【介護度を理解する!】要介護3とは?特徴や他の介護度との違いも解説

公開日:2023年06月30日
要介護3とは

「家族が要介護3と認定されたけど、どのような状態なのかわからない」
「要介護3ではどのようなサービスが受けられるの?」
「要介護3と要介護2・4との違いは何?」

このような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

要介護3を簡単にまとめると以下のような状態です。

  1. 日常生活にほぼ介助を要する
  2. 立ったり歩いたりすることも難しい
  3. 認知機能の低下が見られるケースも多い

本記事では、要介護3とはどのような状態なのか、どのようなサービスを受けられるのか、などわかりやすく解説します。

要介護3について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

要介護3とは日常生活にほぼ介助が必要な状況

厚生労働省による「要介護状態」の定義は以下のとおりです。

身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く)

厚生労働省|要介護認定に係る法令

わかりやすく説明すると「人の手を借りずに自分だけで日常生活を送ることが難しい状態」ということです。

そのなかで「要介護3」とは、日常生活にほぼ全面的な介助を必要とする状態をいいます。

たとえば、入浴やトイレなどの生活動作においても、おひとりではできなくなってきます。

立ったり歩いたりすることも難しく、身の回りのサポートが必要となる状態です。

要介護度の判定は、厚生労働省が基準を定める「要介護認定基準時間(介護にかかる時間)」をベースに7段階で区分しています。

  1. 要支援1~2
  2. 要介護1~5

さらに「自立」を合わせ、合計8段階に分けられます。

要介護者を介護するために必要な時間は、下記の表に示してあるように要介護度別で定められています。

要介護度を判定する基準として 「要介護認定等基準時間」 があり、要介護者を介護するために必要な時間を要介護度別で定められています。

区分 要介護認定等基準時間
(介護をするために必要な時間)
要支援1 25分以上32分未満
要支援2 32分以上50分未満
要介護1 32分以上50分未満
要介護2 50分以上70分未満
要介護3 70分以上90分未満
要介護4 90分以上110分未満
要介護5 110分以上

※参照:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」

しかし、実際に必要な介護時間を正確に測定することは困難です。

そのため、要介護認定等基準時間を算出するために、要介護認定の「一次判定」を行います。

一次判定は、市区町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)と主治医の意見書をもとに、コンピュータで判定されます。

要介護3の前後の段階である「要介護2」「要介護4」と合わせて比較してみました。

要介護度 状態の目安 介護をするために必要な時間
要介護2
  • 自分だけで立ったり、歩いたりするのが困難。爪切り、着替え、立ち上がり、歩行などに介助が必要。
50分以上70分未満
要介護3
  • 食事や排泄、着替え、入浴など介助が必要。
70分以上90分未満
要介護4
  • 食事や排泄、着替え、入浴など介助がないと日常生活を送れない。
90分以上110分未満

要介護の概要については、下記の記事で詳しくまとめていますので参考にしてください。

要介護3と要介護2の違い

要介護3と要介護2の違いは、以下の表を参考にしてください。

要介護度 要介護認定の目安 状態の目安となる具体例
要介護2
  • 食事、排泄などは自分でできるものの生活全般で見守りや介助が必要。
  • 自分だけで立ったり、歩いたりするのが困難。
  • 爪切り、着替え、立ち上がり、歩行などに介助が必要。薬を飲み忘れたり、食事をしたことを忘れたりなどの認知症初期症状がみられる場合もある。
要介護3
  • 日常生活にほぼ全面的な介助が必要。
  • 食事、着替え、排泄、歯みがきなど日常生活において基本的に介助が必要。
  • 認知機能の低下により、問題行動をとる場合もある。

要介護2と要介護3の違いは、主に「身体状態」と「理解力」の2つです。

身体状態については、要介護2では食事や排泄などはできるものの、部分的な介助が必要です。

一方、要介護3では身体機能の低下が顕著に見られ、全面的な介助が必要であると考えられます。
理解力に関しても、要介護2に比べて要介護3は理解力が大きく低下しています。

