体験談
vol
22

認知症で引きこもっていたお母様が音楽のアクティビティを楽しみ、お仲間の輪の中心に

2016年07月19日
  • ご入居時期
    2015年9月
  • ご入居者様
    82歳 女性
お話を
伺った方
S様56歳(ご次男)
ホーム名
アリア等々力

20年前に、ご主人を62歳で亡くされたお母様。その7年後からご次男家族が同じ敷地内の別棟で暮らし始め、お互いにほどよい関係を続けていましたが、2年ほど前から急にお母様の様子が変わり、認知症と診断されました。

敷地内同居を始めても、母は自分のことは自分でこなし、私たちに頼ることなくしっかり自立して生活していました。私や二人の孫たちの帰りが遅いと気にすることはありましたが、一人でいるほうが気楽と言いながら、ときどき一緒に食事をするなど、私たちとはほどよい距離感で暮らしていました。
2年前の6月、1人で外出した母が、雨の交差点で足をすべらせて転んだことから変化があらわれました。そのときは、ひどく顔を打ってアザを作り、消えるまで1ヶ月ほどかかりました。その上、その年の夏は猛暑続きで体がバテて、7月の終わりから外出もせず、1日中寝間着のまま横になっているような日々が始まりました。元々、あまり社交的ではなく外出を楽しむタイプではなかったのですが、どうにも様子がおかしいのです。
転倒が原因かと思い脳外科で診てもらうと異常はなく、うつ状態を疑って精神科を受診したのですが、処方された睡眠薬を飲んでも眠れないと早朝に電話を掛けてくるようになりました。
そこで神経内科で検査したところ、軽度の認知症と診断されました。その後も不眠が続き、私への電話は回数が多くなりました。日中でもテレビが見られない、冷暖房のスイッチの入れ方がわからないと、何かと呼び出されるのです。私は自営なので電話に出られるのですが、ひどい時は1分置きにかかってきて大変でした。
さらに、幻聴や幻覚を思わせるようなことを言ったり、記憶の混乱が激しくて食事をしたかどうかもわからなくなりました。しっかり者の母がどんどん変わっていったのです。私たち家族は、母の相手をすることで手一杯となってしまい、老人ホームへの入居を考えました。

お母様の入居先を探し始めたS様は、ご友人の話や雑誌の情報を参考にされた結果、「アリア等々力」に注目してくださいました。ただ、お母様を体験入居に連れていらっしゃるまでに、まだひと苦労ありました。

友人二人の親御さんがベネッセスタイルケアの老人ホームに入居していて、とてもよいと聞きました。当時、ビジネス週刊誌の別冊で老人ホームの特集があり『アリア等々力』が東京都の介護型施設で1位にランキングされ、食事がおいしいとも書いてあったので、資料を請求したのです。母は食事がおいしくないと文句をいうだろうと予想がつきましたから(笑)。見学したところ、静かで落ち着いた雰囲気が気に入りました。
1週間の体験入居を申し込んでいたのですが、当日になると母が行かないと言い出して断念。『アリア等々力』の担当者に改めてアドバイスをいただいて、2度目はその日に突然連れて行こうとしたのですが、抵抗されて押し問答した挙げ句、母が布団に入って横になってしまいました。
途方に暮れていたときに、私の妻がやって来ると、母は急に起き上がってシャンとして、着替えて出かけることになったのです。本能的に、嫁の前ではおかしな様子を見せられないと感じているのでしょう。約束の時間には遅れましたが、三人でホームに来て一緒にお昼ごはんを食べ、私たち夫婦が帰る際は手を振ってすんなり残りました。

帰宅願望が強く、ご次男様にもスタッフにも「家に帰りたい」と訴えていたお母様ですが、日々の食事に満足してくださり、アクティビティで大好きな歌を楽しまれ、次第に『アリア等々力』での暮らしに慣れていらっしゃいました。

母は体験入居からそのまま継続して入居しました。当初はとくに帰宅願望が強く、スタッフの方たちに「いつ帰れるの?」と聞いてばかりいたようです。携帯電話を持っているので、月に1回ぐらいは「帰りたい、迎えに来てよ」と私の電話にかかってきます。それでも、最近では週末ごとに私が会いに行っても、「家に帰る」と言わなくなりました。
ホームでの生活ぶりは、母に聞いてもよくわからないのですが、歌のアクティビティに楽しく参加しているそうです。元気だった頃母は、コーラスのグループに所属して週に1、2回活動していたほど、音楽や歌が好きでした。音楽を楽しんでくれて、うれしく思います。
他の入居者の方たちとも仲良くしているようですし、なにより食事が相当おいしいらしく、私が外食に連れ出すのですが、ふだん満足しているからかそれほど喜ぶわけでもありません(笑)。
週末になると、私が来るはずとラウンジに出てきて待っていて、受付の方にはいつも話し相手になっていただいています。たまに私が行かないと、「家に帰りたい」と言ってスタッフの方たちを困らせているようですが、母の気持ちが落ち着くような対応をしていただき、本当にありがたく思っています。

ご次男様には甘えることが多いようですが、スタッフによればお母様はとても面倒見が良く、お仲間に飲み物を勧めるなどよくお世話をしてくださるそうです。

あまり社交的な性格ではないとのお話が不思議に感じられるほど、ホームではお仲間が集う輪の中心となっていらっしゃるそうです。

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