【比較表でわかる!】デイサービスとデイケアの5つの違い|利用目的やサービス内容を比較

公開日:2023年03月31日
デイサービスとデイケアの違い

「デイサービスとデイケアの違いは何?」
「それぞれどのような人が利用しているの?」

このような疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

どちらも介護保険を利用した通いのサービスですが、利用目的やサービス内容は異なります。

そこでこのページは、以下の内容をわかりやすくまとめました。

  • 「デイサービス」と「デイケア」の5つの違い
  • 「デイサービス」と「デイケア」それぞれのメリット・デメリット
  • 「デイサービス」と「デイケア」を上手に選ぶポイント3つ

本記事でデイサービスとデイケアの違いを理解し、サービスを選ぶ際にぜひお役立てください。

【表でわかる】デイサービスとデイケアの5つの違いとは?

デイサービスとデイケアの最大の違いは利用目的で、それにともない対象者やサービス内容なども 異なります。

デイサービスとデイケアの違いについて、わかりやすく表にまとめました。

  デイサービス デイケア
利用目的 自立した日常生活を送るための支援を受ける 医師の指示のもと、リハビリを通じた身体機能の維持や回復を図る
対象者 要介護1~5の人 要支援1~2、または要介護1~5の人
(医師の指示書が必要)
サービス内容 食事や入浴、排泄などの生活支援がメイン 専門的なリハビリや健康管理などの医療的サポートがメイン
人員体制
  • 介護職員
  • 看護職員
  • 生活相談員など
  • 医師
  • 看護職員
  • 理学療法士や作業療法士などリハビリの専門職
費用目安 1回1,000円~2,000円ほど デイサービスより若干高い

※参照
厚生労働省「通所介護(デイサービス)」
厚生労働省「通所リハビリテーション(デイケア)」

それぞれの違いについて、ひとつずつ見ていきます。

デイサービスとデイケア、それぞれの詳細については、以下の記事をお役立てください。

①デイサービスとデイケアの最大の違いは利用目的にある

デイサービスとデイケアの最大の違いは、利用目的にあります。

それぞれの違いをわかりやすく一言で説明すると、以下のようなイメージです。

  • デイサービス:日常生活支援を受けながら交流やレクリエーションを楽しむ
  • デイケア:身体機能や認知機能の回復のために医者の指示のもと専門的なリハビリを受ける

デイサービスでも身体機能を維持するための機能訓練が受けられますが、必ずしもリハビリの専門職が行うわけではなく、医師の指示もありません。

その点において、デイサービスとデイケアのリハビリは異なります。

そして利用目的に応じて変わってくるのが、対象者や人員体制などです。

順番に見ていくので、デイサービスとデイケアを選ぶ際にご活用ください。

②デイサービスは要支援者を対象としていない

デイサービスとデイケアは、以下のように対象者の範囲が異なります。

  • デイサービス:要介護1~5の人が対象
  • デイケア:要支援1~2、または要介護1~5の人が対象

要支援や要介護については、自治体による「要介護認定」といわれる判定で決まります。

要支援と要介護の違いや要介護認定を受ける方法や判定の基準については「【要介護認定区分早わかり表付き!】理解できてる?要支援と要介護の違いの基準とは?」でわかりやすくまとめていますので参考にしてください。

介護保険を適用して利用する場合は、デイケアは要支援認定・要介護認定を受けている人、デイサービスは要介護認定を受けている人が対象です。

認定を受けていない場合は利用できません。

介護予防型のデイサービスのみ、要支援認定を受けている人でも利用可能です。

介護予防型のデイサービスについて詳しく知りたい人は、お近くの地域包括支援センターに相談してみましょう。

なお、デイケアを利用する際は、専門的なリハビリを受けるため医師の指示書などが必要です。

デイケア・デイサービスの利用を検討している人は、まず担当のケアマネジャーや主治医に相談しましょう。

主治医がいない場合は、自治体が指定する医師を紹介してくれます。

また要介護認定を受けていない場合でも、全額自己負担であれば利用できるデイサービス施設などもありますので、必要に応じて検討してみるとよいでしょう。

③デイケアは医療的サービスが充実している

デイサービスとデイケアのサービスは以下のような違いがあります。

  • デイサービス:食事や入浴、排泄などの生活支援サービスがメイン
  • デイケア:医師の指示によるリハビリや健康管理など医療的サービスがメイン

デイサービスは、デイケアのような専門的なサービスは受けられません。

ただ、なかにはリハビリ特化型のデイサービスもあります。

リハビリ特化型デイサービスとは、機能訓練指導員による身体機能の維持・回復のための訓練が受けられます。

称にあるように、リハビリに特化しているため、多くの施設では食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを提供していません。