要介護2の詳しい概要は、下記の記事にまとめていますのでご活用ください。

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要介護3と要介護4の違いは、以下の表を参考にしてください。

要介護度 要介護認定の目安 状態の目安となる具体例
要介護3
  • 日常生活にほぼ全面的な介助が必要。
  • 食事、着替え、排泄、歯みがきなど日常生活において基本的に介助が必要。
  • 認知機能の低下により、問題行動をとる場合もある。
要介護4
  • 自力での移動ができないなど、介助がなければ日常生活を送れない。
  • 排泄、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。
  • 思考力の低下などもみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。

要介護4では、要介護3よりもさらに日常生活での介護が必要です。

認知機能の低下が見られ、意思疎通が難しくなるケースも多くなってきます。

要介護3でも全般的なサポートは必要ですが、要介護4は昼夜を問わず常に介助が必要な状態です。

要介護4については、下記の記事にて詳しくまとめていますので参考にしてください。

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要介護3では「介護サービス」が利用できます。

利用できるサービスを下記の一覧表にまとめました。

訪問型 訪問介護
訪問看護
訪問入浴
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所型 通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
地域密着型通所介護
療養通所介護
認知症対応型通所介護
看護小規模多機能型小規模看護(複合型サービス)
短期入所型 短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
福祉用具 福祉用具の貸与費の支給
福祉用具の購入費の支給
住宅改修 住宅改修費の支給
地域密着型 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
小規模多機能型居宅介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入所者生活介護
その他 特定施設入居者生活介護

各サービスについて詳しく見ていきましょう。

自宅で利用するサービス

自宅で利用できるサービスを「訪問型サービス」と呼びます。

看護職員や介護職員など有資格者が自宅に訪問し、サービスを提供する形態です。

要介護3で利用できる訪問型サービスを以下にまとめました。

訪問介護
(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが自宅を訪問します。食事や排泄、入浴の世話などの身体介護や、掃除・洗濯などの生活援助を受けられます。
訪問看護 かかりつけ医の指示のもと、看護師や保健師が自宅を訪問します。療養上の世話や診療の補助を受けられます。
訪問入浴 浴槽を積んだ入浴車が自宅を訪問します。介護予防を目的として入浴を受けられます。
訪問リハビリテーション かかりつけ医の指示のもと、理学療法士などが訪問します。機能回復のための訓練を受けられます。
居宅療養管理指導 医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問して、療養上の管理・指導を受けられます。
夜間対応型訪問介護 夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して援助を受けられます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 定期的な巡回や随時通報への対応などが受けられます。サービスの提供にあたっては、訪問介護員だけでなく看護職員なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けられます。

訪問介護ではサービスの種類によって費用が異なり、大きく分類すると以下のように分けられます。

  • 身体介助:食事・排泄・入浴などの介助
  • 生活援助:掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援
  • 通院介助:通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス

なお、訪問介護では次のようなサービスを受けることはできません。

  • 直接利用者の援助に該当しないサービス
    (例)利用者家族のための家事など
  • 日常生活の援助の範囲を超えるサービス
    (例)草むしり、ペットの世話など

利用者がよりよい生活を送るために必要なサービスを活用していきましょう。

※参照:
厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 夜間対応型訪問介護」
厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

施設に通って利用するサービス

施設に通って利用できるサービスを「通所型サービス」と呼びます。

利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう、他者との関わりや心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施しています。

