体験談
vol
20

老々介護が限界に達し、老人ホームへの入居を決断。離れて暮らしたことで夫婦の絆が深まりました。

2016年07月07日
  • ご入居時期
    2014年1月
  • ご入居者様
    82歳 女性
お話を
伺った方
O様82歳(ご主人様)
ホーム名
リハビリホームボンセジュール南千束

5年前に奥様が脳梗塞で倒れて入院。退院してから、ご主人による老々介護が始まったのです。

私と妻との出会いは、高校生時代なので知り合ってから数えると66年になります。妻は、結婚と同時に私の両親と同居生活をしてくれたり、ときには私の海外転勤にも子どもを連れてついてきてくれたりしました。私にとっては、最高の伴侶で、夫婦仲も極めて良好でした。
子どもたちが独立し、夫婦だけの気楽な暮らしを続けていたのですが、妻が77歳のとき、脳梗塞で倒れました。この入院を境に、私たち夫婦の関係が一変します。脳梗塞の後遺症で、妻の判断力や記憶力が低下し、炊事や掃除などの家事ができなくなってからは、私が家事と妻の介護を担うようになったのです。
追い打ちをかけるように、片付けが苦手な妻の一面が強く表れるようになりました。私が片付けても片付けても、妻は家の中にゴミを溜めてしまい、あっという間にわが家はゴミ屋敷になってしまいました。いくら注意しても、妻は改めてくれません。私は妻の世話とゴミ屋敷の惨状に、疲労困憊の日々を送っていました。
1年もすると、そんな老々介護もいよいよお手上げになり、初めて地域のケアマネジャーさんに相談し、介護認定を受けました。妻は要介護2に認定され、精神科病院に措置入院し、「認知症」と診断されました。

病院の入院期間は3ヶ月が限度。退院後、自宅に戻ってから再びO様が介護をすることは難しく、奥様のために老人ホームを探し始めました。

病院に入院してからは、妻の状態が落ち着いてきたので、退院後は老人ホームに入居しても大丈夫だと思いました。自宅に近い場所を条件に、4ヶ所の老人ホームを見学しました。
その中の1軒、『リハビリホームボンセジュール南千束』が、最も私のフィーリングに合いました。
施設内を見学させてもらったときに、担当したスタッフの方の対応がとても温かく、見学中にすれ違うスタッフの方たちの印象もすこぶるよかったのです。しかも、自宅から自転車で5分の距離という近さ。妻に入居してもらおうと決めました。

奥様には病院を移ると説明したため、ホームへの入所もスムーズだったそうです。今でもご本人は、病院に入院していると思っているそうです。

スムーズに入居できましたが、入居した直後は妻の帰宅願望が強く、「いつ、家に帰れるの?」「退院はいつ?」と私やスタッフの方たちに繰り返し聞いていました。私は、ホームがわが家に近いので、抜け出して家に戻ってくるのではと心配した時期もありましたが、だんだんとホームの生活に馴染んでくれました。
ひとつだけ困ったのは、妻がホームの生活に慣れた頃から、ゴミやものを溜める癖が出るようになったことです。部屋のタンスの引き出しに汚れた下着を隠したり、トイレットペーパーの使い残しやゴミを部屋にため込んだりします。私が注意をすると、「はい、はい」と素直に応えるのですが、10分もすると忘れてしまうのです。
スタッフの方たちと相談して、妻が入浴や行事などで部屋にいないときを見計らって、スタッフの方たちに片づけや掃除をしてもらっています。このこと以外でも、私が妻の行動に悩んだときは、スタッフの方たちに相談をすると、すぐに対応してもらえます。このように、あらゆる相談に親身に応えていただき、気長に妻の面倒をみてくださるのが、ありがたいです。

O様はホームの行事にも積極的に参加し、愛する奥様との新たな思い出づくりをされています。

私は2日に1回よほどの用事がない限りは、ホームを訪ねています。自転車で5分の距離なので、まったく苦ではありません。妻の部屋に行くと、ニコニコ顔で私を出迎えてくれます。正直なところ、ホームを何日も訪ねないと、私のほうが妻に会いたい気持ちが募ってきて落ち着かなくなるのです。
スタッフの方たちが気軽に誘ってくださるので、外出イベントにも同行しています。先日は、妻と並んでホームのバスに乗せてもらい、池上本門寺に行きました。昔、2人で行った池上本門寺の境内を妻の車椅子を押して散策できたことは、いい思い出になりました。
5月の妻の誕生会にも招待してもらい、私が「愛する妻へ」というタイトルのメッセージを書いて、当日持参しました。そのメッセージを女性スタッフが皆さんの前で代読してくれたのですが、妻はうれしくてワアワアと声を上げて泣いてくれました。
認知症の妻とこんな穏やかな時間が過ごせるとは、老々介護をしていたころは思ってもみませんでした。離れて暮らす今のほうが、妻との絆を深く感じます。これからもホームのスタッフの皆さんにサポートしてもらいながら、最後のときまで愛する妻に寄り添いたいです。

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