【介護の基礎知識】介護保険サービスの種類一覧と料金表|3つの代表的サービスを徹底解説

公開日:2021年12月22日更新日:2023年05月28日
介護保険サービス

家族の介護を考えるときに、「介護サービス」について調べる人も多いのではないでしょうか。しかし、あまりにも種類が多くて混乱された人もいるかと思います。

介護サービスには、介護保険が適用される「介護保険サービス」(原則一部費用自己負担)と、介護保険サービスの足りない部分を補う「介護保険外サービス」(原則全額費用自己負担)があります。

介護サービスを検討する際には、まず「介護保険サービス」を理解したうえで、「介護保険外サービス」を検討するとよいでしょう。代表的な3つの介護保険サービスを中心に、介護保険サービスの種類について解説します。各サービス内容や費用面を理解して、状況に合わせて適切な介護保険サービスを検討しましょう。

介護保険サービスとは?

介護保険とは、40歳以上の方が加入する「介護に備える保険」で、大きくは、「介護が必要な人を社会全体で支える制度」とされています。
この介護保険制度を利用して受けられる各種のサービスを「介護保険サービス」と呼びます。
(「介護サービス」と呼ぶ場合もありますが、本記事では、「介護保険サービス」と表記しています。)
介護保険サービスを利用できるのは、「要支援1~2」あるいは「要介護1~5」の認定を受けた人です。要介護認定を申請できる条件は、65歳以上、もしくは40歳~64歳の特定疾病で介護の必要な人です。

介護保険サービスの種類一覧表

介護保険サービスには、さまざまな種類があります。主要サービスは大きく3つあります。

  • 今の自宅で生活しながら支援を受けられる「居宅介護サービス」
  • 特別養護老人ホームなどの公的施設を利用しながら支援を受けられる「施設サービス」
  • 高齢者が住み慣れた地域で「訪問」「通い」「施設利用」のサービスを必要に応じて組み合わせて利用できる「地域密着型サービス」

数多くある介護保険サービスの種類を一覧にまとめましたので、見てみましょう。

居宅介護サービス

訪問 ・訪問介護(ホームヘルプ)
・訪問看護
・訪問入浴介護
・訪問リハビリテーション
通所 ・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション
短期入所 ・短期入所生活介護(ショートステイ)
・短期入所療養介護
福祉用具 ・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
民間施設 ・特定施設入居者生活介護

施設サービス

公的施設 ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
・介護療養型医療施設

地域密着型サービス

訪問 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
通所 ・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護
通所・訪問・宿泊(ショートステイ)の複合 ・小規模多機能型居宅介護
・複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
施設利用 ・定期巡回・地域密着型特定施設入所者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

※出典:厚生労働省老健局「介護保険制度をめぐる状況について」(2019年2月25日)

なお、どのサービス利用するのが適しているのかは、担当のケアマネジャーが、状況を見ながらケアプランを作成して決定するのですが、このケアプランの相談や作成も「居宅介護支援」という介護保険サービスの一つです。
その他、居宅介護住宅改修などもありますが、まずは上記サービスを押さえておきましょう。

主な介護保険サービスの種類

介護保険サービスには、さまざまな種類があり、その種類によって受けられるサービスも違います。ここでは、各種類の主なサービスを簡単に解説していきます。必要なときに適切な手段を選択できるようにしておきましょう。

居宅介護支援

ケアマネジャー(要支援の方の場合は地域包括支援センター)が、利用者の状況にあわせて自立支援に必要なサービスを検討し、ケアプランを作成します。介護保険サービスを受けるための準備に当たるサービスです。ケアプランは、家族や利用者本人とも話し合って作成されます。
なお居宅介護支援サービスにおける、費用の利用者負担はありません。

居宅介護サービス例

居宅介護サービスとは、介護を必要とする人が自宅で受けられるサービスです。サービスは、主に5種類に分けられます。

訪問サービス

自宅に介護スタッフが訪問することで受けられるサービスです。入浴・排泄・食事等の介助のほか、病院までの送迎や、日常生活に必要な家事の手助けをしてもらえます。
「訪問介護(ホームヘルプ)」のほか、訪問時に浴槽を持参して入浴介助を受ける「訪問入浴介護」や、医療ケアが受けられる「訪問看護」、リハビリが受けられる「訪問リハビリテーション」なども訪問サービスに該当します。

通所サービス

介護やリハビリを提供している施設に介護を必要とする人が通うことで受けられるサービスです。自宅から施設までは通常送迎があるため、家族による送迎などは基本的には必要ありません。

一般に言われる「デイサービス」や「デイケア」は通所サービスに該当します。デイサービスでは介護、デイケアではリハビリを含む医療ケアが受けられます。

短期入所サービス(ショートステイ)

自宅で暮らしている要介護者が短期間だけ施設に宿泊して介護を受けるサービスです。一般的には「ショートステイ」といわれています。家族の体調が悪い時や、用事があって夜間の介護ができない場合などに役立ちます。
短期入所サービスには、介護を受けられる短期入所生活介護と、介護と医療ケアが受けられる短期入所療養介護があります。