通所介護
(デイサービス)
日帰りでデイサービスセンターなどに通います。入浴や食事の提供、機能訓練などを受けられます。
通所リハビリテーション
(デイケア)
医療機関や介護老人保健施設などに通い、機能回復訓練を受けられます。
地域密着型通所介護 食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを、日帰りで受けられます。(通所介護とサービス内容は同じだが、地域密着型通所介護の利用定員は19人未満)
療養通所介護 看護職員による観察を必要とする難病、認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護者又は癌末期患者を対象にしたサービスです。施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練・口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
認知症対応型通所介護 認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。通所介護の施設(デイサービスセンターやグループホームなど)に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
看護小規模多機能型居宅サービス(複合サービス) 可能な限り自立した日常生活を送れるよう、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問(介護)」に加えて、看護職員などによる「訪問(看護)」も組み合わせることが可能。家庭的な環境と地域住民との交流の下で、介護と看護の一体的なサービスの提供を受けられます。

通所介護は他の利用者やスタッフとコミュニケーションが取れる機会となり、利用者が人とのつながりを感じられます。

そして、介護する家族にとっては休息の時間(レスパイトケア)となるメリットがあります。

詳しくは、「【在宅介護の強い味方!】デイサービス(通所介護)とは?特徴やサービス内容を表を使って徹底解説 」を参考にしてください。

通所リハビリテーションは医師の指示のもとで利用するため、施設を選ぶ際は担当の医師やケアマネジャーと相談しながら決めます。

詳細については、「【介護の基礎知識】デイケア(通所リハビリテーション)とは?利用目的やサービス内容・利用方法までわかりやすく解説」をご活用ください。

宿泊して利用するできるサービス

宿泊して利用できるサービスを「短期入所型サービス」と呼びます。

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、孤立感の解消や心身機能の維持回復が目的です。

また、家族の介護負担軽減や、介護者が不在の時の安全確保として利用するケースもあります。

短期入所生活介護
(ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間施設に入所します。入浴や排泄、食事などの介護や、機能訓練などを受けられます。
短期入所療養介護
(医療型ショートステイ)
一時的に自宅でのサービス利用ができない場合に、短期間、介護老人保健施設などに入所して看護や機能訓練などを受けられます。

どちらも連続で利用できる日数は、最長30日まで利用可能です。

生活環境を整えるサービス

日常生活においてよりよい生活が送れるように、以下の生活環境を整えるサービスも利用できます。

福祉用具の貸与費の支給 福祉用具を借りる費用を支給します。
福祉用具の購入費の支給 排泄や入浴などレンタルができない福祉用具の購入費用を支給します。 購入する際は、指定事業所での購入が対象となります。
住宅改修費の支給 自宅への手すり、段差解消など、住宅改修に対して限度額内(20万円・原則1回限り)を支給します。 住宅改修の前に市町村へ事前申請が必要です。

要介護2から要介護5は生活援助がほぼ必要なため、福祉用具貸与のニーズも増えています。

福祉用具購入費の支給(利用限度額)は1年につき10万円まで利用可能です。

利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割または7割)が介護保険から払い戻されます。これを、償還払いといいます。