サービス詳細については、各施設で異なるので確認しておきましょう。

ベネッセでは、「癒し+運動」というコンセプトのもと、専従の機能訓練指導員による機能訓練をはじめ、ご利用者様の「こうしたい!」という目標達成のための支援として、「短時間デイサービス」を提供しています。

④サービスの違いにより人員体制も異なる

デイサービスとデイケアの人員は、以下のような体制になっています。

デイサービスの人員体制 デイケアの人員体制
  • 介護職員
  • 看護職員
  • 機能訓練指導員
  • 生活相談員
  • 介護職員
  • 看護職員
  • リハビリ専門職スタッフ
  • 医師

デイサービスでは、主に介護職員がサービスを提供します。食事や排泄、入浴などの日常生活上のサービスがメインです。

また生活相談員がいるため、介護の悩みなどを聞いてもらうこともできます。

一方デイケアは、医師が常駐しているため医療的ケアが充実しているのが特徴です。

また、理学療法士や作業療法士など、リハビリの専門職による本格的なリハビリが受けられるというのもポイントです。

⑤費用面ではデイサービスよりデイケアが高い

デイサービスとデイケアの費用の違いを、それぞれ表にまとめました。

まずはデイサービスの費用の目安です。

※1割負担・通常規模型(月平均利用者数301人以上~750人以内)の場合の1回あたりの自己負担額
※本記事での金額は厚生労働省「介護報酬の算定構造」を参考に、1単位=1円で算出しています。

要介護度/利用時間 3時間以上4時間未満 4時間以上5時間未満 5時間以上6時間未満 6時間以上7時間未満 7時間以上8時間未満 8時間以上9時間未満
要介護1 368円 386円 567円 581円 655円 666円
要介護2 421円 442円 670円 686円 773円 787円
要介護3 477円 500円 773円 792円 896円 911円
要介護4 530円 557円 876円 897円 1,018円 1,036円
要介護1 585円 614円 979円 1,003円 1,142円 1,162円

一方のデイケアの費用目安はこちらです。

※1割負担・通常規模型(月平均利用者数301人以上~750人以内)で、病院または診療所を利用する場合の1回あたりの自己負担額
※デイサービスと同様に金額は厚生労働省「介護報酬の算定構造」を参考に、1単位=1円で算出しています。

要介護度/利用時間 3時間以上4時間未満 4時間以上5時間未満 5時間以上6時間未満 6時間以上7時間未満 7時間以上8時間未満 8時間以上9時間未満
要介護1 483円 549円 618円 710円 757円 807円
要介護2 561円 637円 733円 844円 897円 947円
要介護3 638円 725円 846円 974円 1,039円 1,089円
要介護4 738円 838円 980円 1,129円 1,206円 1,256円
要介護5 836円 950円 1,112円 1,281円 1,369円 1,419円