福祉用具

車いすや介護用ベッドなど介護に必要な福祉用具の貸し出し(レンタル)、購入補助などが受けられます。入浴や排せつに関わるような、レンタルに適さない福祉用具(腰掛便座、簡易浴槽など)は貸与ではなく販売となります。

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の指定を受けた有料老人ホームやケアハウスなど(これらを「特定施設」という)に入居している要介護者に、食事や入浴といった日常生活の支援や、機能訓練などを提供する居宅サービスの一つです。

施設サービス(介護保険施設)例

高齢者施設の利用も、介護保険が適用されるサービスの一つです。長期間の入居が前提となります。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

「介護老人福祉施設」は一般的に「特別養護老人ホーム」(特養)と呼ばれています。特別養護老人ホームへ入居して、介護やリハビリ、レクリエーションなどのサービスを受けられます。
特別養護老人ホームは、民間の有料老人ホームに比べて費用が安いというメリットがありますが、入居できるのは、原則として要介護3以上の人です。また、人気が高く、待機期間が長期になる傾向にあります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは、介護だけでなく医療ケアも受けられる施設です。原則として、在宅復帰を目指し、原則3ヶ月間入居して、リハビリや介護などのサポートを受けることができます。

介護医療院

介護医療院は、長期的に介護を必要とする人が医療的ケアを受けられる生活施設です。「介護療養型医療施設」とは、療養のための施設か、生活のための施設かで区分けされます。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設とは、療養病床などを有する病院または診療所などのことで、長期療養が必要な要介護の人に対して、医療ケアや介護が提供される施設です。
なお、介護療養型医療施設は前述の介護医療院へ順次転換されており、2024年3月末に完全廃止予定です。

地域密着型サービス例

地域密着型サービスは、住み慣れた地域でくらし続けられるように、地域住民をサポートする介護保険サービスです。訪問・通所・宿泊を組み合わせて利用できますが、住民票のある市区町村内にある事業者からしか、介護サービスを受けることができません。

訪問・通所・宿泊の組み合わせ

訪問・通所・宿泊サービスは、回数や日程を決めて利用するのが通常です。「小規模多機能型居宅介護」と「看護小規模多機能型居宅介護」は、利用者の希望や状況に応じて訪問・通い・宿泊サービスを自由に組み合わせて利用することができます。両者とも、訪問・通所・宿泊のすべてのサービスを同一事業所から受けます。いつでも顔なじみのスタッフから介護を受けられるという安心感があります。

認知症対応型共同生活介護

「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」は認知症の人が共同で暮らすための施設です。心穏やかに暮らせる環境で、5~9人ほどの小さなユニット(生活単位)に分かれて生活をおくります。住民票のある居住地のグループホームだけしか利用できない地域密着型サービスの一つです。

地域密着型特定施設入居者生活介護

指定を受けた入居定員29人以下の有料老人ホームや軽費老人ホームなどで、食事や入浴などの日常生活支援や、機能訓練などを受けることができます。

介護保険サービスを受ける際の注意点

介護保険サービスは、介護が必要な人や家族にとって、非常に役立ちます。しかし、利用には注意も必要です。1ヶ月に利用できるサービスには上限がありますが、計画的に使っていきましょう。

要介護度によって利用限度枠が異なる

介護保険サービスは、要介護度によって使える限度額が決まっています。居宅サービスの利用限度枠は以下の通りです(お住まいの地域によって多少変動がある可能性があります)。

要介護度 支給限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

※1単位10円の場合

参照:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」

この範囲内であれば、1割(所得によっては、2割・3割)の自己負担で介護保険サービスを利用できます。一方、上記を超えるサービスを利用する場合、超過分は全額が自己負担です。
ただし、所得や預貯金の額によっては、別途給付が受けられる場合もあります。詳細は個別にケアマネジャーなどに確認しておきましょう。

介護保険サービスの利用申請は家族と相談してから

介護保険サービスは、家族と本人が納得したうえで利用することが大切です。家族の都合だけで決めるのではなく、本人ともしっかりと話し合いの場をもちましょう。
サービスの利用申請をする際のプロセスは以下の通りです。
1.要介護認定を受ける
2.ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
3.介護保険サービスを行っている事業者に連絡して、利用申し込みをする
介護保険サービスを受けることを本人と家族、双方が前向きにとらえ、納得したうえでスタートすることが大切です。

介護保険外となるサービス

介護保険サービスでは、あくまでも支援が必要な人の介護(もしくは予防)にサービス内容が限定されます。そのため、家族の食事の用意や外出の付き添いといったサービスは受けられません。
また、食事の配送や家事代行、認知症の人の見守り、外出の際の送迎や付き添いといったサービスも、全額自費になります。とはいえ、このようなサービスを必要に応じて活用することで、介護を必要とする人はもちろん、その家族も気持ちにゆとりができ、暮らしやすくなるでしょう。金額を確認した上で、状況に応じて利用を検討してみましょう。

監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー
岡本 典子
監修者:岡本 典子(おかもと のりこ)
      FPリフレッシュ代表、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローン・アドバイザー

「高齢期の住まい」に着目し、東京や神奈川を中心に、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、240ヶ所以上を訪問。現在、「終のすみか探し」コンサルタントとして、シニア期の住まい探し・住みかえ、執筆、講演と、幅広く活動している。

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