福祉用具のレンタル、住宅改修については後述しています。

施設などに入居して利用できるサービス

施設(有料老人ホームや軽費老人ホームなど)に入居して利用できるサービスは以下が挙げられます。

特定施設入居者生活介護
(ショートステイ)
有料老人ホームなどに入居している方が、食事や入浴などの介護や機能訓練を受けられます。

特定施設入居者生活介護の対象となる施設は以下のとおりです。

  • 有料老人ホーム
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
  • 養護老人ホーム

※サービス付き高齢者向け住宅については、有料老人ホームに該当するものとする

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住と略)は「一般型」と「介護型」に分かれています。

介護型は、サ高住の中でも「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたところを指します。

食事や入浴の介助のほか、介護・看護サービスなど有料老人ホームと同等のサービスが利用可能です。

特定施設入居者生活介護の受給者数は、年々増加しています。高齢化が進む日本において、ますます需要は増えていくでしょう。

特定施設入居者生活介護を利用できる有料老人ホームの概要、入居条件や費用に関しては、下記の記事にまとめています。

地域密着型のサービス

地域密着型サービスとは「住み慣れた地域で、できる限り自分らしい暮らしが継続できるように提供される包括的なケアシステム・サービス」のことです。

市町村によって指定した事業者から地域密着型サービスが提供されます。

要介護3が利用できる地域密着型サービスは以下のとおりです。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症の利用者を対象とした専門的なケアを提供するサービスです。日常生活の支援や機能訓練を受けられます。
小規模多機能型居宅介護 通いを中心に、利用者の選択に応じて訪問型サービスや短期間の宿泊サービスを組み合わせて、日常生活の支援や機能訓練を受けられます。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 入所定員30人未満の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)にて、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを受けられます。 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、明るく家庭的な雰囲気があり、地域や家族との結びつきを重視しています。
地域密着型特定施設入所者生活介護 指定を受けた入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームなどにて、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練を受けられます。

地域密着型サービスは地域に密着した小規模の運営であるため、スタッフや利用者との交流もしやすい環境です。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、5〜9人の少人数の利用者と介護スタッフが、ひとつの共同生活住居で生活を送ります。

入居条件やサービス内容については、「グループホームとは?特徴や入居条件をカンタン解説」にてまとめていますのでお役立てください。

また、小規模多機能型居宅介護では、ひとつの事業所で「介護スタッフの訪問」「高齢者の施設通い」「高齢者の施設宿泊」の3つのサービスを提供します。

受けられるサービス内容や対象者については、「【表比較でわかる!】小規模多機能型居宅介護とは?料金や対象者、利用方法を解説」を参考にしてください。

要介護3の区分支給額限度

要介護度によって、介護保険から給付される1ヶ月あたりの上限額(支給限度額)が決まっています。2023年6月時点では、要介護3の場合は月額270,480円です。

支給限度額内でサービスを利用する場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割、または3割)を負担します。超過した分のサービス費用は全額自己負担です。

「要介護3で支給限度額内におさめたい場合、サービスの利用頻度はどれくらいかな…」とお悩みの人は、以下のウェブサイトで介護サービスの概算が計算できます。費用の目安としてご活用ください。

※参照:厚生労働省「サービスにかかる利用」

要介護3で受けられるケアプラン・費用の例

要介護3で受けられるケアプラン・費用の例を、家族と同居の場合と施設に入居する場合に分けて見ていきましょう。

要介護3で家族と同居している場合

サービス内容 利用回数 費用額
訪問介護(ホームヘルプサービス) 8回 25,840円
訪問看護 8回 42,000円
訪問入浴 4回 57,080円
訪問リハビリテーション 4回 13,440円
通所介護(デイサービス) 8回 76,880円
短期入所生活介護 4日間 38,040円
福祉用具貸与 -回 16,660円
1ヶ月の介護サービス費用試算額 269,940円
自己負担額 26,994円(1割負担の場合)
(1割負担の場合)

※参照: 厚生労働省|介護サービス概算料金の試算

上記の費用はあくまでも目安です。ケアプランを作成する際はどのようなサービスが必要なのか、担当のケアマネジャーとしっかりと話し合って決めましょう。

要介護3で施設に入居する場合

要介護3で特別養護老人ホームに入居する場合、サービスを利用すると自己負担は以下のようになります。

特別養護老人ホームでサービスを受ける場合の月額利用料の一例

サービス内容 費用額
施設サービス費 27,415円(1割負担の場合)
食費 約4万円
居住費 約1.1~6万円
自己負担額 約6~15万円(1割負担の場合)

※参照:厚生労働省「令和元年度改定における食費・居住費の基準費用額の対応」

医療・介護・生活環境が充実した施設になると、月額数十万円というケースもよくあります。

そのなかでも特別養護老人ホームは、入居条件があるものの、比較的費用負担は軽い点が特徴です。

要介護3と認定された場合どうしたらいい?