以上のように、デイサービスよりもデイケアのほうが費用が高くなっています。

なお要支援の人がデイケアを利用する場合、自己負担額は月単位の定額です。※

  • 要支援1:1,721円/月
  • 要支援2:3,634円/月

※参照:厚生労働省「通所リハビリテーション」

要支援者の利用回数に関しては、自治体によって制限があることもあるので、ケアマネジャーや役所の介護保険の担当窓口などに確認しましょう。

軽減制度を含めたデイサービスの費用については「デイサービスの費用相場」でまとめています。

デイサービスとデイケアのメリット・デメリット

デイサービスとデイケアそれぞれの特徴を、ここまで紹介してきました。

続いては、2つのメリット・デメリットを見ながら、それぞれのおすすめな人についても紹介していきます。

より具体的なイメージをつかむためにお役立てください。

デイサービスのメリット・デメリット

デイサービスのメリット・デメリットを、簡単な表にまとめました。

デイサービスのメリット デイサービスのデメリット
  • 施設の数が多いため、選択肢が広く自分に合った施設を選びやすい
  • デイケアより料金がリーズナブル
  • 高齢者の食生活を考慮したバランスの良い食事が提供される
  • スタッフのサポートのもとで安全に入浴、排泄ができる
  • 空きがあればすぐに利用できる 他者との交流を楽しめる
  • 医師やリハビリ専門スタッフがいないため医療的ケアが必要な人の利用は難しい
  • 要支援の人は利用できない(デイケアは利用可能)
  • リハビリ専門職が必ずいるわけではないので、専門的なリハビリが受けられない

デイサービスは医師やリハビリ専門職がいないため、医療的ケアなどが必要な人の場合は利用が難しいですが、施設の数が多く、選択肢の多さも魅力です。

また、医師の指示書等の書類を用意する必要のあるデイケアに比べて、デイサービスは空きがあれば比較的早く利用できます。

なお、デイサービスとデイケアでは施設数には大きな差があり、施設の空き状況も異なるため、事前に問い合わせておきましょう。

下記が令和3年10月1日時点の施設数です。

  • デイサービス:24,428
  • デイケア:8,308

※参照:厚生労働省「令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況」

デイケアのメリット・デメリット

デイケアのメリット・デメリットは下記の表の通りです。

デイケアのメリット デイケアのデメリット
  • 医師が常駐しているため医療的ケアの対応が可能
  • 理学療法士や作業療法士のようなリハビリの専門スタッフがいるため、専門的なリハビリサービスや福祉用具の提案が受けられる(施設によって異なる)
  • 要支援の人でも利用できる(医師の判断が必要、デイサービスの場合、要支援の人は利用不可)
  • リハビリだけに集中したい場合は短時間(1~2時間程度)で利用できる施設もある
  • デイサービスと併用可能でより多くの活動機会を持てる
  • デイサービスに比べて施設の数が少ないため、選択肢が狭くなる
  • 専門的な医療的ケアなども提供しているため、デイサービスに比べて費用が高い
  • 医師の指示による医療的ケアがメインのため、利用するまでに時間がかかる(主治医が作成する「診療情報提供書」や「健康診断書」のが必須のため)

デイケアはデイサービスに比べて施設数が少ないですが、医師が常駐しているため医療的ケアの対応が可能です。

また、理学療法士や作業療法士のようなリハビリの専門職による、効果的なリハビリを受けられる点も大きな魅力です。

デイサービスと併用することで、より多くの活動機会をつくることも可能です。

デイサービスとデイケアはどちらがおすすめ?

ここまで紹介したメリット・デメリットをふまえて、デイサービスとデイケアが、それぞれどのような人におすすめであるかを見ていきます。

 
  おすすめな人
デイサービス
  • 自宅での入浴や排泄が難しい人
  • 身体機能の維持を図りたい人
  • バランスの取れた食事が摂りたい人
  • 他者との交流が好きな人
  • 家族の介護負担を軽減したい人
デイケア
  • 退院後で自宅での生活に不安がある人
  • 骨折や関節症など医師の判断によりリハビリが必要な人

上記の内容について解説していきます。

どちらを利用しようか悩んでいる人は、ぜひお役立てください。

デイサービスがおすすめな人

デイサービスの基本サービスは食事や入浴、排泄のサポートやレクリエーション、機能訓練などの提供がメインです。

そのため、デイサービスは日常生活の支援・介護サービスを受けたい人におすすめといえます。

また、デイサービスは他の利用者も同じ場で活動することになりますので、他者との交流が好きな人にとっても楽しめる環境です。

そして、サービス時間は基本的に午前中から夕方までなので、その時間は介護者(介護をする人)である家族の休息の時間にもなりますので、介護者の休息をとるために利用する(レスパイトケア)のもおすすめです。

