旧ただし書所得の合計金額が210万円以下の場合も含む。

【参照】
厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」
厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(概要)」
内閣府「高額介護合算療養費制度 概要」

住宅型有料老人ホームの費用に関するよくある質問

住宅型有料老人ホームに関する、よくある質問にお答えします。

  • 住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いは?
  • 入居後に費用が払えなくなった場合は退去になる?
  • 費用は誰が払う?
  • 生活保護でも入居できる?

それぞれ見ていきます。

住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違いは?

住宅型有料老人ホームと、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の違いは以下のとおりです。

  住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
管轄 厚生労働省 国土交通省・厚生労働省※
目的 自立~要介護の高齢者が生活支援を受けて生活する 生活支援を受けて生活する
入居条件 主に65歳以上の人
自立~要介護5の人
原則60歳以上
自立・要支援・要介護の人
契約形態 利用権方式 賃貸借契約
費用目安 ・入居金が必要
・月額12~40万円
【敷金】
・一般型:数万円~数百万円
・介護型:数万円~一部に数千万円
【月額利用料】
・一般型:5万円〜25万円
・介護型:15万円〜40万円
居室 ・基本的には個室
・居室の広さ:13㎡以上
・バリアフリー
・居室の広さ:25㎡以上(条件付きで18㎡以上も可)
・トイレや洗面など設備
・バリアフリー
サービス 食事・洗濯・清掃などの生活支援 ・安否確認
生活相談
※見守り、生活相談サービスに関しては厚生労働省が指導・監督と両省共管で行われています。

住宅型有料老人ホームとサ高住の大きな違いは契約形態です。

住宅型有料老人ホームは「利用権方式」といい、入居金と月額料金を支払うことによって、

  • 居室・共用設備を利用する権利
  • 生活支援サービスを受ける権利※

が保証されます。(※介護サービスは別途契約が必要です)>

対するサ高住は、一般のマンションやアパートを借りるときと同じ「建物賃貸借契約」です。

また、生活支援サービスを受ける場合は、サービス利用契約を別途締結しなければなりません。

自分のペースで生活したい方は、生活の自由度が高いサ高住を選択する傾向にあります。

入居後に費用が払えなくなった場合は退去になる?

入居後に費用が払えなくなった場合でも、すぐに退去にはなりません。

ホームによって異なりますが、1〜2ヶ月の猶予期間がある場合が多いです。

事前に契約書や重要事項説明書に記載されている内容を確認しておきましょう。

万が一、入居者が費用を払えない状況になってしまった場合は、身元引受人(連帯保証人)に請求されます。

そのような事態にならないためにも、支払いに不安がある場合は早めにスタッフやケアマネジャーに相談しましょう。

ちなみに、支払いが困難な場合は、持ち家を売却して資金を捻出する「リバースモーゲージ」という制度もあります。

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関から融資を受ける方法です。
近年注目をあびており、自宅がある方はリバースモゲージを利用して、費用を捻出するのもひとつの方法です。

しかし、利用条件や、不動産の評価額の下落などのリスクがありますので、しっかりと検討が必要です。

ホームの費用は誰が払う?

宅型有料老人ホームの費用は、原則契約者である入居者本人が払うことになっています。

しかし、入居者の経済状態が厳しく払えない場合は、家族や親族が払う場合もあります。

月額料金はけっして安いとは言えないため、自己負担額を抑えられる制度や仕組みを知っておくことが大切です。

本記事でも紹介している「高額介護サービス費」や「高額医療・高額介護合算療養費」なども検討してみましょう。

また、支払い関係で困ったときは、すぐにホームのスタッフや担当のケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談することをおすすめします。

費用はホームによって異なるため、場合によっては今検討している以外の有料老人ホームや、有料老人ホーム以外の選択肢もあるかもしれません。

たとえば「特別養護老人ホーム(特養)」です。

特別養護老人ホームは、比較的費用の負担が少ない点が特徴です。

さらに、ホームへ入居するのではなく、自宅で介護保険サービスを利用しながら暮らす方法もあります。

金銭面はもちろん、なにかしら不安や悩みがあるときは、まずは周りの人に相談してみましょう。

生活保護でも入居できる?

生活保護でも入居できる場合もありますが、ホームによって受け入れ可否は異なります。そのため、まずはホームにお問い合わせが必要です。

なお生活保護には8つ扶助があり、申請すると必要に応じた扶助が支給されます。

そのなかで、住宅型有料老人ホームの費用にかかわる扶助は以下の4つです。

なお入居するためには、扶助の支給額の範囲内で、月額利用料を支払えないといけません。

家賃 住宅扶助
管理費・光熱費・水道代・食費など 生活扶助
介護費 介護扶助
医療費 医療扶助

また、有料老人ホームの多くは、入居する際に保証人を立てる必要があります。

生活保護を受けている人の入居を受け入れている場合でも、保証人がいないと原則契約できません。

保証人が立てられない状況で入居を希望する場合は、事前にホームのスタッフに相談してみましょう。

まとめ

本記事では、住宅型有料老人ホームの費用相場について見てきました。

住宅型有料老人ホームの費用はホームによって異なり、支払い方式もさまざまです。

もし費用の支払いが不安な人は、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談するだけでも、気持ちが楽になりますよ。

話を聞いてくれるだけでなく、支払い負担の軽減制度や、他のホームを選択するといった具体的な対策も一緒に考えてくれます。

ひとりで悩みを抱え込むのではなく、相談することで心に余裕が生まれ解決策を考えやすくなるでしょう。

もちろん無理のない範囲で支払いが継続できるよう、ご自身の経済状況に合ったホームを選択することが大切です。

なお、ベネッセでは地域やご予算に合わせたホームの資料をお送りしています。

予算に合うホーム選びで迷っている方は、ぜひご活用してみてください。



監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

page-top