家族が要介護3と認定された場合、どのようにするべきか不安に感じることもあるかと思います。

要介護3では日常生活において介助が必要な状態です。

まずは下記のサービスを活用しながら、ご本人らしく暮らしていけるようにサポートしながら今後の生活スタイルを検討していくのも手です。

  • 福祉用具をレンタルする
  • 介護リフォームを検討する

詳しく見ていきます。

福祉用具をレンタルする

要介護3でレンタルできる福祉用具は以下のとおりです。

ベッド 特殊寝台および付属品 マットレスを乗せる床板が背・腰・脚の三部分ないしそれ以上に分かれて動くベッド。起き上がりを補助するなど、利用者の目的にあわせて姿勢を変えられます
床ずれ防止用具 床ずれを防止する用具。局所への体力を分散させることにより、寝具に当たる部位との圧迫を防ぎ、床ずれが生じるのを防ぎます。
体位変換器 身体の下に棒状・板状・くさび状の用具、あるいはすべりやすい布を差し込み、より少ない力で身体を動かせるように助けるものです。
移動 車椅子および付属器 介護保険のレンタル対象は自走用車椅子、介助用車椅子、電動車椅子の3タイプ。利用者のニーズにあわせて、必要な部品を組み合わせて作るモジュール車椅子もあります。
歩行器 歩行が困難な人の歩行を補う機能をもち、4つの脚がフレームでつながった構造の歩行補助具。シルバーカー(歩行補助車)は介護保険の対象とはなりません。
歩行補助杖 歩行が困難な人が、歩行能力の改善を目的として使用する杖や松葉づえを総称して呼びます。
手すり 居宅の床もしくはトイレに置いて使用し、取り付けの際は工事を伴わないものに限ります。
スロープ 主に車椅子などの移動で段差を解消するために使用し、取り付けの際は工事を伴わないものに限ります。
移動用リフト 自力で移動できない人の身体をつり上げ、ベッドから車椅子、トイレ、浴室などとの間の移動を補助するものです。
徘徊感知器 認知症の人が屋外に出ようとしたときなど、センサーによって感知し、家族や隣人に通報するものです。
排泄 自動排泄処理装置 ベッドに寝たままの状態で排泄を処理する装置。排便、排尿をセンサーが感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動で行ないます。

福祉用具の貸与(レンタル)に必要な費用は、1割(所得に応じて最大3割)負担となります。

たとえば、月額レンタル料金が5,000円の歩行器をレンタルする場合、介護保険を利用すると、500円の自己負担で利用できます。3割負担の場合の自己負担額は1,500円です。

補助金を利用した介護リフォームを検討する

介護保険制度では、身体の状況と住宅の状況に対して必要と認められた場合に、市区町村から補助金が支給される住宅改修サービスがあります。

■住宅改修の種類

  • 1.手すりの取付け
  • 2.段差の解消
  • 3.滑りの防止及び移動の円滑化のための床または通路面の材料の変更
  • 4.引き戸などへの扉の取替え
  • 5.洋式便器などへの便器の取替え
  • 6.1~5に付帯して必要となる住宅改修

最大20万円まで保険が適用され、かかった費用の1割(所得に応じて最大3割)負担となります。

要介護3でも入居できる施設・介護費用

ご自宅での介護に不安や心配を感じることもあるでしょう。

このような場合は、第二の自宅として施設で暮らすこともひとつの選択です。

要介護3で入居できる施設を以下にまとめています。

施設 概要 入居金 月額利用料
介護付有料老人ホーム 介護スタッフが24時間配置されている施設 0円~数億円を超えるものまで幅広い 15~30万円
住宅型有料老人ホーム 生活支援などのサービスが付帯した施設 15~30万円
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症の診断を受けた高齢者が共同生活する施設 0円〜数百万円 15〜20万円
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者が暮らしやすいサービスが付帯した住宅
  • 一般型:数万円~数百万円
  • 介護型:数万円~一部に数千万円
  • 一般型:5万円~25万円
  • 介護型:15万円~40万円
特別養護老人ホーム 常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を受けられる施設 0円 6万円~15万円
介護老人保健施設 高齢者が自宅に戻るためのリハビリや医療ケアなどを受けられる施設 0円 6万円~17万円
介護医療院 長期療養を必要とする方が、医療や介護のサポートが受けられる施設 0円 9万~17万円
介護型ケアハウス 自宅での生活が困難で、生活支援が必要な60歳以上の高齢者が生活する施設 0円~数百万円 8万円~20万円