デイケアがおすすめな人

デイケアは、リハビリや健康管理がメインのため、医療職による専門的なリハビリを受けたい人におすすめです。

具体的には、退院後に自宅での日常生活に不安がある人や、骨折や関節症などで医師からリハビリが必要と判断された人はデイケアが向いています。

なお、デイケアはデイサービスとの同時利用ができるため、デイケアではリハビリに集中し、デイサービスでは他者との交流を楽しむ、という使い方もできます。

デイサービスとデイケアを上手に選ぶ際のポイント3つ

さまざまなデイサービスやデイケアがあるため、どの施設を選べばよいか迷う人もいるでしょう。

デイサービスとデイケアを選ぶ際は、ケアマネジャーへ相談をしたり、実際に施設を見学したりして事前準備をおこないましょう。

ここでは主に、施設選びの際の3つのポイントを解説するので、ぜひお役立てください。

  • ①ケアマネジャーに悩みや希望・理想についてよく相談する
  • ②実際に施設を見学する
  • ③デイケアからデイサービスへの移行や同時利用も検討する

それぞれの詳しい内容を見ていきます。

①ケアマネジャーに悩みや希望・理想についてよく相談する

サービスを選択する際は、ケアマネジャーに以下のようなことを相談しておくことが大切です。

  • 生活する上で困っていること
  • 自分が目指す理想の姿
  • どのようなサービスを受けたいか
  • どのような生活を送りたいか

以上のようなことに対して具体的な考えを共有しながら、将来の自分の姿を想像してみてください。

ケアマネジャーをはじめ、利用する施設のスタッフと目標を共有することで、理想の生活を実現する糧になるでしょう。

②実際に施設を見学する

実際に施設を見ることで、以下のようなことがわかります。

  • 環境や設備
  • 特徴や強み
  • スタッフの雰囲気

実際に施設を見ることで、文章や言葉だけでは伝わらないその場の雰囲気を感じられます。

見学する場所は1ヶ所だけでなく、他の施設と比較するために複数の施設を見学することが大切です。

見学時には、利用者や家族の希望・想いを施設のスタッフに伝えることで、施設の雰囲気や相性を確認しやすくなります。

また、スタッフがどのような思いでサービスを提供しているかも理解しやすくなるでしょう。

③デイケアからデイサービスへの移行や同時利用も検討する

デイケアは、デイサービスへのサービスの移行が可能です。

たとえば、デイケアでのリハビリによって状態が回復した場合、費用の安いデイサービスに移行するケースが考えられます。

ただ自分だけで判断するのは難しいので、医師やケアマネジャーに相談しながら進めましょう。

また、デイサービスとデイケアを併用することも可能です。状況に応じて検討するとよいでしょう。

ちなみに、厚生労働省の調査によると、デイケアを利用している人のうち、以下の割合の人がデイサービスを併用しています。

  • 要介護1~2:36.3%
  • 要介護3~5:21.9%

またデイケア終了後は、以下の割合でデイサービスを利用している人がいます。

  • 要介護1~2:75.2%
  • 要介護3~5:70.5%

専門的なリハビリや医療ケアを受けつつも、より他者との交流の機会を持ちたいという人は、デイサービス・デイケアの併用がおすすめです。

※参照:構成老総省「通所リハビリテーション」

めとめ

本記事では、デイサービスとデイケアの違いについて詳しく見てきました。

デイサービスは、利用者が自宅で自立した日常生活を送れるよう、食事や入浴などの支援がメインのサービスです。

一方デイケアは、身体機能や認知機能の改善など、リハビリや医療的ケアに力を入れています。

どちらを選ぶべきか悩む場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。

監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格
川村 匡由
監修者:川村 匡由(かわむら まさよし)
社会保障学者・武蔵野大学名誉教授・行政書士有資格  

博士(早稲田大学)、福祉デザイン研究所所長、武蔵野大学名誉教授。

1994年、つくば国際大学教授に就任後、武蔵野大学大学院教授を歴任。専門は社会保障、高齢者福祉、地域福祉、防災福祉。シニア社会学会・世田谷区社会福祉事業団理事。

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