費用はあくまでも目安のため、詳細は各施設にお問い合わせが必要です。

介護サービス費は1割負担(所得に応じて2~3割負担の場合もあり)ですが、日用品費や医療費は含まれないため自己負担となっています。

なお、要介護3より特別養護老人ホームへの入居が可能となります。

特別養護老人ホームは、費用を抑えつつ介護を受けながら最期まで暮らせる公的施設です。

そのため、入居を希望する人も多く待期期間があります。

2022年の厚生労働省の発表によると、全国の特養入居待期者数は約25.3万人※となっています。

※参照:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」

特別養護老人ホームへの詳しい概要や入居条件に関しては、「【表比較でわかる!】特別養護老人ホーム(特養)とは?特徴・費用・申し込み方法を解説」をご参照ください。

要介護3に関するよくある質問

要介護3に関するよくある質問にお答えします。

  • 要介護3でも一人暮らしは可能?
  • 要介護3と認定された場合は施設入居?在宅介護?
  • 要介護3で障害者除外は受けられる?

ひとつずつ見ていきましょう。

要介護3でも一人暮らしは可能?

要介護3と認定された場合、一人暮らしをすることが必ずしも不可能というわけではありません。

しかし、日常生活においてほぼ介助が必要な状態です。また、理解力や記憶力、判断力も低下している方も多く、おひとりで安全な暮らしを送ることは難しいでしょう。

住み慣れた自宅で一人暮らしを継続したい場合は、家族やケアマネジャーと十分に話し合い、安全に暮らせるようケアプランを考えていくことが重要です。

介護保険適用外ですが、近年では高齢者の見守りサービスもさまざまあります。安心・安全に一人暮らしが継続できるようサポート体制をつくりましょう。

要介護3と認定された場合は施設入居?在宅介護?どっちを選択すべき?

要介護3の場合、生活の場を施設にするのか、自宅にするのか、選択を悩まれる方も多くいます。

  • 介護者の身体的、精神的な疲労が限界にきた時
  • 介護できる人がそばにいないため、不安や危険を感じる時(転倒や誤飲など)
  • 在宅での生活が厳しいと感じた時

このような場合は、施設への入居を検討していくと良いでしょう。

長期間の施設入居ではなく、短期間利用できるショートステイを活用するのもおすすめです。

本人や家族が最善の選択をするためには、施設への入居を検討する場合のタイミングを事前に知っておくことも大切です。

要介護3で障害者除外は受けられる?

障害者控除は、要介護3の認定を受けただけでは控除対象にはなりません。

障害者控除は、配偶者もしくは扶養親族に障害者がいる場合に、所得控除を受けられる制度です。

認定基準は自治体によって違いますが、要介護3の人であれば申請さえすれば対象になるケースもあります。

まずはお住まいの市区町村役所のホームページでご確認ください。

また、介護にかかる負担を減らすためにも、費用負担を抑えられる制度も活用できるように準備しておきましょう。

詳しくは下記の記事をお役立てください。

まとめ

本記事では要介護3について詳しく説明しました。

サービスを受けるために何から始めたらいいかわからない方は、居宅介護支援事業所に相談してみましょう。

ケアマネジャーがご自身に合ったサービス内容をアドバイス・相談にのってくれます。

可能な限り自立した日常生活を送れるよう、有効的にサービスを活用していきましょう。

監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
川村 匡由
監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格  

博士(早稲田大学)、福祉デザイン研究所所長、武蔵野大学名誉教授。

1994年、つくば国際大学教授に就任後、武蔵野大学大学院教授を歴任。専門は社会保障、高齢者福祉、地域福祉、防災福祉。シニア社会学会・世田谷区社会福祉事業団理事。

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